大会直前の怪我に続き、初戦も負傷交代をした福岡慎平。ただ、次戦の出場には問題なさそうだ。(C) Getty Images

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 [U-17W杯グループリーグ第1戦]U-17日本6-1U-17ホンジュラス/10月8日/グワーハーティー(インド)

 10月8日、日本にとってのU-17ワールドカップが開幕を迎えた。U-20を経験したFW久保建英を除けば、初めての世界舞台。緊張するなと言うほうに無理がある。初戦は難しい試合になるだろう。そういう見方が一般的だった。だが、選手入場の先頭に立った主将のMF福岡慎平の表情は、確かに笑顔だった。  この大会に関して福岡はどうも“お騒がせ男”の予感もする。森山佳郎監督から「心中してもいいと思える人間性がある」と評された真面目な頑張り屋さんタイプであり、キャプテンの重責を背負って戦ってきた男だけに、明らかにキャラが違う気もするのだが、囲み取材もなんだか笑い話で終わってしまうことが多い。  9月30日に日本で行なった大会前最後の練習試合。福岡は担架に乗せられて負傷退場を余儀なくされた。苦悶の表情を浮かべ、自力で歩くことさえままならず顔を覆ったまま去って行く様子から、見守ったファンも報道陣も主将を失う最悪の事態を覚悟した。    このチームを一次予選から追い続ける佐藤博之カメラマンは、様子を伝え聞いて「慎平のいない00ジャパンなんて考えられないよ」と愕然として言葉を失った。筆者もまた同じ思いだった。  ところが、実はふくらはぎを強打して打撲しただけの軽傷だった。インド入りしてからの練習も普通にこなし、試合前日の練習では先発組としてまったく違和感のないプレーを披露していた。その後の囲み取材では思わず「大げさだったんじゃないか?」と突っ込みも入ったが、「いやいや、本当に痛かったんですよ」と本人も苦笑を浮かべながら弁明して笑いを誘っていた。  そして、この前日夜には主将の福岡が中心となって選手でのミーティングが行われた。「この大会に懸ける思いとか、怪我で来られなかった瀬古歩夢の分までとか、そういうことをみんなで語り合った」。 改めて7試合を戦い抜いて世界の頂点を目指すのだという目標を共有しつつ、士気を高めた。


 迎えたホンジュラスとの第1戦で福岡は相手のマンツーマンでの対応に遭う。凡庸な選手なら思うようにプレーさせてもらえずにイラ立つ流れだが、自分と平川怜にマークが来るなら別のところを使えばいいとばかりに涼しくいなしつつ、自身はリスクを管理しつつ、カウンター対応に隙を生じないように構えた。さらに後半開始早々には、最大の武器であるディフェンス裏へのダイナミックな飛び出しからFW宮代大聖のゴールもアシスト。しっかり結果も残した。  ちなみに、この初戦でも福岡はちょっと心配になる様子を見せながら負傷退場でピッチを後にしているのだが、「いやあ、全然大丈夫です」とケロリとした顔で普通に歩いてミックスゾーンに登場。またしても笑いを誘発していた。 笑顔の主将はこの後の「6試合」でも、しっかりイレブンをリードしてくれそうだ。

取材・文 川端暁彦