久保建英(左)と中村敬斗(右)の2人で4ゴールを奪った。前者は1G2A、後者は3G1Aと圧巻のパフォーマンスを披露【写真:Getty Images】

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ホンジュラス相手に6得点。久保建英も納得の快勝

 U-17日本代表は8日、U-17W杯の初戦でホンジュラスに6-1で快勝。中村敬斗のハットトリックや、その他のゴールにも練習の成果が如実にあらわれた。11日のフランス戦はグループの順位を決定付けかねない大一番。そこでカギになるのは多くの得点に絡んだ前線の選手たちの信頼関係かもしれない。(取材・文:舩木渉【グワハティ】)

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 まさに完勝。スカウティング通りの相手に対し、日本は用意してきたプランを惜しげもなく披露し、ホンジュラスを完璧に抑え込んだ。

 インドで開催されているU-17W杯のグループステージ初戦、8日に行われた試合で日本代表はホンジュラス代表と対戦した。直前にフランスがニューカレドニアに実力差を見せつける大量得点での勝利を飾っていたが、日本も同じような展開を見せるとは予想していなかった。

 久保建英が「決めるところをしっかり決めた」と語る通り、決定機をほぼ確実にゴールへと変えていった結果が6得点を奪っての勝利につながった。

 ゴールまでの流れも、狙い通りの形が随所に見られた。日本の中盤にマンツーマンでマークについて守るホンジュラスに対し、ダブルボランチの福岡慎平と平川怜は冷静に対応。自分たちにマークを引きつけながら的確にボールを散らし、相手のインサイドハーフの背後、アンカーの脇の広大なスペースをアタッカー陣に提供した。

 先制点を皮切りに、久保のアシストから中村敬斗のゴールが2つ、中村のアシストから久保のゴールが1つ、左サイドの上月壮一郎のアシストから中村のゴールが1つ。ハットトリックを達成した中村が「あれはやりましたね」と笑顔で振り返った、決定機逸の場面も含めれば、上月から中村への流れでゴールに迫ったシーンはもう一つあった。

 最前線に宮代大聖が立ち、相手ディフェンスラインの裏を積極的に狙う。ダブルボランチが相手のマークを引きつけて背後にスペースを作る、という動きを繰り返したことで、久保、中村、上月という3人が比較的近い距離で、ゴールに向かって自由にプレーできたことが大きな勝因と言っていいだろう。

 中村は試合前にサイドから中へ斜めに走り込むプレーを狙うと話しており、上月も相手DFの裏が空いていると分析していた。事前のスカウティングによって明らかになっていたホンジュラスの弱点を的確に突いて圧倒した。

フランス戦は天王山。前線の信頼関係が攻撃のカギに

 選手交代によってホンジュラスは5バック気味にシフトしたが、これも結果的には悪手となってしまった。アンカーがセンターバックに下りる形で布陣を変えたため、バイタルエリアと呼ばれるボランチの背後、最も危険なスペースはさらにガラ空きに。悪循環に陥っていた。

 もっともフランス相手に同じ戦い方で勝てるわけではない。ホンジュラスよりも個人能力はずっと上のレベルにあり、組織力も段違い。特に前線に君臨するフィジカルとテクニックが高いレベルで融合したアタッカー陣の破壊力は、これまで戦ってきた相手の比ではない。

 しかし、付け入る隙はある。中村は「あれも久保選手がうまかった」と謙遜したが、チームの4点目となる久保へのアシストは練習の賜物だった。「最初はゴロ球で出したかったんですけど、相手が閉じていて出せなかったので、後ろから久保選手が走っているのが見えたので、浮き球に変えて出しました」と背番号13が語る通り、互いの信頼関係から生まれたプレーだった。複数の選手が絡む多彩な攻撃はフランス守備陣を混乱に陥れることも可能だろう。

 これまで「団結力」を武器にしていた日本は、存分に一体感を見せつけている。前線の選手たちは味方からパスが出てくる、チャンスになると信じて無駄だと思われるようなランニングも厭わない。守備でも体を張る。

 2年近くかけて作り上げてきたチームの連係は円熟の域に達し、自由なプレーを可能にしている。ホンジュラス戦で久保&中村のホットラインから生まれたゴールは3つ。上月も絡めばさらに迫力は増す。

 久保は言う。「次に勝ったら(グループ)首位で(決勝トーナメントに)いけると思うので、初戦に勝った者同士、次も自分たちは勝つつもりでいきます。もちろん相手も勝つつもりでくると思うんですけど、自分たちは過信せずに自信を持って、しっかり、強豪国相手ですけど、自分たちの力を出したい」と。

 11日のフランス戦は、グループEの天王山。攻撃のクオリティを一段上げる久保&中村のホットラインが、勝利への鍵になるかもしれない。

(取材・文:舩木渉【グワハティ】)

text by 編集部