松本潤と生田斗真、対照的な”世界史教師”役で新境地! 『ナラタージュ』『先生!』で男の色気

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 高校の世界史の教師になるのは狭き門で、倍率も高く、かなり難しいという。資格があっても、なかなか生かせないとも聞く。さらに追い打ちをかけるように、この秋は世界史担当教師の株が一気に上がってしまう作品が2つも続けて公開される。

参考嵐・松本潤、『99.9』から『ナラタージュ』へ ヒット作を生み出す役者としての姿勢

 現在公開中の映画『ナラタージュ』で嵐の松本潤が演じるのは、かつての教え子である泉(有村架純)を翻弄する高校の演劇部顧問の葉山貴司。世界史を担当する高校教師役だ。そして、10月28日公開の映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』ではタイトルにもあるように、生田斗真が高校2年生の響(広瀬すず)から一途に想いを寄せられる世界史教師を演じている。この2つの作品のテーマは教師と生徒の純愛だ。

 松本潤と生田斗真。このふたりが教師として高校にいたら、どう考えても女子は当然ざわつくだろう。色めき立つこと間違いなし。ところが、彼らはごく一般的な地方の県立高校教師(『ナラタージュ』は富山県、『先生!』は岡山県が舞台)として、作品の中で見事なまでにジャニーズのオーラを封印している。世界史の先生が選びがちなサイズ少し大きめのジャケットを着て、あえてのボサッと無造作ヘア。強いエネルギーを発する高校生に囲まれた中で、憂いを帯びた表情がやけに大人の色気を感じさせる。落ち着いた佇まいのなかに飾り気のない新しい魅力を発見できる。

 今回、『ナラタージュ』で松本潤が演じた葉山先生は優しいけれど、その優しさゆえに女心を傷つける男のズルさを持ち合わせた男である。妻との関係を断ち切ることができないと観念しつつ、泉のひたむきな好意を突き放すことも自分から求めることもしない。過去に縛られ、決断を相手に委ね、無意識のうちに泉を振り回してしまう。孤独だった泉を救ったのは葉山先生だったけれど、彼の弱さや妻を想う不安定な心が泉を苦しめたのだ。泉にとって抗えないほどの彼の魅力は複雑で、ズルさも含めての男の色気にやはり圧倒的な存在感を見せつけられる。

 修羅場あり、生々しくも甘美な回想シーンで魅せる『ナラタージュ』とは対照的に、『先生!』の恋は現在進行形。生田斗真演じる伊藤先生は感情に流されず、あくまでも教師としての立場を貫こうとする。広瀬すず演じるキュートな響が不器用に、まっすぐな愛情をぶつけても「俺はやめとけ」とその想いをキッパリと拒絶する。とはいえ、「俺が教師でお前が生徒だからだ」と言われ、「あぁ、そうですね」と諦められないのが恋というもの。しかも、初めての、純粋な恋心は火がついたら、簡単には消えてくれるものではない。

 ぶっきらぼうで近寄りがたい雰囲気なのに、たまに見せる驚くほど優しい笑顔。メガネがないと近眼でぼんやりするところも、ちょっとゆるめのネクタイも……。響のライバル美術の中島先生(比嘉愛未)でなくても、これにときめかずに、何にときめけばいいのか!? 諦めるどころか、畳み掛けるように好きが押し寄せるので響でなくても心拍数が上がってしまう。

 響の加速していく恋心に対して大人の対応を貫こうとして、感情を抑え受け身でありながらも時折見せる表情には愛がある伊藤先生。恋愛に臆病になって、どうしてもブレーキをかけてしまいがちな大人が観ると、伊藤先生の揺れる気持ちがより身近に感じられるに違いない。

 恋愛のキラキラした甘い部分だけでなく、むしろ苦さや切なさ、やりきれない想いを描いているラブストーリー。理想を追い求める恋愛ではなく、抑えようとしても抑えられない強い感情や惹かれ合う普遍的な男女の物語を通して大人の男の色気を放つ。日本の恋愛映画の今後にさらに期待が高まる。(池沢奈々)