日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督

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[10.10 キリンチャレンジ杯 日本3-3ハイチ 日産ス]

 日本代表は10日、キリンチャレンジ杯でハイチ代表と対戦し、3-3で引き分けた。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

●バヒド・ハリルホジッチ監督

「このような試合を見せてしまって、分析するのが難しい試合になってしまった。我々の最も良くない試合の一つではないかと思う。多くのチャンスをつくって2-0にして、選手たちの頭の中に何が起きたのか分からない。得点を取ったあとにすべてが止まってしまった。これまでプレーしてこなかった選手にかなりのチャンスを与えた。それぞれの選手が候補の中に入りたいだろうから、それぞれが見せてくれたとは思う。しかし、長い間、監督を務めているが、こんなに内容の悪い試合は見たことがない。良くない現象がいろいろ起きてしまった。このような試合のあとにW杯本大会の話をすると、ちょっと愚かな人間だと思われてしまう。そんな内容の試合だった。私も声を大にして、サポーターの皆さんに『来てください』と言ったにもかかわらず、こんな試合をしてしまって私のほうから謝罪したい。多くのサポーターが来てくれて、いい雰囲気をつくってくれた。良い試合をするためのすべてのコンディションは整っていた。このような内容の試合をしてしまうと説明がつかない。しかしこれは私の責任だ。これからしっかりトレーニングをして、批判を受け入れたい。良くない状態の選手は選べないということ。いろんな面でレベルの低いものを見せてしまった。ただ、ハイチが我々を苦しめたことは祝福したい。

 今日はちょっと冷静になれないのでなかなか説明がつかないが、私の就任からこんなに良くない試合は見たことがない。9人、10人の新しい選手を使ったからなのか、それは分からない。怒りと理解しがたいことで今はちょっと説明がつかない。2-0にしていろんなチャンスがあって、もっと得点できるんじゃないかと思っていたが、1失点目でチームが存在しなくなった。ニュージーランド戦でも同じような現象が起きていた。心理面で何人かの選手は弱いのかな、もろいのかなと感じた。やるべきことはたくさんある。次の対戦相手はもっと障害が大きい。11月の試合に関しては、我々の幻想が砕かれるということだと思う。世界でも有数の2か国とやらないといけない。まったく違う対戦相手。このような試合を繰り返してしまうと、本当にひどい状況になる。ここまでしっかりみんなでつくってきたが、パワーを出し切れない。チームとしてまとまっていないということだと思う」

―ハーフタイムの指示は?

「(長友)佑都がケガをして、浅野がちょっと膝に問題を抱えていたので交代した。ゲームコントロールの面は『前半の入りのような試合をしてくれ』と言った。3点目が取れれば全然違った内容になっていたと思う。何人かの選手の弱さ、もろさにはちょっとガッカリしている。相手もそこまで強豪国ではない。ナイーブな面とパニックになった面。いろんな面を分析しないといけない。私が選手を選んだので、選んだ私にも責任がある。ただ、前半最初の20分は何回かチャンスがあって、4点、5点と簡単に取ることができたと思う。もしかしたら我々のほうが技術的に有利だと思い過ぎたのかもしれない。それで気が抜けたのかなと。ニュージーランド戦で起こったような現象だった。しっかり分析しないといけない。何人かの選手は日本代表でプレーするにはもっと考えないといけない。まったく別のものを見せないといけない。この1試合で決定的な意見が出るわけではないが、このような試合をしてしまうと、全員が疑問を抱かないといけない。こういう試合をしていたら、ブラジルとやったら3点ではなく10点取られてしまう。そういうことを意識しないといけない。気が緩んだ選手、守備で帰らない選手、準備できていない選手がいた。もっと違うことを要求していたが、気の緩みがあり、相手にラッキーもあって点を取られた。そのあと追いつくのは大変だった」

―強豪とも言えない相手に3失点したが、吉田麻也の不在が痛かったのではないか。センターバックの評価は?

