フォトブック『CHEERS』で“自分の弱さ”に向き合えることができたという伊藤千晃(撮影=冨田味我)

 モデルでタレントの伊藤千晃(30)が6日、出産後初の作品となるフォトブック『CHEERS』(主婦と生活社)を発売した。今年7月に第一子を出産。妊娠初期から臨月までの姿をとらえた今回の写真集は、自身の内面を赤裸々に語ったインタビューなども収められ、まさに“彼女の素顔”を映し出した作品といえる。幼少期、言葉を使って自分の心を表現するのが苦手だった彼女は10代で芸能界入り。「格好良い自分でありたい」と強がってきたが、妊娠・出産を経て「自分の弱さ」を認めるようになったという。今回の写真集では、そうした心の変化も表情に表れた。いま彼女は何を思うのか、インタビューを通じて“素顔”に迫った。

素顔の秘密、一人という不安

「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社)

――ブログで沐浴に慣れてきた事を投稿されていました。大変ですよね。

 そうなんです。首がすわっていないから凄く怖いんですよね。しかも、バタバタと動くようになるとヒヤヒヤしますよね。それでも、ようやく慣れてきてスムーズに時間をかけずにできるようにはなっています。大変ではありますけど、幸せな時間です。

――今回の写真集は、妊娠が分かってから臨月を迎えるまでの姿を収めています。私感ですが、写真集を見たときに、千晃さんの心境の変化を感じました。写真集にも「特別な時期に作りたかった」と書かれていますが、なぜでしょうか。

 一人の女性としてまた新たに生きていくという決断をしたときに「何か形として残したい」という想いがありました。

 自分の素顔をここまで出した作品は今までなかったんですね。今回の作品で沢山の素顔を出したのは「本当の私はこんな感じなんだけれども、皆さん受け入れてくれますか」というメッセージも込めているんです。素顔を見てもらい「こんな私だけれども、これからも着いて来て欲しいな」という思いを届けたかったので、それでこのタイミングで“形”にしました。

――妊娠するというのは女性にとっては特別な事であり、家族にとっても重要な事ですよね。妊娠されてから臨月を迎えるまで、心境はどう変化していったのでしょうか。

伊藤千晃

 実は撮影毎に心境は全く違っていました。凄くワクワクして楽しい想いで臨む時もあれば、突然と寂しくなったり、心配になったり。色んな感情が日によって出てくる、そんななかでの撮影でした。それは母になることへのプレッシャーもあったんだと思うんです。

 今までグループでしかやったことがなかった私が、これから一人で歩んでいく、そして母になるというなかで「私で大丈夫かな」と想像すると一気に不安になったり、心配になる事がありました。でも「経験したことのない人生にこれから進んでいくわけだから」と思うとどこかワクワクしてくる、楽しみと思える自分もいて。そういった感情が日によって出ていました。

――様々な感情を抱いていた千晃さんの素顔がこの写真集には収められています。改めて写真集でご自身を客観的に見て感じたものはありますか。

 ありました。私の中にあった心配や不安、楽しい感情やワクワクとした思いは、全て表情に表れているんだなと。この瞬間、強い目線を送っていたつもりなのに、瞳のなかにウルッとした不安な気持ちが表れていたり…。そうした心は表情として残っているんです。やっぱり写真はバレてしまうんですよね。

 私は、私自身を強がりだと思っています。そうした強がった表情を物凄くストレートに出したつもりなのに、写真を客観的に見た時、自分の素顔というか、素直な部分が出ていて。この写真集はそうした素顔さがお物凄く出た作品になったと思います。
した。

“教授”の音楽

伊藤千晃

――撮影中、お子さんはお腹を蹴ったりはしなかったですか?

 それがなかったんですよ! 撮影が終わると蹴り出していたので、多分、凄く気を使ってくれたんだと思います(笑)。

――良い子ですね。

 本当に凄く助かりました(笑)。つわりも一切なかったんです。

――妊娠中の過ごし方はその人によって様々ですが、音楽は聴かれていましたか?

 聴いていました。気分によって聴く音楽のジャンルは変わると思いますが、私の気分は、坂本龍一さんの音楽でした。何でですかね? 妊娠中は、坂本教授のあのメロディーが凄く心に刺さったんです。凄く心地良くて、ずっと聴いていました。

――坂本龍一さんの音楽の根幹はクラシックかと思いますが、これまでも教授の音楽は聴いていたんですか?

