10月6日に豊田スタジアムで行なわれた一戦は、日本にとって来年のW杯本大会へ向けた親善試合のひとつだ。しかし、対するニュージーランドにとっては、来月に予定されている大陸間プレーオフに向けた非常に重要な最終テストの場だった。


後半14分に同点に追いつかれ、肩を落とす香川ら

 その相手は10月11日(日本時間)の南米最終予選で決まることになるが、チリ、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、パラグアイのいずれかになる。2010年大会以来、3度目の本戦出場を目指すオールホワイツ(ニュージーランド代表の愛称)は、劣勢が予想される大一番の前に日本の胸を借りたわけだ。

 試合後、ニュージーランドのアンソニー・ハドソン監督は「どれほど準備をしても、試合が始まれば、日本のように強いチームは素早く攻め立ててくる。ただ実際、我々はそうした(苦しい)時間帯にどう対処するのかを学びたいと思っていた」と話した。では、実際にプレーした選手たちはどう感じたのだろうか。

 まずはこの試合で、打点の高いヘディングでネットを揺らしたクリス・ウッドに話を聞いた。プレミアリーグで好調を維持するバーンリーのレギュラーFWは、「思っていた通り、日本はとてもいいチームだった。ワールドカップ本大会の出場権を獲得したのは偶然ではないよ」と相手に敬意を払いつつも、試合の結果には納得していない様子。「率直に言って、引き分けが妥当だったと思う。PKの判定も厳しいものだった」と続けた。

 マッチアップしたサウサンプトンの吉田麻也については、「なかなか自由にさせてもらえなかったよ。来月(のサウサンプトン戦)にまた対戦するはずだけど、その意味ではいい準備になった。これもまた代表戦の面白いところだね」と感想を述べている。

 もうひとりのプレミアリーガー、ウェストハムのウィンストン・リードはニュージーランド代表のキャプテンだ。5シーズン前にクラブの最優秀選手に選ばれたタフなCBは、優しさと知性を感じさせる両目をまっすぐこちらに向けて、次のように語った。

「日本はヨーロッパのクラブでプレーしている選手がたくさんいて、個人能力の高さは明らかだ。負けたチームの僕が言うことではないかもしれないけど、きっと(日本代表には)いい未来が待っているはずさ。僕と対峙したストライカー(大迫勇也)も手ごわい相手だった」

「プレーオフの相手はアルゼンチンかもしれないね」と投げかけると、「そうだね。どこがきても、やるだけさ」と、世界の第一線でプレーを続ける主将は笑い飛ばした。

 オランダのヘーレンフェーンで小林祐希と同僚のマルコ・ロハスは、敗戦後にもかかわらずリラックスした表情で取材エリアに現れた。終了の笛が鳴った後、小林とシャツを交換した25歳のMFは、「来月のプレーオフの前にいい準備ができたと思う」と話し始めた。

「ちょっとしたミスが命取りになることは、今日の日本戦で再確認させられたよ。日本の選手には、とても高いスキルを見せつけられた。まあでも、アジアでずっとトップに君臨しているのだから、彼らが強くなったのは今に始まったことではないけどね。

 最も印象に残ったのは、(ヘーレンフェーンでの)チームメイトの彼(隣にいた小林を指して)だよ。それ以外に答えようがないでしょ(笑)。それは冗談として、香川(真司)を筆頭に中盤にはスキルフルでスマートな選手が揃っている。南米勢とのタフなプレーオフの前に、日本のような相手と対戦できたのはすごく価値のあることだった。相手はアルゼンチンかもしれないし、ほかの4カ国かもしれない。火曜日の南米予選の最終戦は気になるけど、どこがきてもベストを尽くすよ」

 最後に、この日のピッチに立った最年少選手、18歳のデーン・インガムは少年のように目を輝かせて、「スター選手」たちとの対戦を興奮気味に語ってくれた。

「香川はすごかったなあ。動きがものすごくシャープで、常に僕らの1、2歩先にいるような感じだった。あとは左サイドの長友にも驚いた。キレがあるうえ、体も強い。イタリアの名門クラブで長年にわたってプレーしているのも頷けるよ。

 大陸間プレーオフは極めて重要な試合だ。相手がアルゼンチンではないことを願うけど、どこがきても強豪であることに変わりはない。その意味でも、今日の日本戦は意味のあるものだった。個人的には、日本も南米の強国と通じる部分があると思うし、自分たちよりも格上の相手であることに変わりないから」

 この試合を糧(かて)にして、ニュージーランドが番狂わせを起こすことができるか。最大の難関に挑む彼らの健闘を祈りたい。

■サッカー代表記事一覧>>