「私の中では中盤と前を変えたという印象だった。初めて連係を取ったというのもある。結果だけを求めるならこのようなメンバーは選ばない。しかし、トライしないといけない選手がたくさんいた。いろんな選手に可能性を与えないといけない試合だった。将来、ケガ人が出たら、若い選手にもチャンスを与えておかないと準備できない。この2試合で約20人使った。この2試合ともビッグマッチを期待してはいなかった。ただ、2試合目に関しては本当におかしいなと。いい入りをして、2-0にして、いいアクションもあって、急にストップして、切れた。精神面、メンタル面でもろさが見えた。定期的に出ていない選手だとしても言い訳はできない。もう少し違うものを見せてほしかった。就任して28試合目だが(東アジア杯を含めると31試合目)、最悪な試合だった。最も最悪な試合だった。監督が第一の責任者だから、まず私自身に怒りを感じている。選手とはいろんなディスカッションをして、W杯マインドという話をして、『ここからスタートだぞ』という話をしたが、こういう内容の試合だった。私がまずしっかり考えないといけない。本大会は3試合、ハイレベルな試合が続く。繰り返すがメンタル面でもろさが見えた。そこが一番ショックを受けたところだ。ただ、トレーニングを続けるだけ。みんなの前で恥をさらしてしまったが、まだW杯本大会に向けて準備ができていないということ。最終予選で1位に終わって、得点も一番取って、失点も一番少なかったが、こういう結果になった。本大会に向けてまだ準備ができていない。私が厳しすぎると言うかもしれないが、そうではない。すべての面でトレーニングしないといけないことがたくさんある。それを伸ばすのみだ。11月の試合は本当に大きなテストになる。現段階で世界の2強国とやる。そこでいろんな考えが導き出されるだろう」

―未知のチームに対してプレーすることについてどう思ったか。

「ハイチのことをたくさん把握して試合に入ったわけではないが、試合は何試合か見た。いろんなチーム構成で来ているという話はした。フィジカル的なパワーは持っているし、スピードもある。個人でいい選手も何人かいる。ナゾンの話もした。彼は2点取った。ハイチを祝福したい。0-2から我々を最後まで苦しめ、リードした。良い結果を手繰り寄せた。初めて日本が3失点した。彼らを目覚めさせてしまったのかなと思う。我々も目覚めたから悪くはない。ただ、祝福したい」

―デュエルの面ではどうだったか。今日の選手のメンバー入りは難しくなったのか。

「最終的な23人は6月に決まる。そこまではいろんなことが起こる。今回は9人を代えた。いろんな選手、いろんなクオリティーを見ないといけないからそうしたが、代表としてチャンスを与えたのならもう少し違うものを見せてほしかった。そこがちょっと私が失望しているところ。なぜこんなにパニックになったのか。何をすべきか分からない状態になった。23人に絞るまではまだ時間がある。もしかしたら今日とは全部違う23人になるかもしれない。もし今日のようなパフォーマンスを見せ続ければそうなるだろう。今回の合宿はたくさんの選手を見るトライをした。見せるチャンスを与えた。結果だけを求めるのであれば、おそらく違うチーム構成にしただろう。しかし、これは私の責任だ。しっかり私を批判してほしい。私も選手としっかりディスカッションしていきたい。私が就任して、一番良くない試合だった。アグレッシブさ、オーガナイズの仕方。私が監督をしていて、こんなに悪い試合はなかった。各選手にはどうやってプレーするか、どういう役割か説明していたが、説明では不十分で、しっかりトレーニングしないといけない。批判はしっかり受け入れて、トレーニングをするだけだ。

 私はフットボールについて十分知っている。いろんな冒険を経てきたので、1試合でそんなにひどい話はしたくない。28試合目が本当にレベルの低い試合だった。ただ、我々がやってきたことがすべて台無しになったわけではない。私たちがここまでやってきた道筋には自信を持っていい。いろんな数値も出ている。ただ、目を閉じてはいけない。特に今夜の試合に関してはそうだ。ハイチはリスペクトしているが、3失点してしまった。私が監督をして3失点は本当にない。今回はそれをやられてしまった。とにかく私を批判することは受け入れる。もっともっと批判してほしい。批判し続けてほしい。私はすべきことは分かっている。私が成功するかどうかは別の話だが。最終予選を突破して、みんなが熱狂的になったが、私は後ろで“ちょっと待てよ”と思っていた。ただ、今日の試合については理解できていない。サポーターにこの場で『(試合に)来てください』と言ったし、私の名前で謝罪したい。心の底から、駆け引きなしに謝りたい。本当に申し訳ない。

 デュエルに関して統計は見ていないが、確かにデュエルにたくさん負けたと思う。相手はドリブルも仕掛け、パワーもあった。ポゼッション率は高かったかもしれないが、ポゼッション率が高いからといって勝利に結びつくわけではない。(大事なのは)デュエルと得点数。今日もたくさんシュートを打ったが、ゴールの外だった。それ以上は言うことができない。失敗した試合だから私を批判してほしい。たくさんトレーニングしないといけない。メンタル面、フィジカル面、テクニック、戦術。やることはたくさんある。私自身に疑問を抱かないといけない。私が監督になってから最悪な試合だった。なぜこんなことが起きたのか考えないといけない」

(取材・文 西山紘平)