 好きで聴いていた時期はありました。けど、ここにきてまた急に聴きたくなって。何でこのタイミングなんだろうなと思いましたが、たぶん、妊娠中の私の気分にぴったりだったのかなと思います。

――胎教音楽としても良さそうですね。音楽への趣味趣向は臨月を迎えるまでに変わっていきましたか?

 変わってきましたね。もう臨月に入ったあたりでは逆に無音が良かったりとか。私は今まで無音の部屋とか苦手で、必ず音楽をかけていたんですよ。テレビもあまり見ないので。だから必ず音楽と隣り合わせでしたが、臨月あたりは音楽を全くかけない静かな部屋で過ごしていることが多かったです。

 逆に無音が心地良いといいますか、そういう部屋で、ひたすらお腹を撫でながら、子供に話しかけていました。そんな空間が凄く良かったんですよ。

――子供と2人きりの時間を大事に過ごされたんですね。

 そうですね。そういう時間が凄く好きでした。

――お腹にいる頃から教授の音楽やママの話を沢山聞いていたお子さん、将来が楽しみですね。

 そうですね。どんな音楽や物が好きになるのか、今から楽しみです。

――お腹にいる頃に聴いた音楽や声に幼児は落ち着くという話を聞いたことがありますが。

 今のところはあまりないですね(笑)。でも泣くことはないんですよ。それが効いていると言えば効いているかもしれませんね。音楽を聴いて泣きだすことはあまりなくて、逆に、寝かしつけるときに音楽を流すと、結構、スヤスヤと眠ってくれるので、妊娠中に聴かせたからなのかな、と思う事もあります。

弱さを認め、自分に優しくなれた

伊藤千晃

――今回の写真集に掲載のインタビューではご自身の事を赤裸々に明かしています。

 インタビュー中も「ここまで話して大丈夫かな?」と思っていましたが、改めて読み返して客観的に見た時に「これでやっとスタートに立てた」という感じがありました。10代でこの世界に入って格好良い自分でありたいという思いが強くて。大人っぽくも見られたいし。自分の事を赤裸々に話したり、素の部分を出すのは自分の中で美学ではありませんでした。

 とにかく格好を付ける、というのが自分のなかでは大きくあって。だから今回のインタビューを読み返して「素が出せた」といいますか。改めてスタート地点に立てたんだなと思えました。

――向き合って気づいた点はありますか?

 改めて気づいた点は、私は意外と弱いんだなって。グループにいる時は、強い人間だと思っていましたが、最近「私ってこんなに泣き虫だったけ、弱虫だったけ?」と思うことが凄くあって、やっぱり10代や20代の頃は強がって生きてきたんだなと。

 写真集では自分の弱さに向き合うことが出来たかもしれませんね。その弱さを受け入れて「そこを強くしていってあげよう」と自分にも優しくなれましたし、自分を認めてあげる事が30歳になってようやく出来たのかなと思っています。

――「弱さ」を認める?

 それまでは認めたくなかったんですよ。弱い自分が見たくないし、強くて格好良い女性でありたいし。なので自分のそういう部分に対して凄く厳しかった気がします。だけど「あなたは、ここはたぶん向いていないよ」と自分自身に言ってあげることができるようになった。

 向いてないものよりも自分が向いているものに「労力をかけて頑張ればいいんじゃない?」と自分に声をかけてあげられるようになりました。全て完璧はやっぱり無理だなと。そういった自分を認めてあげられるようになりました。

「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社)

――「弱さ」を認めるのは、逆に自分自身が強くないとできないことですよね?

