あなたは、家族、恋人、友人、同僚、上司などの言動に不満があり、相手にそれを変えて欲しいと思ったとき、どうしますか? また、どうすることが多いですか?

A 関係が悪化するとまずいので我慢する。相手が気付くまで待つ。遠まわしに言ってみる。
B はっきり相手に指摘する。相手を責める。
C 態度で不快感を示す。皮肉を言う。別のかたちで仕返しをする。

いずれも、お互いの良好な関係を続けるには、マイナスとなる場合がほとんどです。
私はちゃんと穏やかに相手に伝えています、と言う方でも、相手の行動が改善されなかったり、逆ギレされたりして困ることはありませんか?せっかく言いにくいことを言ったのに、全く効果がないなんて、とても損な感じがします。あるいは、確かに伝わったようだけれども、何だか後味が悪い、ということもあるかもしれません。
相手との関係を壊さずに伝えたいことを伝えるのは難しいですね。こんなときは「わたしメッセージ」を参考に、伝え方を見直してみてはいかがでしょう。

「わたしメッセージ」とは

「どうしてそんなことするの」、「仕事が遅いよ」というように、相手が主語となる「あなたメッセージ」は、相手にとって受け入れにくく、また、伝えた自分も後味が悪くなりやすいものです。そこで「わたしメッセージ」を使ってみましょう。
「わたしメッセージ」とは「I(アイ)メッセージ」とも言われ、「わたしは〜したい」「わたしは〜と感じる」というように自分=私を主語にして相手に伝える方法です。不愉快な言動をしているのは相手ですが、それを「不愉快だ」と問題を感じているのはまさに自分です。ですから、私が〜と感じている、私はあなたに〜して欲しい、と相手を責めずに伝えます。また、この伝え方は行動の主体を相手に委ねているので、相手も防衛的な反応を引き起こさずにすみます。相手の自尊感情を低めないように伝えることがお互いの関係を良好に保つために大切なのです。

よくある事例

さて、カップルの間でよく聞かれる会話を見てみましょう。
◆「どうしてメールしてくれないの?」・・・(詰問調=相手を責める)
◇「仕事で忙しかったんだよ」
◆「どうせ私のことなんかどうでもいいんでしょ」・・・(相手への決め付け)
◇「ふーん、そういうこと言うんだ。なら、もういい!」
◆の発言に注目してみると、両方とも「あなた」を主語としたメッセージになっていますね。
これを、次のように「わたしメッセージ」に言い換えるとどんな印象になりますか?
◆「(私は、あなたに)1日1回メールしてほしいな」
◆「私のことなんかどうでもいいのかなって、(私は)心配になるの」

この他にも「早く〜しなさい」→「早く〜してほしい」、「なんで片付けないの?」→「片付けてほしい」というように言い換えることで、メッセージを受け取る側の印象は大きく異なるのではないでしょうか。

「わたしメッセージ」がうまくいかないとき

1.背景にあるあなたの気持ちや意図をチェック

「私はあなたの言葉で傷ついた」こう伝えたあなたの意図は、お互いの状況を改善させるためのものでしょうか?もし根底に相手を罰してやろうとか、相手の自責の念を引き出そうという意図があると、相手の自己防衛的な反応を引き出すので要注意です。
また、「私はあなたが〜したので本当に困った」というような過去志向の表現も相手を罰するメッセージになりがちです。できるだけその場で「〜はやめてほしい」と伝えることが大切です。

2.相手が改善可能な行動について、具体的に表現しているかチェック

「私はあなたにもっときちんと仕事をしてほしい」では、抽象的で、相手は何をどうすればよいのかわかりません。また「あなたはきちんと仕事をしていない」という否定的なメッセージに捉えられがちです。「仕事の期限を守ってほしい」とか「誤字脱字がないように事前にチェックをしてから提出してほしい」など、具体的に改善可能な行動を伝えると効果的です。
相手との関係がうまくいかないな、と思ったときは、自分のコミュニケーションを見直してみると、意外にヒントが隠されていますよ。

参考文献:
トマス・ゴードン『ゴードン博士の人間関係をよくする本〜自分を活かす 相手を活かす』近藤千恵訳、大和書房、2002年

※この記事は2010年10月に配信された記事です