お墓の「永代使用権」が永遠ではない理由

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■霊園から買うのは何の権利か

お盆の季節。お墓参りを何年もサボっている人は注意したほうがいい。霊園からお墓の永代使用契約を解除されるおそれがあるからだ。

永代使用契約は、文字通り永遠にお墓を使い続ける契約。永遠が保証されているはずなのに、なぜ途中解約されるのか。それを理解するには、永代使用権の法的な性格を知る必要がある。

お墓を建てるとき、使用者は霊園にお金を払って「永代使用権」を買う。永遠に使い続けるのなら、土地を買ったも同然のように見えるが、土地を買った場合に得られる「所有権」とは法的な性格が違う。小松初男弁護士は次のように解説する。

「所有権は、『使用』『収益』『処分』ができる権利です。一方、使用権に許されているのは『使用』することだけ。『収益』をあげることはできないので、お墓の区画の又貸しはダメ。『処分』できないので転売も許されません」

所有権との違いはほかにもある。たとえば霊園が間違って同じ区画を別の第三者にも販売したとしよう。所有権があれば、あとから買った人に対して「ここは自分のものだ」と主張して工事の差し止め請求ができる。これは所有権が「物権」(物に対する権利)の一種だからだ。

一方、使用権は債権(人に対する権利)の一種であるため、霊園に対して「他人が工事を始めた。債務不履行だ」と損害賠償請求できるだけだ。

■墓参りその他を10年サボると消滅

そしてこのような法的性質の違いは、消滅時効(権利を一定期間行使しなかったときに権利が消滅すること)の有無や期間にかかわってくる。

消滅時効は、所有権にはなし。つまり権利は永久に残る。

「所有権以外の物権」の消滅時効は20年、債権は10年だ。使用権は債権なので消滅時効は10年となるが、お墓の永代使用権は少し事情が複雑だ。

「永代使用権は、基本的には債権ですが、『物権的な性格を持つ土地使用権』であるとする判例があります。したがって権利を行使していなかった場合、霊園に対しては10年で使用権が消滅。第三者に対しては20年で排他的な主張をする権利が消滅すると考えるのが妥当でしょう。『永代』とはいっても、使用しなければ消える権利なのです」

では、墓地を「使用する」とはどのような行為を指すか。

墓地には、遺骨が埋葬されているが、人間は死ぬと権利能力を失うため、仮に契約した本人が埋葬されていても「使用している」ことにはならない。永代使用権を引き継いだ新たな使用者が墓参りしたり、管理料を納めることが墓地の使用であり、それをサボり続ければ墓地を使用していないと解釈される。

「実際は10年待たずに契約解除もありえます。管理料を支払わずに督促にも応じなければ、信頼関係が壊れたとして契約解除が認められる可能性もあります。5〜6年滞納し続けたら黄色信号です」

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 小松初男 図版作成=大橋昭一)