日本代表は10月にニュージーランドとハイチと対戦。FIFAランクでは格下の相手だが、W杯までに貴重な試合であることは間違いない。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップを決めた日本代表が親善試合を行ない、J1リーグは一時中断。一方でJ2、J3は継続してリーグを消化している。
 
 代表はいま、貴重な時間を強化に費やしている。ヨーロッパ、南米、アフリカではワールドカップの切符を賭けた試合を行っている最中で、アジアでもプレーオフが行なわれている。何の意味があるのかと、この親善試合を戦っては決していけない。
 
 大事な時間だ。
 
 日本代表には、目の前にあるワールドカップの切符を掴むための力と戦術はあった。それが埼玉スタジアムのオーストラリア戦だ。しかし、サウジアラビアに勝つ力と戦術はなかった。
 
 異なる2つの試合。ここに日本のサッカーの課題がある。
 
 ひとつは勝てばワールドカップが決定。ただし、勝たなければロシアへの道が険しく苦しいことになる。勝たなければいけない試合だ。
 
 もうひとつは、逆に来年のワールドカップ出場を決め、勝っても負けてもグループ1位突破を決めた後の試合。戦術的な部分でもメンタル(気持ち)的な部分でも、良い意味でリラックスしながら自分たちらしさを出せ、失うモノもなく、掴んだものは離れていかない、やって来たサッカーを思い切って出せる試合。ある意味、本来の自分たちの姿を披露できる試合だった。
 
 勝たなければいけない試合にはしっかり勝って、失うものが何もない試合は落とした。これは力があるのか? ないのか?
 
 ニュージーランドとの親善試合は、サウジアラビア戦に近い試合でもある。
 
 繰り返すが、それは「ある意味、本来の自分たちの姿」。目指すべきサッカーをやれる。トライできる試合なのである。
 
 その試合が物足りなくても、本番で勝てば良いのか?
 
 すべてを求めたいが、本来の力とは追いつめられた時に出せる力なのか? それともそうでない状況の時に現われる『本性』みたいなものが本当の力なのか? どうなんであろう……。
 
 ただしオーストラリア戦のように、すなわち懸かった試合。いざ勝負、という試合。これに勝つことが求められているのが、プロの勝負の世界で生き抜くうえでは大事な要素なのであろう。
 
 例えば、Jリーグで言えば各クラブは大学生や地域リーグ、JFLチームを相手に練習試合を行なう。「舐めるな! ビックゲームだと思え! 集中しろ! 大事な試合だぞ!」と言っても、モチベーションを公式戦並みに上げるのは簡単なことではない。
 
 やはり公式戦とは違うのだ。
 
 逆にそういった格下のチームは、プロチームに対して全力で良いファイトを出してくる。それはアマチュアなのである。
 
 アマチュアはどんな試合でもファイトするが、プロは試合を選ぶ。僕の思う、真のプロはどんな状況の試合も自分たちの試合にする。それが本当の力なのだと思う。
 すなわちオーストラリア戦もサウジアラビア戦も勝つこと。それを皆、求めている。だから、厳しい批評になる。
 
 チームの監督もそうだ。求めていることは、どんな状況の試合も自分たちの試合にする。良い内容で勝利することだ。ただ勝つだけではなく……。
 
 それを考えると日本、韓国はアジア内で絶対的な力と言われ続けているがそれは安易な考え方だ。
 
 日本に本当の力と戦術があれば、きっとサウジアラビアはプレーオフを戦い、オーストラリアが本大会出場を決めていたであろう。今すべき論争は、本番で勝ち抜くために「今」はこれで大丈夫なのか? である。
 
 その「今」が正しかったのかどうかを決めるは結果だろう。それを見るには、本番を待つしかない。だが結果を決めるのがプロセスであれば、しっかり「今」を見極めなければならない。
 
 今、足りないことは何か。今、何をするべきか。
 
 リーグを戦うチームであれば、1日1日が勝負であり大事な時間だ。日本代表であれば、親善試合であれ、トレーニングであれ、チームとしての活動すべてが貴重な時間だ。
 
 ロシア大会本番まで、チームとしてどれだけ合わせられるかは、それこそ決まった日数であろう。「今」を大切にロシア・ワールドカップへ、いや日本サッカーの未来のために、良いサッカーを1分でも長くやってほしい。
 
2017年10月8日
三浦泰年