格下と決めつけるのは間違いである。10月6日に日本代表が対戦したニュージーランドについてだ。

 オセアニア地区で戦うニュージーランドには、近隣にこれといったライバルが見当たらない。W杯予選でいくら勝ったところで、FIFAランキングを上げるのは難しいのだ。そうかといって、ランキング上位の国とマッチメイクをするのは、W杯予選が終わるまで現実的でない。彼らが強豪国の注意を惹くのは、W杯予選が世界的に終了してからであり、なおかつ、彼ら自身が本大会の出場を決めた場合になる。

 ランキングが100位台のチームを強豪と呼べるはずはなく、40位台の日本からすれば率直に物足りない相手だっただろう。しかし、10月6日のキリンチャレンジカップに限っては、ニュージーランドは悪くない相手だった。

 日本にとってのこの試合は、何が目的だったのか。テストである。

 世界のトップランカーは言うまでもなく、同等の実力国でもテストは覚束ない。守備の時間が長くなるゲームで、攻撃の選手の適性を見極めるのは限界があるからだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が守備陣をできるだけいじらなかったのも、中盤から前線にかけてのテストを成立させたかったからだろう。

 しかも、ニュージーランドはモチベーションに満ちていた。11月に大陸間プレーオフを控える彼らにとって、この日本戦は貴重なテストマッチだったのである。それも含めて悪くない相手だったということだ。

 テストの結果については、10日のハイチ戦を含めて総括したい。ここでは、より根本的な課題をあげたい。

 ミドルシュートである。ニュージーランド戦の日本は18本のシュートを放ち、そのうち8本がペナルティ外からだった。枠内へ運んだのは、2本だけだったのである。

 ハリルホジッチ監督が志向するタテに速いサッカーで、FWはDFラインの背後を狙う動きを求められる。それによって相手のDFラインを後退させることができ、ペナルティエリア手前のスペースを活用できる効果が見込める。

 ここで重要なのがミドルシュートだ。ペナルティエリア外からの一撃がきっちり枠を捕らえれば、守備側は難しい対応を迫られる。背後を狙う動きで後ずさりさせられるのに、ミドルシュートもブロックしなければならない。後ろにも前にも注意を払うDFラインは、メンタル的にもフィジカル的にも揺さぶられる。ひとりの判断ミスがDFラインの乱れにつながり、攻撃側に付け入るスキが生まれる。北アイルランド対ドイツ戦でルディが決めた右足ミドルのように、ペナルティエリア外からゴールを奪うことは戦術的な広がりをチームにもたらすと言っていい。

 もちろん、いきなり技術レベルが上がるはずはないから、次のハイチ戦からミドルシュートを決めろというのは無理がある。ただ、もう少し大事にしてほしいと思うのだ。「ゴールを狙う」という意識が明確に見えず、打つこと自体が目的になっているシュートが散見される。

 中長距離からのシュートをしっかりとワクへ持っていくことで、たとえゴールにつながらなくても相手守備陣にストレスをかけることができる。日本代表選手にとっては〈いまさらの事実〉だろうが、そうした基本的な要素をおざなりにしないことが、ロシアW杯の可能性を拡げることを改めて理解してほしいのである。