日本サッカーの長年の課題はいまだ解決されておらず、またそれは一朝一夕で解決できるものではない。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月6日に行なわれたニュージーランド戦、ハリルジャパンは「決定力の低さ」を露呈。18本ものシュートを乱れ打ちしながら、PKを含めたわずか2得点に終わっている。多くのシュートは大きく枠を外れ、バーを高く越えている。
 
「今日は、積極的にシュートを打つように指示した」
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、試合後にこう明かしたが、その精度は低すぎたと言わざるを得ない。
 
 結果として、改めて「決定力不足」という課題が突きつけられた。
 
 言うまでもないことだが、得点力を高めることは一朝一夕ではいかない。付け焼き刃でのミドルシュートをいくら放っても、それが決まる確率は低いだろう。
 
 シュートの技術というのは天性のものもあって、これが問題視されるようになって久しい。解決策としては、チームとしてシュートの本数(もしくは攻撃回数)を増やしながら、その確率と精度をわずかでも高めていくしかないのだろう。
 
 そこで、欧州で再び主流のひとつとなりつつあるフォーメーション、「4-4-2」を採用するのはどうだろうか?
 
 欧州王者のレアル・マドリーを筆頭に、アトレティコ・マドリー(スペイン)、モナコ(フランス)、RBライプツィヒ(ドイツ)、ベンフィカ(ポルトガル)など、各国の有力クラブがこのシステムで戦っている。
 
 さらにバルセロナまでもが、最近は変則的な4-4-2を使い、好調を維持。代表レベルでも、昨夏にEURO2016を制したポルトガルをはじめ、フランス、イタリアなどがやはり、このフォーメーションを採用している。
 
 欧州では一時、4-4-2は完全に廃れていた。守備の比重を高めるため、必然的に1トップが多くなったからだ。そして、4-2-3-1がトレンドになっていた。
 
 しかし、パワー、スピードで群を抜くストライカーがいない限り、1トップは相当に厳しい。攻撃力の低下は、守備の破綻にも繋がる。そこで多くのチームは2トップを見直し、単純に“銃口を増やした”戦いを復活させつつあるのだ。
 ロシア・ワールドカップに向け、ハリルホジッチ監督も2トップという選択肢を用意するべきだろう。
 
 なぜなら、日本人FWは「たったひとりでボールを収め、ゴールネットに叩き込む」というタイプではない。クイックネスとテクニックに優れ、コンビネーションに長け、献身的……この特長を十全に活かすには、2トップのほうがベターだろう。
 
 Jリーグ王者の鹿島アントラーズは、伝統的に4-4-2を採用。そのチームが最も多くのタイトルを獲得している点は見逃せない。鈴木隆行、柳沢敦、大迫勇也ら多くのストライカーが、このクラブで大成している。
 
 2トップは組み合わせ次第で、足し算ではなく、かけ算の結果を生み出せる。
 
 何も、今の戦術を捨てよ、というのではない。例えば、昨年のオーストラリア戦、サウジアラビア戦のように、ハリルジャパンは戦術的に機能していた。それは強豪相手に、ひとつの戦い方になり得る。
 
 しかし、2トップの可能性も模索するべきだろう。ニュージーランド戦でメンバーから外れた岡崎慎司は、レスターでは2トップでプレーし、公式戦4得点という結果を叩き出している。プレミアリーグで活躍するストライカーを使わない手はない。
 
 岡崎、大迫、久保裕也、武藤嘉紀、杉本健勇、小林悠……コンビネーションが合う2トップを探し当てられたら、それは来夏のロシアでも、必ず有効な一手となる。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。