韓国では、日本大使館前をはじめとする40ヶ所以上に慰安婦少女像(正式名称は平和の少女像)が建てられたのに続き、今年8月にはソウルの龍山駅前に、太平洋戦争中に日本の炭鉱などで強制労働をさせられた犠牲者を追悼する強制徴用労働者像が建てられた。

すると今度は、中国大使館前に「脱北家族像」を建てようとするキャンペーンが始まった。

韓国の保守系民間団体、「韓半島人権と統一のための弁護士の集まり(韓弁)」は、ソウルの中心部、明洞(ミョンドン)にある中国大使館前に、中国政府による脱北者の北朝鮮への強制送還をやめさせるために、このような銅像を建てる運動を進めている。

同団体のキム・テフン代表は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)とのインタビューで、従軍慰安婦という70〜80年前に起きた人権侵害を巡り大々的なキャンペーンが行われているが、現在進行形の人権侵害である脱北者の強制送還に世論の関心が低いとして、それを変えるために脱北家族像を建てる計画を発表した、と述べた。

この像のモデルとなるのは2002年、瀋陽の日本大使館に駆け込み、中国公安によって一時身柄を抑えられながらも、脱北に成功したキム・ハンミちゃん一家だという。建設費1億ウォン(約987万円)を集める募金キャンペーンを行い、世論を喚起しつつ、発泡スチロールで仮の像を建てた上で、募金が目標額に達したら銅像を建てるという計画だ。

しかし、このキャンペーンが成功するかは未知数だ。

保守系の弁護士からなるこの団体の共同代表を務める蔡明星(チェ・ミョンソン)氏は、刑事被告人となっている朴槿恵前大統領の弁護人団の一員で、韓国国民からの受けが良いとは言えない人物だ。また、キャンペーンを進める各団体は保守色が強く、歴史や人権問題に関心が高いリベラル層から協力を得るのは困難と見られる。

さらに、このキャンペーンを共同で行っている北韓人権団体連合の一部メンバーは、国家情報院がネット上の世論操作を行っていた事件に関与した疑いで取り調べを受けるなどしており、過去の保守政権との密接な関係がキャンペーンの足を引っ張る可能性がある。