 そうですね。弱い自分を知ったからこそ今、徐々に、強くなれているかもしれないです。それは30歳を迎えたからかもしれませんし、出産は大きなきっかけだったと思います。

 何か強がるとミスをする気がして。自分が格好を付けて、自分だけの責任ならいいんだけれども、これからはその自分のミスが自分の子供にも降りかかるんじゃないかと思ったら、早くから自分がミスをするところを「ちゃんと見てあげるべきだろうな」とも思っていて。そうなると「強がりって本当に必要なのかな?」と思えてきたんです。

 こうして言葉にはしていますけど、実際には難しいですよね。本当に気付けているのかな、ということはこれから分かってくることだと思います。でも、少なからず、そう思えたことは、これからの人生に活かせるという感覚です。

――改めて聞きますが、写真集では千晃さんの変化が写し出されています。先ほども瞳に内面が表れたと話していました。

 そうですね、変化は出ています。表情もそうですし、インタビューで語ったこともそうですし。そういった意味では、この一冊では収まりきらないような事が自分の中では物凄く沢山ありました。それを良い所を摘んで凝縮させたのが今回の本です。自分の新たな一面、見せなくなかった一面、そういうものを本当に詰め込んだ素顔の部分が、凄く出せたと思います。

 細かい所も沢山見て欲しいと思っています。瞳や仕草も、インタビューで語っている言葉とか。合間合間にも、私が思う事をメッセージで入れさせて頂いたので、そういう所も併せて写真と一緒に見てくれたら嬉しいです。

一緒に生み出していきたい

伊藤千晃

――その言葉ですが、インタビューでも「言葉が苦手」と話されていました。

 言葉は本当に「難しいな」と今でも思います。私、直観人間だったので、計画を立てることとか、頭の中で考えてそれを言葉に落とし込むという事も、凄く苦手だったんですよ。空気を和ませたり、ふわっとさせる方が好きだったので。緊張感が伝わるような現場は苦手だし、面と向かって話し合うのもちょっと苦手で。今までそういう事が目の前に起きると、自然と避けちゃう自分がいたんですね。なので今回、インタビューを受けている時に「一語一語が大事になる作品だな」と感じていました。

 言葉のセレクトには物凄く気を使いました。どうやったらより多くの人に同じような感情で「伝わるかな」と思うと、やっぱりセレクトは大事になってきます。そんな事も考えてインタビューをした事がなかったので、そういった意味では今までとは違った言葉を残せたのかなと思います。

――よく音楽は人によって捉え方は違うということを聞きますが、写真集も人によって捉え方は変わるのでしょうか。

 全然違うと思います。やっぱり皆それぞれで好きなページが違うように、読み終わった後に何が残るのかというのは読んだ人にしか分からないものだと思うんですよね。だからその感想を聞くのが面白いというか、イベントとか、ファンの方が直接伝えてくれるのが凄く楽しみです。

――ファンから聞いてまた新たな発見があるんですね。

 そうですね。意外にも「凄く小っちゃく写っていた、ここの千晃ちゃん好き」と言われたり。だからこういうのが喜んでもらえるんだって思うと今後そういった表情をした自分を大きくするようになったりとか、ファンの人からの発見も凄く多いですね。

伊藤千晃

――さて、先ほどスタート地点に立ったと話さていましたが、今後はどのような活動をされていきますか。

 いままで、音楽を通して皆さんに色んなことを伝えてきました。いつも、誰かの幸せに繋がる、楽しい事を繋げる、という事を心において活動をしてきたので、その根本は今も変わらないと思うんです。ただ、それが音楽を通してなのか、それともモデルとしてなのかということであって。

 メイクや美容は、自分でやるものが凄く好きで、研究するのも大好きだから、まずはそっちの方に力を入れて、ファンの皆さんに、楽しい事や幸せに思う事を発信できたら良いなと思っています。

――それはこれまでのファンの方もそうですが、同じ経験をされたママたちにも?

 そうですね。一緒に学んでいきたいですし、私が知ったことがあれば伝えたいです。音楽でも、私たちは、知識豊富なスタッフさんに支えられてやってきて、それで色々と学べる事も多くありました。「これだけの素晴らしい世界があるんだよ」という事をファンの皆さんにも伝えていきたいと思っています。

 それは音楽だけでなくて、ファッションや美容もあります。そうした美容の観点からも、女性がキラキラと輝けるための仲介人になってそれを皆で共有して「その世界で一緒に楽しもうよ」と。そのような人になれたらいいなと思っています。一緒に何かを生み出すとか、お互いに発信したり、良い関係を築いていきたいです。

【取材=木村陽仁/撮影=冨田味我】

インタビュー撮り下ろしカット
伊藤千晃 伊藤千晃 伊藤千晃 伊藤千晃 伊藤千晃
写真集の一部カット
「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社) 「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社) 「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社) 「CHEERS」に収められた一部カット(写真提供=主婦と生活社)