なぜ日本代表の“武器”は失われたのか? ハリル監督が「受け入れられない」と苦言 

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ニュージーランド戦勝利後、相手ゴール付近での直接FKの少なさに言及

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は、6日の国際親善試合ニュージーランド戦で2-1と勝利したことについて、試合後の記者会見で様々な要素を話したなか、「受け入れられない」と苦言を呈している。

 それは直接フリーキック(FK)についてだった。

 ハリル監督が「オーストラリアはFKとCKだけで得点の6割を取っている。強豪チームもセットプレーから点を取る」と話したように、セットプレーというのは貴重な得点源だ。以前の日本代表では、欧州にもその名が響いたMF中村俊輔(ジュビロ磐田)や、MF遠藤保仁(ガンバ大阪)、FW本田圭佑(パチューカ)といった選手たちが、国際試合で鮮やかなFKを決めた場面があった。

 しかし、ここ最近の日本代表のゲームを思い返してみると、そうした直接FKでゴールが決まったシーンは記憶から出てこない。 それもそのはずで、ハリル監督が話したのは根本的な原因だった。

「ここ最近20試合くらいで、相手のエリア付近でFKのチャンスが全くなかった。それは受け入れられない。ワールドカップでは、そういうFKで良いボールを蹴れば、それが決まって勝利につながる。日本はデンマークを相手にFKで2点取ったからこそグループを突破したはずです。中村を含め、良いキッカーやたくさんの得点を取った選手がいるのは知っているが、その前にFKを取ることができているわけです。今の日本には以前のようなキッカーがいないのは事実かもしれない。しかし、キッカーがいたとしてもFKがなければ点は取れない」

相手ゴール前でファウルが減った理由

 言われてみれば、ごもっともという話だ。セットプレーキッカーが直接ゴールを狙う機会がなければ、ゴールが生まれるはずもない。何もないところから、FKからのゴールという結果だけは取りだせないからだ。ハリル監督が話すように、FKからゴールを得るためには、当然FKを得なければいけない。日本サッカー協会による公式な資料では、ニューランドを相手に61パーセントのボールポゼッションを記録し、シュート18本、コーナーキック11本を獲得したが、直接狙える位置のFKは皆無だった。

 では、なぜ日本代表は相手ゴール前で受けるファウルが減ったのだろうか。

 一つは、ゴール前の狭いエリアで強引にでもドリブル突破やワンツーなどで突破する機会が少ないからだろう。相手がファウルする瞬間というのは、純粋に攻撃側の技術が上回る場合もあるが、相手に突破される恐怖感を覚えた時に多い。相手と近い距離をすれ違うようにスピードアップする瞬間が少ないため、そうした恐怖感を与えられていないのではないだろうか。

 もう一つは、相手選手を背負ったFWにショートパスを入れるのを避ける傾向が強いからではないかと見える。確かに、縦パスをインターセプトされれば、ゴール前まで攻め込んでいたとしてもカウンター攻撃を受けるリスクはある。しかし、ゴールに近いところでポイントを作られて嫌がらないDFはいない。当然、そうした場所で受けるFWに対して当たりは厳しくなり、それが結果的にファウルを誘発する。フリーな選手を作りながらボールを回すことの多い日本だが、マークされているのを承知でボールをつけることも必要となりそうだ。

世界を驚かせてきた日本の直接FKだが…

 FIFA(国際サッカー連盟)主催の大会で初めて決勝進出した2001年のコンフェデレーションズカップで、準決勝を突破したのはMF中田英寿の直接FKだったし、10年の南アフリカ・ワールドカップ、グループリーグ第3戦のデンマーク戦では、本田と遠藤がそれぞれ鮮やかなFKを決めた。日本が世界を驚かせるような結果を残そうと思えば、直接FKは得点源として不可欠な要素となるのは間違いない。

「ワールドカップでは、そういうFKで良いボールを蹴れば、それが決まって勝利につながる。メンタル、戦術、テクニック、色々なところで選手たちのトレーニングをしなければいけない」

 ハリル監督の言葉は、少なくとも過去にあった日本の武器が今は失われていることを示している。それを復活させるためにも、より強気なプレー選択でゴール前に迫っていくことが求められるはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images