2018年サッカーW杯ロシア大会、アジア予選プレーオフ第1戦、シリア対オーストラリア。シリアの選手(左)とボールを競るオーストラリアのマシュー・レッキー(中央、2017年10月5日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)アジア予選プレーオフは、10日にオーストラリアのシドニー(Sidney)で第2戦が行われ、シリアは持ち前の闘志を頼りに「奇跡」を目指す一方で、オーストラリアはホームのファンの後押しを背に突破を狙う。マレーシアで行われた第1戦は1-1の引き分けに終わり、物議を醸すPKを得たシリアが幸運に恵まれたのに対し、オーストラリアにとっては不満の残る結果となった。

 過酷な内戦が続く状況の中、シリアはアイマン・アル・ハキーム(Ayman al-Hakim)監督が注入した鋼の精神を大きな武器に驚くような戦いを披露し、W杯出場へ希望をつないだ。すべてはシドニーのANZスタジアム(ANZ Stadium)での90分で決まり、勝者は北中米カリブ海地区4位のチームとのホームアンドアウェー方式の大陸間プレーオフに進む。

 アル・ハキーム監督は「シドニーでは厳しい試合になるだろうし、(けがや出場停止で)5人の選手を欠くことになるが、われわれは国外でのプレーに慣れている。ファンに言いたいのは、ここまで成し遂げてきたことは単なる快挙などではなく奇跡だということだ。そしてわれわれは、全力を尽くして夢へと向かうこの旅を続けるつもりだ」と語った。

 政治的なものと思われる理由でチームを長く離れ、内戦によって分断されたチームに最近になってようやく復帰したFWのオマル・アル・ソーマ(Omar al-Soma)は、チームは自信を失っていないと主張し、「(第1戦の)ドローはフェアな結果だ。自分たちにとって、第2戦でカギになるのは闘争心と意志、そしてセットプレーだろう」とコメントした。

 紛争に苦しめられてきたシリア国民にとって政治は差し迫った問題で、10日のオーストラリア戦でも、シリア難民の人々や在豪シリア人の指導層は、スタジアムの外でバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権への抗議を行うものとみられる。

 ダマスカス(Damascus)を脱出して2014年にオーストラリアへやってきたある難民は「シリア人にとって、自分たちが耐えてきた6年間の悪夢は、サッカー代表の成功をめぐる『おとぎ話』で覆い隠せるものじゃない」と話している。

■「相手が熱を感じる試合を」

 一方、オーストラリアにとって今回のスタジアムは、ウルグアイを破って32年ぶりのW杯本大会出場を決めた2005年のプレーオフをはじめ、代表の過去の名場面の舞台となってきた場所でもある。2015年にこの場所でアジアカップ(2015 AFC Asian Cup)のトロフィーを掲げたアンジェ・ポステコグルー(Ange Postecoglou)監督は、ファンの後押しが代表の大きな力になると話している。

「選手の80パーセントが海外でプレーしている今、ホームで家族や友人の前でプレーし、観客の愛情を感じられることは、間違いなく大きなプラスアルファになる。もちろん助けになるし、ピッチ上の相手のプレーにも影響を与えるだろう。彼らは敵のファンの熱を感じることになる」

「間違いなく序盤が重要になる。力強い試合の入りをすることができれば、実質的に序盤で試合を決めることもできる」

 ベテランのティム・ケーヒル(Tim Cahill)は、現在の代表チームではウルグアイ戦の勝利を経験している唯一の選手となる。代表50得点まであと2得点に迫る37歳のケーヒルは、スーパーサブでの起用が続いているが、序盤でシリアにとどめを刺したいという指揮官の言葉を考えれば、10日はケーヒルの先発出場も予想される。

 オーストラリアはまた、第1戦では勝利を盗まれたという感覚を発奮材料にしている。オーストラリアは前半にロビー・クルーズ(Robbie Kruse)のゴールで先制したが、後半40分にイラン人のアリレザ・ファガニ(Alireza Faghani)主審が微妙な判定でシリアにPKを与え、これをアル・ソーマに決められて貴重なアドバンテージを取り逃した。

 10日の試合では、第1戦で数分しか出番のなかったスコットランド・プレミアリーグのセルティック(Celtic)でプレーするトム・ロギッチ(Tom Rogic)に大きな役割が与えられるとみられ、ロギッチのドリブルとパス、そしてロングシュートは試合の決め手になる可能性もある。

 2006年にアジアサッカー連盟(AFC)に加盟したオーストラリアは、転籍後4回連続、通算では5回目となるW杯出場を目指す。一方、母国が激しい内戦に見舞われる中で長丁場の予選を戦ってきたシリアは、W杯初出場に挑戦する。
【翻訳編集】AFPBB News