日本は先制するもニュージーランドのウッドに同点のヘディングシュートを決められる。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 6日のニュージーランド戦は、大迫のPKと倉田の代表初ゴールで、日本が2対1で勝利したね。
 
 この日、日本のなかで輝いたのは、途中出場の選手たちだった。決勝ゴールを奪った倉田の飛び出し、左サイドを何度も切り裂いた乾のドリブル、そして流れを引き戻した小林のゲームメイクなど、定位置を狙う新戦力が、それぞれの特長を発揮して、追いすがるニュージーランドを突き放した。
 
 スタメンに名を連ねた攻撃陣のバリュエーション豊かなプレーも楽しみにしていたが、あまり見ることはできなくて残念だった。後半途中から乾や浅野が入って攻撃にスピード感が生まれてきたのは褒められるべき点だが、18本のシュートを放って2ゴールしか奪えなかったのは物足りない。ゴール前での精度の高さが香川の武器であるだけに決定的なシーンでは確実に決め、ニュージーランドに“格の違い”を見せつけてほしかった。
 
 理想のシナリオは、前半のうちにゴールを奪って早々と勝利を決定付けさせて、もっと早い時間帯から新戦力を試していきたかった。チームの総合力ではもちろん日本のほうがワンランクもツーランクも上だが、ベストメンバーで臨んできたニュージーランドは、FIFAランキング(113位)以上の実力を持っていた。そうしたなか、日本が自分たちの決定力不足以上に頭を悩ませていたのは、クリス・ウッドの存在だった。
 
 ニュージーランド相手に失点は避けたいところであったが、191センチの体格を活かしたあのヘディングの強さは、ワールドクラスだと言わざるを得ない。クリスは、僕が所属するリーズ・ユナイテッドで8月までプレーしていた。昨シーズンのチャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)の得点王に輝いた選手だ。今年の夏に約21億円と言われる移籍金でプレミアリーグのバーンリーに移籍したけれど、移籍前の8月にリーズで挨拶を交わし、練習や試合で何度も見ていた。「ニュージーランドに、こんなに素晴らしいストライカーがいるんだ!」と驚いたことを覚えている。
 
 典型的なストライカータイプで、強烈なシュートとゴール前のヘディングに絶対の自信を持っている。決して器用な選手ではなく、粗削りな部分はあるけれど、“一発”を持っているFWであることは間違いない。それがニュージーランドの強みであって、クリス頼みという分かりやすいチームでもあった。
 
 日本はもっとも警戒していたクリスの“一発”でやられてしまったのだから、反省しなければいけないが、逆に言えば、ワールドカップでも体感するであろう、ゴール前の迫力を感じられたのは、今回のテストマッチの収穫だったと言えるんじゃないかな。そういった課題を見つけることも、テストマッチのいいところだから。
 
 今回の10月シリーズでは、オセアニアのニュージーランド、北中米カリブ海のハイチと対戦し、11月の欧州遠征では、南米のブラジル、ヨーロッパのベルギーと戦う。12月の東アジア選手権ではふたたびアジアの国々としのぎを削って、年が明けてからアフリカの国と対戦すれば、世界全6大陸を制することになる。もちろん“強化”という点で見れば、ニュージーランドや次のハイチというチームは物足りない相手ではある。でも、ワールドカップ本番では、あらゆるタイプのチームと対戦する可能性がある。それだけに、世界の各大陸とのチームと対戦しておくことは大事なことだ。
 
 そうした強化試合を重ねていくなかで、チームとしての絶対的ノルマとして、飛び道具を発掘しておきたいところだ。
 
 このコラムでずっと言い続けていることだけど、やはりワールドカップの舞台になれば、接戦の試合が続く。そうしたなかで勝敗を分けるのが、セットプレーとミスだ。サッカーにミスはつきものだが、セットプレーの精度は意図的に作り出せる。
 
 右は清武、左は柏木といった候補選手がなかなかチームに定着しないのもあるが、日本の勝率を上げるためにも、本番までの残り8か月で、中村俊輔のような左のスペシャリスト、遠藤保仁のような右のスペシャリストが台頭してくれることを願っている。とくに左のスペシャリストは候補が少ないだけに、オランダで着実に成長し、実力をつけている小林は面白い存在だ。

■プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からVVVフェンロのコーチとして指導にあたり、昨季リーグ優勝と1部復帰に導いた。来季よりイングランドのリーズ・ユナイテッドへスタッフ入りする。また、今年7月より藤田俊哉×H.I.S.ブログ『藤田俊哉サロン』がスタート( http://www.sports-his.com/fujitai_column/index.html )