つまり、“どのチームと戦うか”ではなく、“どこで戦うか”を先に決める。韓国のようにロシア、モロッコといったマッチメークができれば理想的だが、そのうえでニュージーランドとハイチに決まれば、それでもOK。少なくとも欧州組が抱えるリスクはなくなるし、相手も主力を集めやすい。

 今回のハイチでも、フランスのカーンに所属するFWエルベ・バジルは、日本との距離、時差を理由に招集を辞退している。このようなケースは減るだろう。過去にアフリカの代表チームを日本に呼んだ時も、彼らが良い状態で来ることは少なかったが、欧州開催なら話は変わってくる。
 もちろん、国内での親善試合も、日本代表の長期的な発展においては大切だ。アジアの予選を戦う間は、長距離移動に慣れる必要もある。だから、この欧州開催の案は、ワールドカップ直前の1年限定だ。
 
 今回、ニュージーランド戦でスタメンに名を連ねたのは、欧州組が8人、国内組が3人。このバランスを鑑みても、少なくともワールドカップ直前イヤーは、欧州組のコンディション重視に舵を切ることを検討したほうがいい。本大会に調子の良い選手を送り出すために。また、『Jリーグ・アジア戦略』のように、『日本代表・欧州戦略』として、スポンサーメリットを付けられれば尚良い。
 
 あるいは、国内のマッチメークで親善試合を行なうなら、欧州組の希望選手を招集外とする案も考えられるだろう。実質的に、海外の代表チームはそれをやっている。もちろん、これには代表監督の同意が必要だ。
 
 しかし、そもそも日本代表は、欧州組と国内組が同じチームで活動するところに価値があり、欧州組のピリッとしたトレーニングの雰囲気、コンディション管理のこだわりに刺激を受け、国内組が開眼する例も珍しくない。そうした意識の高さが、脈々と受け継がれる場が日本代表であり、招集を国内組に限ると、その意義が薄くなる。個人的にはネガティブな案だ。
 
 いずれにせよ、ワールドカップに向けた強化のあり方は、現状がベストとは思えない。
 
文:清水英斗(サッカーライター)

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