生誕50周年祭に19台が集結!希少な名車トヨタ「2000GT」に同乗試乗

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トヨタが同社初の本格スポーツカーとして1967年に発売した「2000GT」。日本車として唯一“ボンドカー”に選ばれるなど、国産クラシックカーの中でも別格の存在ですが、その誕生50周年を記念するイベントが、先頃、お台場のMEGA WEBで開催されました。

’67年から’70年までの間にわずか337台しか生産されなかった貴重なクルマですが、イベントにはそのうち19台が集結。今回はそのイベントの模様をお伝えしましょう。

2000GTは、ロングノーズ/ショートデッキのお手本と呼べるようなデザイン&設計を採用。流れるようなボディラインや、適度にエッジが立ったテールのデザインは、今の目で見ても文句なしにカッコいいですし、同時代の海外メーカー製スポーツカーと比べても、全く見劣りしない完成度です。

パワーユニットは、2リッターの直列6気筒エンジンを車軸よりも後方の車体中央側に搭載。今でいうところのフロントミッドシップですね。「クラウン」用のSOHCエンジンをベースに、ヤマハがDOHC化したエンジンは、150馬力を6000回転で発生。トヨタとヤマハで共同開発された点も、2000GTの大きな特徴といえるでしょう。

ヤマハはエンジンのほかにも、シャーシの細部設計や内装を担当。木製のステアリングホイールやインストルメントパネルはどちらもヤマハ製で、楽器メーカーから分業した同社の作品らしく、楽器用の高品質な木材を加工したものといわれています。今見ても、インテリアが古臭さを感じさせないのは、こうした細かい部分にも一切手を抜いていないからでしょう。

今回は、トヨタ2000GTオーナーズクラブから16台、それ以外に3台が駆け付けました。イベントでは、16台のオーナーがそれぞれ自身のクルマへの思い入れや自慢のポイントなどを紹介する場面も。エンジンのオーバーホールを機にエンジンルームをキレイに仕上げ「それが見えやすいように」とボンネットの裏側にミラーを設置したというオーナーや、自らの手でレストアを行った人、非常に希少な純正クーラーが付いているのを自慢するオーナーまで、それぞれのクルマにそれぞれのエピソードがあることが伝わってきます。

2000GTが発売される際、採用が検討されたものの耐久性の面で見送られたワイヤーホイールを現代の技術で形にしたというクルマや、北米で活躍したレースカーのカラーリングを再現した車体、第3回日本GPで活躍した車両のイメージを復刻したものまで、車体の方も個性豊か。ただでさえ希少な車種ですが、その中でも、車両ごとに固有の逸話や個性を持っているのは、50年という歴史のなせるわざでしょうか。

続いては、MEGA WEBのライドワンコースを使っての全車でのパレードラン。約20台の2000GTが吐き出すエキゾーストノートは迫力満点で、多くの来場者の注目を集めていました。走っているのを見掛けることさえ稀な2000GT。これだけ多くのクルマが連なって走るシーンを見られただけでも、貴重な体験だといえるでしょう。

さらに今回は、この希少な2000GTに同乗試乗することもできました。着座位置の低い助手席に乗り込むと、視界は完全にスポーツカーのそれ。視界は広いのですが、ノーズが長いので見切りはあまり良くなく、運転に慣れないうちはフロントを当ててしまうオーナーも少なくなかったとのことでした。

乗り心地は予想以上に快適で、さまざまな路面を再現したMEGA WEB内のコースでもゴツゴツと跳ね上げられるような挙動はなく、上質なスポーツカーらしいフィーリング。空力性能が優れているためか、この時代のクルマにしては風切音が少なかったのも印象的でした。

また当日は、開発初期から関っていたドライバーの細谷四方洋さんや、2000GTで第1回日本グランプリに出場した津々見友彦さんも参加。市販の前年、13の国際記録を樹立した72時間スピードトライアルの思い出を語ってくれました。

チャレンジ当日は台風が接近していて、強風の中、同じ速度を維持することが大変だったこと、走行する回転数が細かく指定されており、それに合わせるために気を遣ったことなど、今だから聞ける逸話が盛りだくさん。そうしたことを思えば、1万5000kmを走破して平均速度が200km/hオーバーだったことが、いかに大変な記録だったのかがうかがえます。最後はおふたりとも「もう1回やれといわれても、やりたくない」と言葉をそろえていらっしゃいました。

集まったクルマは自由に見学することが可能だったため、当日は多くの一般来場者も詰めかけました。印象的だったのは、思ったよりも若いカップルや家族連れが多かったこと。屋内にある子ども向けの電動カーも、この日ばかりは2000GT仕様になっていて、お子さんの目にも2000GTは印象的だったのではないでしょうか。当日集まったオーナーの中には、お父さんから受け継いだクルマを親子2世代で乗っているという人もいらっしゃいましたが、そうやって世代を越え、クルマ文化が受け継がれていくのは、とても素敵なことだと感じました。

(文&写真/増谷茂樹)