今年、3月30日に東京・豊洲にオープンした「IHIステージアラウンド東京」をご存じですか?この劇場は日本初の360度回転劇場。中央に客席、外周にセットを配置し、シーンに合わせて客席が回転することで場面転換を行なうという、実にユニークな劇場です。そのこけら落としとして上演されているのが、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』。1990年に初演され、7年ごとに再演を繰り返している代表作です。花、鳥、風、月、極の5シーズンに分け、キャスト、演出、脚本を変えて、1年3か月に渡って上演中。今回、Season月の製作発表が行なわれたので、そのキャストや内容についてご紹介しましょう。

Season月の製作発表で。魅力的なキャストで上演されます。

まずは『髑髏城の七人』についておさらい!

物語の舞台は、織田信長が明智光秀に襲撃された本能寺の変から、8年が過ぎた天正18年(1590年)の関東荒野。信長の家臣であった捨之介、天魔王、無界屋蘭兵衛の3人は、今はバラバラの道を歩んでいます。平和な世の中を願う捨之介と蘭兵衛に対して、天魔王は信長の意志を継いで天下統一を果たそうと髑髏城を建立。髑髏党を率いて、蘭兵衛が築き、極楽太夫が取り仕切る平和な世界、無界の里にも忍び寄ってきます。太夫に恋心を抱く兵庫や、髑髏城の秘密を握る沙霧(Season月では霧丸)をも巻き込み、やがて旧友である3人が、互いの意思と世界を守るため、戦うことを余儀なくされるというストーリーです。

壮大なテーマと世界観の作品だけに、戦いの見せ場は時に関東荒野、時に華やかな遊女で賑わう無界の里となり、ラストには守りを固めた石造りの髑髏城となるなど多彩。その重厚なストーリーを360度回転するというこの劇場で、一層、壮大な物語として見せてくれます。座席はただ回転するだけでなく傾斜もするので、目の前で繰り広げられるプロジェクションマッピングのようなリアルな映像や舞台の中に、没入感たっぷりで入り込めるのです。

そんな一大エンターテインメント作品の『髑髏城の七人』。Season花では、小栗旬(捨之介)と山本耕史(蘭兵衛)、成河(ソンハ/天魔王)ほか、個性豊かな役者陣が、重厚な物語を紡ぎ出してくれました。激しい戦いの場面を巧みな殺陣と熱意で魅せてくれた小栗旬と、白い花が一面に咲く丘で死を覚悟して髑髏城に向かう山本耕史の姿はまさに動と静。天魔王を演じた成河も、2人に負けない存在感で怪演してくれました。

続くSeason鳥では、阿部サダヲ(捨之介)と早乙女太一(蘭兵衛)、森山未來(天魔王)が歌って踊るド派手なエンターテインメントを展開。阿部サダヲのはちゃめちゃぶりに加えて、早乙女太一と森山未來の息も付かせぬ立ち回りは、あまりに美しく、幽玄の世界を思わせるほどでした。

そして現在、上演されているSeason風(11/3まで)は、なんと松山ケンイチが捨之介と天魔王の一人二役。新感線の舞台、初登場の向井理が演じるニヒルで冷酷な蘭兵衛はもちろん、松山ケンイチの明と暗の人間ドラマにも注目です。

そしてSeason月はどうなる?

Season月は、上弦の月と下弦の月に分かれ、交互に上演するというダブルチームスタイル。このような上演は新感線にとっても初の挑戦で、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりほか、両チームの出演者らが製作発表で意気込みを語りました。

製作発表の様子。舞台に両公演のキャストがズラリと並びました。

脚本の中島かずき(右)と演出のいのうえひでのり(左)。

中島かずきは「これまでの捨之介は斜に構えた、苦みを持たせた人物像にしていますが、月の出演者は全体的に若いので、ストレートに自分の道を信じている、真っ直ぐな捨之介にしています。それに合わせて他も手を入れていて、全体的に若さ故の良さやもろさを表現。オープニングもこれまでとは異なるので、楽しみにしておいてください」。一方、いのうえひでのりは「メインキャストの年齢が2011年版の通称“ワカドクロ”よりもグッと若いので、“超ワカドクロ”とか、“ボーイズドクロ”といった感じ(笑)。若いキャスティングなので、真っ直ぐさや元気の良さ、アツさなどを引き出していきたい」と語りました。

Season月では同じシナリオと同じ演出で2チームが競うところが醍醐味。上弦の月では、これが初舞台となる福士蒼汰が、史上最年少の捨之介を演じます。そして下弦の月では、声優としても俳優としても活躍する宮野真守が新感線の舞台に初出演。1990年の初演版で極楽太夫を演じた羽野晶紀が、17年ぶりに新感線の本公演に同じ役で出演するのも話題です。そんな各チームの出演者らが公演に対する意気込みを語りました。

上弦の月のキャストをご紹介!

