by Daniil Kuželev

市販のカメラやスマートフォンを使って、壁やコーナーに隠れて見えない人の動きや速度を検知することができる技術がマサチューセッツ工科大学・人工知能研究所(MIT CSAIL)によって開発されました。

Artificial intelligence for your blind spot | MIT News

http://news.mit.edu/2017/artificial-intelligence-for-your-blind-spot-mit-csail-cornercameras-1009

Turning Corners into Cameras: Principles and Methods

(PDFファイル)http://people.csail.mit.edu/klbouman/pw/papers_and_presentations/cornercam_iccv2017.pdf

MITの開発技術がどんなものなのかは以下のムービーからも確認できます。

Using Cameras to See Around Corners - YouTube

部屋の中を歩き回る2人。



その2人が見えないはずの、部屋の角の影にカメラが設置されています。しかし、このカメラはコーナーの向こうで歩き回る2人の動きを「見る」ことができます。



カメラが利用するのは、地面に反射した光。



通常であれば、人間が部屋を見たとき、何も起こっていないように見えても……



カメラを使って光に含まれている色を解析すると、陰影の変化が見えてきます。





このシステムでは、同じ方向から連続で何枚も撮影された写真をつなぎ合わせ、人工知能が陰影の変化を解析することで、見えない場所に存在するオブジェクトの動きを検知するわけです。



画像では、赤と青の服を着た2人が部屋の中を歩いていますが、カメラは2人の歩く速度やポジションの関係を捉えることが可能。2人が離れると、画面下部の曲線で示される2人のグラフの距離が離れ……



近づくとグラフが交差します。



複数の角にカメラを設置すると、2次元的なマップを作成可能。



このシステムはリアルタイムで動作するので、角の向こうで行われていることを、ライブで見ることができるようになります。



コーナーに使われている壁の素材は問われず、公園にある分厚いアスファルトっぽい壁や……



部屋の仕切り



レンガなどでもOK。



また、屋外や、光の少ない雨天環境でもシステムは機能します。



この技術の特筆すべき点は、使用するカメラが市販のものや、iPhoneといったスマートフォンでも大丈夫だという点。車を運転しているときに障害物が多く視界の悪い場所などは事故が起こりやすいものですが、上記の技術を応用すれば見えない場所の危険の察知が可能になるわけです。



ただし、記事作成時点ではオブジェクトの速さや動きなどが検知できるものの、オブジェクトの形やテクスチャを検知することはできないとのこと。また、夜間など光のない場所では動きを見ることができず、地面が安定した状態であることが求められます。

一方で、研究を行ったMIT CSAILチームのKatie Bouman氏は、「かなりのローアングルから、遠方にあるコーナーを撮影してもクリアなシグナルを受け取ることができました」と語っており、将来的には自動運転カーに取り付けて安全性を高める活用法も考えているようです。