与野党8党首による討論会が日本記者クラブで開催された。安倍晋三首相(自民党総裁)、希望の党代表の小池百合子東京都知事、山口那津男公明党代表、志位和夫共産党委員長、立憲民主党の枝野幸男代表らが消費増税や憲法9条改正、北朝鮮問題などを巡って討議した。

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2017年10月8日、衆院選の公示(10日)を前に、与野党8党首による討論会が日本記者クラブで開催された。安倍晋三首相(自民党総裁)、希望の党代表の小池百合子東京都知事、山口那津男公明党代表、志位和夫共産党委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、日本維新の会の松井一郎代表、社民党の吉田忠智党首、日本のこころの中野正志代表らが消費増税や憲法9条改正、北朝鮮問題などを巡って討議した。

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安倍晋三首相は党首討論会で、北朝鮮への対応を問われ「北朝鮮は核を保有している。核保有国だ」と断言した。日本政府は北朝鮮を核保有国と認定しておらず、菅義偉官房長官は9月13日の記者会見で「北朝鮮が核保有国であるという前提は受け入れることができない」としている。

また安倍首相は、北朝鮮への圧力だけでは核開発問題は解決しないとの質問に対し、「中国が北朝鮮に石油の供給を止めたことによって、6者協議の場に戻ってきたという事実もあるから、圧力は意味がないということは全くない」と反論した。

同討論会での北朝鮮を巡るやり取りは次の通り。

記者クラブ企画委員=北朝鮮問題は解散の大きな理由として、国難突破だと(安倍首相は)述べている。しかし国難というからには、国会でなぜ国難なのか理解を求める努力をしなければおかしいのでは?国難をあおっているのではないかという批判もないではない。北朝鮮に対して、さらに圧力をかけよう(というが)、その圧力の先に何があるのか。その先をどう考えているか。
安倍首相=まず北朝鮮は、核を保有している。核保有国が日本という非核保有国を脅かしたのは初めて。核を使って日本列島を消滅させるという趣旨のことを発言した。ICBM(大陸間弾道ミサイル)で、米国の首都を核で狙えるという状況になれば、かつて欧州でデカップリング論というのがあった。NATO(北大西洋条約機構)に対して、ソビエトが米国を破壊できれば、NATOに対して攻撃があった後、自分たちの国を犠牲にして報復しないのではないかという議論だ。同盟にくさびを入れる。平和安全法制もあって日米同盟は強固だ。すでに公開されている情報の中において、十分に私は国難だと思う。これ以上、北朝鮮に挑発をさせない。今ここで政策を変えさせなければ、これは日本も世界も大変なことになっていくと思う。

記者クラブ企画委員=米国はさまざまな選択を考えている。米国がどうしようとしているのかということも、かなり入っているのか。そうしないとなかなか理解を得られない。

安倍首相「日米同盟の能力も含めた防衛力そのものに尽きるから、相当のやり取りをして、(米側と)緊密なやり取りをしている。ダンフォード統合参謀本部議長や太平洋司令官、陸軍参謀総長も来て、打ち合わせをし、緊密に対応を詰めている。日本の立場もしっかりと説明をしている。完全に日本と米国は百パーセントともにあるといっていい。その中で、北朝鮮は残念ながら、今までこちら側が善意をもって話し合いをしてもうまくいかなかった。安倍政権においても、北朝鮮と話し合いをしたこともあり、ストックホルム合意をしている。残念ながら、それも裏切られている。あの時も制裁を一部解除しているが、だからこそ米国の力を中心に、国際社会が連携して、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしよう』という状況を今こそ作り上げなければならないと考えている。

記者クラブ企画委員=圧力路線の行き先が見えない。その有効性にも疑問がある。拉致問題は小泉純一郎政権が1年間じっくり外交的な解決を図って、5人の拉致被害者家族の奪還に成功したが、安倍政権下では実績が挙がっていない。そういうことを考えても、圧力は大事だが、圧力をかけながら、水面下で外交的解決を図る努力が必要では?
安倍首相=ここで水面下の努力をしていると(かどうか)いうことは話せない。小泉政権のときは、あの年、ブッシュ米大統領が悪の枢軸と北朝鮮を名指した。名指しした。(日本から)何か援助するということは一切しなかった。この米国の圧力、ある意味では軍事的圧力に北朝鮮は相当、狼狽(ろうばい)する。これは圧力の成果であるといえると思うし、2003年に中国が北朝鮮に石油の供給を止めたことによって、6者協議の場に戻ってきたという事実もあるから、圧力は意味がないということは全くない。

志位委員長=国際NGOのICANがノーベル平和賞を受賞しが、被爆国の日本が核の傘にしがみついて背を向けていいのか。被爆者の声をどう受け止めるか。(日本が不参加の)核禁条約にサインすべきでは?

安倍首相=政府内でも議論した。日本には核なき世界をつくっていく責任がある。残念ながら核保有国は条約に強く反対している。現実に結果として核廃絶に向かうには保有国の賛同を得るかたちでの国連決議が必要だ。核抑止力を否定してしまっては日本が日本の安全を守りきることができない。

志位委員長=先制的な軍事力行使は絶対やるべきでないと米国に求めるべきだ。
安倍首相=あらゆる手段の圧力を高めていき、北朝鮮が、政策を変えるから話し合ってもらいたいという状況を作る必要がある。
志位委員長=対北朝鮮で先制的な軍事力行使は破滅をもたらす。これは絶対にすべきでない。
安倍首相=北朝鮮には約束を裏切られ、話し合いを時間稼ぎに使われて核・ミサイル開発がここまできた。すべての選択肢がテーブルにあるという米国の方針を支持する。そうしたことも含め北朝鮮に圧力がかかっている。(八牧浩行)