日常からアイディアを生み出す発想術「すべてのことはメッセージ」【魂が燃えるビジネス】

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いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第19回

 この世にアイディアを必要としない人間はいません。発想や閃きというと実業家や科学者など縁遠いイメージになってしまいますが、部下や上司に「なんて言おう?」あるいは抱えているプロジェクトや問題に「どうしよう?」と頭を悩ませることは珍しくありません。それがアイディアを必要としている状態です。

 しかし、そんなピンチを一瞬で救ってくれる魔法はなかなかありません。世の中には「こうすればアイディアが閃きます。創造的に生きられます」というノウハウがたくさんありますが、それを実行した次の日から「本当だ。どんどん発想が湧いてくるぞ!」と実感できるケースはごく少数でしょう。

 とはいえ、これは発想法がダメなわけでも、提唱者がウソをついているわけでもありません。問題は受け手である私たちにあります。書籍やセミナーを通してノウハウを受け取ろうとすると、つい「答え」を求めてしまうのです。

 大切なのは「答え」ではなく「問いかけ」です。ある問題に関して「どうすればいいのか?」を問い続けることで、私たちは世の中や身の回りの出来事を答えに変えられるようになります。

 たとえばここ数年「Uber」というアプリが注目を浴びています。一般人もドライバーとして登録できるライドシェア(相乗り)の皮切りですが、これには「クルマの空席をリソース(資源)として利用する」という発想があります。

 家から一歩出ればクルマの空席はいくらでも見つけられます。それは全世界の何十億という人間が毎日のように見てきた風景です。しかし、これをアプリと組み合わせて配車サービスを始めたのはUberだけでした。彼らは世の中や身の回りの出来事を自分の答えに変えたのです。

 街並みや世間話、偶然知ったニュースや読んでいる本の一小節。答えは日常のあらゆる所に眠っています。それはシリコンバレーの新興企業だけでなく、私たちの仕事や人間関係に対しても開かれています。その答えを掘り起こせるかどうかは、どれだけ深く問いかけられるかにかかっています。

 アルキメデスは湯船の中で浮力を発見しました。彼は「どうしたら王冠が純金製かどうか確かめられるか?」を考えていました。ニュートンは樹から落ちるリンゴを見て万有引力の法則を発見しました。彼は「りんごは落ちるのに、なぜ月は落ちてこないのだろうか?」と考えました。

 こうしたエピソードはフォークロアだとも言われています。しかしそれが印象に残るのは、人間の心理を的確に表現しているからです。そして、それは古代や近世といった昔に限らず今も変わりません。

 スタジオジブリの映画『魔女の宅急便』の主題歌「やさしさに包まれたなら」にこんなフレーズがあります。

「カーテンを開いて 静かな木洩れ陽のやさしさに包まれたなら きっと目にうつる全てのことは メッセージ」

 人間の心にはそうした万能性があります。それを発揮できるのは心が開いている時だけです。「AをすればBになるはずだ」という考えに囚われると、心の扉は閉じてしまいます。方法論やロジックにこだわることで、かえってアイディアが枯れてしまうのはなんとも皮肉です。

 学校教育によって私たちは「できるだけ早く正しい答えを見つけなくてはならない」と思い込まされています。しかし、それが通用するのはペーパーテストのように正解が決まっている問題だけです。

 そうしたノウハウが役立つ場合もありますが、すべてがそれで片づくわけでもありません。仕事について、あるいは人間関係について、新しい視点を欲している時はまさにそうでしょう。