床に寝そべって髪を切る理容師(画像は『CBC.ca 2017年10月5日付「‘Everyday hero’: Quebec barber finds special connection with 6-year-old client with autism」(Submitted by Fauve Lafrenière)』のスクリーンショット)

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痛みや感覚に鈍感でありながら、時には外からの刺激に過剰に反応してしまう自閉症の子供にとって理髪店に行くことは苦痛でしかなく、また髪を切る側もすんなりとは行かない。しかしこのほど、カナダのケベック州にある理髪店で撮影された1枚の写真が「素晴らしい」と話題になっている。『Inside Edition』『CBC.ca』『National Post』などが伝えた。

ケベック州ルイーヌ=ノランダ在住のフランツ・ジェイコブさん(45歳)は2年前、1920年から50年代に流行ったパンクやロックスターのヘアを専門とする理髪店をオープンした。だがこの店を訪れるのは、ロックやパンクスタイルに憧れる客だけではない。実はフランツさん、開店当初から自閉症を抱える6歳の少年の髪を切り続けている。

ワイアット・ラフレニア君(6歳)はじっとしていることを極端に嫌い、髪に触れられることを耐え難いと感じてしまうようで散髪してもらうのも一苦労だった。今回、床に寝そべっているワイアット君と同じ体勢で散髪をしているフランツさんの姿を母親のフォーヴさんが撮影しFacebookに投稿すると、たちまち拡散し称賛を呼んだ。フォーヴさんはフランツさんを「ヒーロー」と呼んでおり、自閉症を抱える子供を持つ母親たちにも彼のことを推薦している。

「息子は理髪店でいい経験をしたことがほとんどなく、髪を切ってもらった後もぐずったりするので大変でした。でもフランツさんは息子が居心地よく感じるまで、せかすことなく待ってくれるんです。まるで仲のいい友達のように大きな笑顔で息子を迎え入れてくれます。今まで誰とも持つことができなかった繋がりを、フランツさんは息子に与えてくれました。息子は切ってもらっている最中に動いて、最終的には床に寝そべってしまうのですが、フランツさんは同じように息子のそばで横になり同じ姿勢で切ってくれるんです。自閉症の子に対応することはとても時間がかかるものですが、毎回努力をしてくれるフランツさんには本当に感謝しています。今では息子はフランツさんに髪を切ってもらうのが大好きなんですよ。」

自身も2児の父であるというフランツさんは「有名なロックミュージシャンだろうがワイアット君のように自閉症を抱えている子だろうが関係なく、どんな人にも心地よさを提供するのが私の仕事です。いつも営業終了時間近くにワイアット君が来るので、店の鍵を閉めて閉店にします。普段は大きな音でかけている音楽のボリュームを下げて、数分間ワイアット君が乗った椅子を回したりしながら彼の気持ちをほぐしていきます。ワイアット君が退屈して動き出せば、それに合わせて私も動いて彼についていくだけです。散髪は1時間以上かかりますが、ほんの少しだけの配慮はいつもしていることですし、何でもありませんよ」と語る。

フランツさんは12歳の時から髪をいじるのが大好きだったと言い、友人の髪をモヒカンやスパイクヘアにアレンジしていたそうだ。現在は理髪店を経営するかたわら、末期の病で余命いくばくもない患者の最後の髭剃りやヘアカットなども引き受けており、「私はこの仕事に誇りを持っています。成功の秘訣は、忍耐と愛と質の良いハサミの3つです」と話している。

画像は『CBC.ca 2017年10月5日付「‘Everyday hero’: Quebec barber finds special connection with 6-year-old client with autism」(Submitted by Fauve Lafrenière)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)