日本代表、NZ戦出場選手「アピール度チェック」 ロシアW杯に一歩近づいた選手は?

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競争を促すハリル監督 「今年はたくさんの選手を見て見極めたい」

 日本代表は6日に国際親善試合ニュージーランド戦に臨み、2-1で勝利を収めた。

 来年のロシア・ワールドカップ(W杯)本大会への出場権を獲得してから初めて臨んだテストマッチで、バヒド・ハリルホジッチ監督はメンバー間の競争を強調。試合後の記者会見でも「今年はたくさんの選手を見て、それぞれに何ができるのかを見極めたい。3月以降は、メンバーやプレーの仕方がより固定されるだろう。今のところは、より多くの人数を見て、最終的に誰がチームに残るかを見ている。それを見て分析して、誰がW杯に行けるかを選択する」と話していた。

 来年3月からのメンバー固定化が始まる前に、代表チーム内で地位を確立するためのチャンスは多くない。ここではニュージーランド戦に出場した各選手のアピール度をチェック。4段階(◎→○→△→×)で評価した。後半アディショナルタイムから出場し、ほぼプレー機会なしで終わったMF遠藤航(浦和)は、評価の対象外としている。

GK&DF:槙野が先発起用に応えて奮闘

■川島永嗣(メス)=○

 多くの守備機会があったわけではなく、失点もシュートそのものはノーチャンス。実質的にはほぼ「評価なし」に近いかもしれない。しかし、失点した場面というより、その時間帯に日本チーム全体がバタバタしていた時に、後方から強い影響力を発揮できればベターだったか。バックパスを受けた際に蹴り飛ばすのではなく、リスクの小さい範囲で味方に丁寧につないでいたのは好印象だった。

■酒井宏樹(マルセイユ)=○

 酒井のサイドから崩された場面はほとんどなく、後半42分という時間帯に相手ペナルティーエリア内まで攻撃参加して、乾のクロスをヘディングで折り返して決勝アシストをマークした。一方で何度か余裕を持ってクロスを上げられる場面で、最も手前にいる相手に引っ掛かるボールが多かったのは気になった。

■吉田麻也(サウサンプトン)=△

 失点シーンでは相手FWウッドに背後に入られて、クロスボールを被る痛恨のプレー。それ以外の場面では一度ダイアゴナルのフィードボールへの対応が遅れたくらいで安定感があっただけに、失点シーンのワンプレーが悔やまれた。

■槙野智章(浦和)=◎

 前半43分の決死のシュートブロックや、後半12分にCKからボールを受けターンをした相手に対して鋭い出足の守備も見せた。吉田とのコンビでウッドを監視したが「そういう選手と90分ガチャガチャやるのは嫌いじゃない」と、改めて局面での強さを持っていることを証明した。

■長友佑都(インテル)=△

 特に乾が左サイドに交代で入ってからは、良好なコンビネーションで攻撃を活性化させた。しかし、失点の場面では井手口と二人で応対したにもかかわらず、縦に突破されてクロスを許してしまったのは残念だった。

MF:香川が精彩欠く一方、小林が好アピール

■山口蛍(C大阪/→後半45+3分OUT)=◎

 ボールへの関与も多く、先制PK奪取につながるシュートのほか、効果的な縦パスもあった。後半にシステムが変わった後、前方で空いている選手をシンプルに生かすパスが多かったのは好印象。前半23分に鋭い前への出足でセカンドボールを拾い、香川の決定的なシュートを導いたプレーは山口の良さが存分に発揮されていた。

■井手口陽介(G大阪/→後半37分OUT)=○

 前半は存在感が際立った一方、日本が先制した後にリズムを崩した時間帯にはチームとともに埋没した感があり、ミスもなかったわけではない。だが試合を通じて、A代表の主力としての風格を漂わせた。

■香川真司(ドルトムント/→後半15分OUT)=×

 前半に決定機を二度外してしまったことで“悪目立ち”した感は否めない。しかし、前半20分にフリーランニングで抜け出した長友へのパスが弱くなってカットされた場面や、同22分に同じような形で武藤に出したパスが少し後方に逸れ、武藤のスピードを殺してしまったシーンがあるなど、ゴールに近づいた場面で繊細さを欠いた。ハリル監督も「できるだけ高いレベルを取り戻すことが必要」と苦言を呈した。

■小林祐希(ヘーレンフェーン/←後半15分IN)=○

 攻守をつなぐリンクマンとして合格点のプレー。本人は「相手が疲れていたから」と謙遜したが、上手く相手の守備組織の中で浮いてフリーになった。良い状態の時にボールを預けてもらえない場面が目立ったが、今後はよりチームメイトの信頼を獲得することで、自身のアピールもしやすくなるという好循環を生みそうだ。

■倉田秋(G大阪/←後半37分IN)=◎

 決勝ゴールの得点者になったことはそれだけで特筆すべきこと。流れのなかでの関与はプレー時間が短いために判断しづらいが、サイドからのクロスに対する中央の人数不足があった状況で、ゴール前まで進出していく感覚があることを示した。

FW:乾に別格感、武藤起用は新たな形に

■久保裕也(ヘント/→後半33分OUT)=×

 逆サイドの武藤が中央に積極的に絡んで連動した一方、「前半は久保が(サイドに)開きすぎていた」と、チーム戦術の遂行具合が不十分だったことがハリル監督からも指摘された。機能性のある絡み方ができなかったなかで、前半34分に相手GKまで外した決定的なチャンスでシュートを枠内に飛ばせなかったのは痛恨だった。

■大迫勇也(ケルン/→後半15分OUT)=○

 ポストプレーの安定感はさすがで、後半5分にPKを決めて得点者に名を連ねた。武藤が中央に切り込んでターゲットになり、大迫が前を向いてボールを受ける攻撃パターンが増えたのは収穫の一つ。だからこそ、その形で放ったシュートを枠に飛ばしたかった。

■武藤嘉紀(マインツ/→後半25分OUT)=○

「あまりサイドに張らず中央でプレーしてほしい」というハリル監督のリクエストに忠実に応えた。大迫とのコンビで新たな形ができたのは武藤を左サイドで起用したからこそで、その意味では攻撃オプションの一つとして印象づけたはず。一方で左ウイングは「(クラブで)2年間FWをやっているので」と久しぶりのポジションだっただけに、足元でボールを受けた後のプレーではインパクトを残せなかった。

■杉本健勇(C大阪/←後半15分IN)=×

 結果的に、大迫との差が際立ってしまうような30分間だった。後方からのボールを引き出せないことで、Jリーグで見せている強さをアピールする機会を作れなかった。後半36分に、小林がニアのストーンを越えたところに落としてくる絶妙なCKを蹴ったが、そこに飛び込んでボールに触れなかったのが痛恨だった。

■乾貴士(エイバル/←後半25分IN)=◎

 左ウイングで武藤とは異なる役割を担ったが、縦への突破とクロス、長友との良好な関係と、ある種の別格感を漂わせた。決勝点につながったクロスは「適当に蹴った」と笑っていたが、本職のポジションでプレーする選手だからこその感覚だったのは事実だろう。単純な戦力というだけでなく、“ジョーカー”としての評価も高めたのではないだろうか。

■浅野拓磨(シュツットガルト/←後半33分IN)=△

 大きなミスもなかったが、目に見えるアピールと言えるプレーもなく不完全燃焼だったのではないだろうか。勝利が欲しい同点の残り12分で投入された切り札という意味では、自身のシュートが0本で、味方のシュートを導くような場面も作れなかったのは残念だった。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images