倉田秋(撮影:Noriko NAGANO)

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ニュージーランド戦で決勝ゴールを取った後、倉田秋はヴァイッド・ハリルホジッチ監督から聞かれたそうだ。

「お前、ヘディングで点を取ったことあるのか? あれが初めてなのか?」

倉田は笑いながら「結構取ってるんですよ、1年に1回ぐらい」と語った。

倉田は日本代表としてピッチに入るとき「普段どおり」を意識しているという。「あの緊張感の中で普段どおりやることが一番難しいので。練習でやっていることを出そうという気持ちだけです。あんまり深く考えすぎないので」

今季は人に使われるだけではなく、うまく人を使うようになりプレーの幅が広がった。

「チーム事情もありますけどボランチをやることも増えて、いろんなことが吸収できていると思います。ボランチだったら遠藤保仁さんがやってることを自分がやらなければいけなくなってきたし、そういうのを毎日真剣にやってるから自分の身に付いてきたと思います」

日本代表の同じポジションにはライバルが多い。その中でもこれまでで一番実績があるのは香川真司ということになるだろう。得点を奪ったことで存在感を示したのではないか。

「僕は誰がライバル視とか、誰かを目標にしてやってきたとか、そういうのはないので。選手を使うかどうかは監督が決めること何で。自分はとにかくサッカー楽しもうというのが根にあるところです。自然体で、出たら出たときに楽しもうと」

監督にからかわれながらも、大きなアピールにはなったはずだ。

「(ゴールは)アピールになったけど、あの1試合で終われば何もなくなるし、ラッキーな選手がいたと言うことだけで終わると思うので。これをワールドカップ始まるまでじゃなくて終わるまで、でも終わってもサッカー人生は続くんで、終わった後も維持していかないと評価されないと思います。だからゴールで逆に引き締まった気がします」

一通り話したあとに、報道陣から「ありがとうございました」と声をかけられた倉田は、自分も「ありがとうございました」と挨拶してミックスゾーンを歩いて行った。去り方まで自然体だった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】