上弦の月のキャスト。左から福士蒼汰、早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、平間壮一、高田聖子。

●上弦の月●

福士蒼汰(捨之介)「本公演が初舞台。しかも新感線の舞台で緊張をしていますが、正直、どこを緊張していいのかもわからないくらいです。そんな無知な僕ですが、頼もしい仲間がいっぱいいるので、みんなに支えてもらいながら、自分らしくその場所にいられたらいいと思います。自分がどれほどの力になれるかはまだ未知数ですが、若いパワーとベテランさんの力を借りてやっていきたいです」

早乙女太一(天魔王)「新感線の舞台は5回目で、Season鳥にも出演していたので、またかと思われているかもしれないですね(笑)。これだけ若い人たちと一緒に演じられることはそうないので、存分にエネルギーを出していきたいと思います」

三浦翔平(無界屋蘭兵衛)「Season鳥では太一君が蘭兵衛を演じていたので、競演するのがプレッシャーです。殺陣も早いしキレイだし、一生懸命しがみついていこうと思います」

須賀健太(兵庫)「いのうえさんの演出は受けたことがありますが、新感線作品は初めて。花鳥風月で最年少の兵庫なので、元気いっぱい演じたいです」

平間壮一(霧丸)「今のところは楽しみでしかありません。自分なりに動けるところを見つけたり、みんなで考えながら作っています」

高田聖子(極楽太夫)「最年長太夫なので、いたわってくださいね(笑)。みなさん若いので、息子のようなもの。関係性も変わってくると思うので、その違いを楽しみにしてください」

下弦の月のキャストも魅力的!

下弦の月のキャスト。右から宮野真守、鈴木拡樹、廣瀬智紀、木村了、松岡広大、羽野晶紀。

●下弦の月●

宮野真守(捨之介)「今回、まさかまさかのお声掛けで、自分が出演できるとは全く思っていませんでした。普段は声優の仕事をしているので、こんな大きなチャレンジができるのは、自分の人生において非常にプラス。舞台の経験は多くなく、立ち回りの経験もそれほどないので不安はありますが、みんなのエネルギーに頼りながら、本気で向かっていきたいです」

鈴木拡樹(天魔王)「天魔王という本当にやりがいのある役を頂いたので、これからチームと一緒に、よりいい役にするために頑張っていきたいです」

廣瀬智紀(無界屋蘭兵衛)「三浦さんと同じように、早乙女さんが演じていた役というプレッシャーを感じます。また名だたる名優の方々が演じているので、非常に難しい作業ではありますが、自分なりの蘭兵衛を見つけたいと思います」

木村了(兵庫)「新感線の舞台は2度目。僕の中での兵庫の役は橋本じゅんさんのイメージがすごく強くて、話しを頂いた時は逃げ出したい気分になりました(笑)。ですがとても大事な作品なので、上弦の月の須賀さんと一緒に素晴らしいものにしていきたいです」

松岡広大(霧丸)「これまでは女性の沙霧が、本作では男性の霧丸に変わるので、捨之介との関係性も変わってきます。男性ならではのアツさを出したいので、楽しみにしてください。初演の作品を何度も再演できるのはとてもすごいことなので、感謝の気持ちをもって演じていきたいです」

羽野晶紀(極楽太夫)「初演をさせて頂いた時は20歳とか、21歳くらいだったので、28年くらいたったそうです。だから太夫としてはリサイクルな気分ですけど(笑)、17年ぶりに出演させてもらうので、頑張らないといけないと感じています」

最後は客席のみんなと記念撮影。福士蒼汰(右)と宮野真守(左)の笑顔がステキでした。

12月29日(金)までの前期の公演のチケットは発売中。1月3日(水)〜2月21日(水)の後期のチケットは11月26日(日)10:00からの発売です。この公演の後には、「極」も控えているので、そのキャストがどうなるかも楽しみ。まだまだ『髑髏城の七人』から目が離せません。

ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 Produced by TBS
公演日程:2017年11月23日(木)〜2018年2月21日(水)
会場:IHIステージアラウンド東京
料金:S席1万3000円 サイド席1万2500円(全席指定・税込)
http://www.tbs.co.jp/stagearound/tsukidokuro/

取材・文/綿谷禎子