(写真提供=FA photos)

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ロシア・ワールドカップ出場を決めたサッカー韓国代表の周辺が何かと騒がしい。9大会連続10回目の出場を決めたが、ファンや大衆たちは不甲斐ない試合内容に幻滅し、フース・ヒディング監督再登板を熱望する声も出ていると聞くが、その喧噪ぶりはサッカー日本代表とは対照的だ。

(参考記事:名将ヒディンクが韓国代表監督に再登板を表明!? その真相を探る)

日本も韓国同様に予選序盤で苦戦が続いたが、最終的にはグループB1位でロシア行きを決めたヴァヒド・ハリルホジッチ監督の手腕を評価する声も上がっている。ハリルホジッチ監督はメディアとの衝突も絶えず一時は解任説もあったが、それもどこ吹く風だ。

「無駄が多い」という理由で日本が得意としてきたパス回しを封印させ、「デュエル(フランス語で決闘という意味)」を連呼しながら局地戦と直線的にゴールに向かう現実主義的な戦術を追及し、本田や香川ら既存の主力や欧州組さえも本調子でなければ起用しない容赦なき選手管理などは、日本のサッカーファンたちから全面的に受け入れられたわけではないが、日本でもっとも有名な総合スポーツ誌『Number』が「ハリルホジッチの勝利」だと大特集を組むほど。

数年前までは日本でも韓国代表レポートが……

ロシア行きを決めても騒がしい韓国サッカーとはあまりにも対照的だが、個人的に危機感を感じるのは、韓国サッカーに対する日本の関心度が近年、急激なスピードで薄らいでしまっていることだ。

というのも、日本のテレビや雑誌では韓国サッカーを何かと気にかけるところがあった。新聞では試合結果が紹介され、専門誌では韓国代表レポートが頻繁に掲載された。

特に2002年W杯以降は、韓国が良い成績を上げれば「その強さの要因」が特集され、韓国が衝撃的な敗北を喫すれば、ご丁寧に韓国のメディアやファンの反応を丁寧に紹介しながら、「アジアの虎の危機」と煽ったものだった。

筆者は1996年から日本の新聞や雑誌で、韓国サッカーに関する記事を寄稿してきたが、韓国サッカーは“大きな稼ぎ頭”だった。

かつては「勝っても負けても韓国に学べ」的な空気があった日本だが

ところが近年は“稼ぎ頭”どころか仕事の依頼すら激減している。

数年前ならシュティーリケ前監督の解任も、ヒディンク監督再登板論もビッグイシューとして取り上げられたものだが、それらの深層レポートを出版社や新聞社に売り込んでも良い返事は返ってこない。

かつては「勝っても負けても韓国に学べ」的な空気があった日本だが、最近は中国サッカーの特集のほうが増えたくらいだ。とあるサッカー専門誌では、韓国を差し置いて東南アジアのタイのサッカー特集号を実施したほどである。

これは、それだけ日本における韓国サッカーのバリュー(価値)が失墜したと言えるだろう。

想像するだけで鳥肌立つもっとも恐るべきものとは?

イランやウズキベスタンはおろか、カタール、中国、シリアにまで苦戦する韓国を、もはや日本はライバル視していないのだ。ACLなどではKリーグ勢をライバル視するどころか、「粗くて野蛮で厄介な相手」という程度の扱いでもある。韓国の人々が思う以上に、日本は韓国サッカーを意識していない。気にかけてなくなったのだ。

一見するとそれは、日本と韓国のサッカーが対等な関係になったと言えるかもしれないが、関心が薄まりそれが「無関心」にまで成り下がってしまうかもしれないと思うと、恐ろしさに鳥肌が立つ。

筆者の食い扶持がなくなってしまうからではない。「無関心」ほど恐ろしいものはこの世にないからだ。

誤解を恐れずに言えば、韓国サッカーは日本という宿命のライバルがいることで発展を遂げてきたはずであるし、日本に勝つことでその存在意義を示してきた。

日本の存在が韓国サッカーの発奮材料であり、それは日本も同じだったはずだ。だが、今や日本は韓国サッカーを意識しなくなったどころか、見向きもしなくなりつつある。この現実は限りなく重い。

(文=慎 武宏)

初出:『スポーツ・ソウル』(2017年9月25日)