格下のハイチになんとか引き分けた日本は、国内組の杉本(13番)、倉田(7番)が結果を残した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2017]日本 3-3 ハイチ/10月10日/日産スタジアム

 なんとか追いついたけど、この間のニュージーランド戦と同じで、かなり厳しい内容だったね。立ち上がりは、ハイチのミスに助けられて2点のリードを奪った。でも、そこからペースダウンして、3失点もしていたら話にならない。他国のファンから「ほんとに、ワールドカップに出る国なの」と疑いの目を持たれても不思議ではないよ。

 内容的には、ハイチのほうが良かったんじゃないかな。3ゴールとも、日本より良い形だったし、なにより闘う意欲が感じられた。それに対して日本は、先発した杉本や倉田からは必死さが伝わってきたけど、浅野や大迫、武藤あたりはなにをしていたのか正直わからないくらいだった。

 だから、この前も言ったように、“サバイバル”っていう感じが伝わってこないんだ。今まで選ばれてきた選手は、もうワールドカップに行けるものだと勘違いしているのかな。そんな保証がないと分かっていたら、2試合ともここまで酷いプレーをしないはずだからね。

 終わってみて分かったのは、この2試合のマッチメイクが、協会の“ミス”ではなかったこと。ニュージーランド、ハイチとも誰もが格下と思い込んでいたけど、2試合の内容を見ると、日本のレベルに合ったマッチメイクだったと言うしかないよ。

 さらに厳しいことを言うと、ゴールデンタイムに放送できないレベルの試合だったと思う。収録で夜中に放送するのが相応しいくらいだ。それに、日本のファンは優しいから、大半が試合終了まで席を立たずに観戦していたけど、ブラジルやアルゼンチンだったら、後半の最初のほうで次々とファンが席を立っていくだろうね。

 試合終了とともにスタンドからブーイングが響いてもおかしくなかったけど、そういう光景がなかったのも不思議だったね。むしろ、同点に追いついて拍手しているファンがいるところを見ると、日本のサッカーを取り巻く環境が、まだまだ世界には程遠いんだなという印象さえ抱いてしまう。
 もうひとつ気になるのが、いまひとつ“これ”という選手が見当たらないこと。チームの軸として、計算が立つ活躍をしてくれる選手が今の日本にはいない。一時期、「新エース」と言われていた久保にしろ、最終予選のオーストラリア戦でインパクトを残した井手口にしろ、試合によってパフォーマンスが変わってしまう。原口も、以前ほどの勢いが感じられなくなった。

 特に欧州組は、物足りなさを覚えるよ。慢心しているなずはないと思うけど、どこか「胡坐」をかいているように思ってしまうんだよね。「さすがだな」って思わせてくれるようなアピールが足りない。

 例えば、先のニュージーランド戦後、今回のマッチメイクへの意義に疑問を呈した香川の発言が話題になったけど、そもそも、今の代表チームでの立場を考えたらそういうことを言っていられないはずだよ。

 ザックジャパン時代の香川だったらまだ分かる。でも、クラブでも代表でも完全なレギュラーではない今は、ポジション争いに勝つために、必死に戦うべきなんじゃないかな。本人がどんな思いで言ったのかは分からないけど、少なくとも僕には慢心のように聞こえた。11月シリーズで、メンバーから外すくらいの刺激を与えても良いと思う。

 いずれにせよ、10月の2試合(ニュージーランド、ハイチ戦)では、格下相手に収穫を得るどころか、課題ばかりが噴出してしまった。11月のブラジル、ベルギーとの2試合で、なんとか面子を保ってくれるような試合ができなかったら、来年のワールドカップに向けて、ますます追い込まれるような気がしてならない。

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