Lily’s Blow、すべての感情を出し切った夜 『泥沼レコ発ワンマンライヴ』を観た

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 9月20日に2ndシングル『花の影 / 泥沼 Break Down』をリリースしたLily’s Blowが、同日に東京・新宿MARZで『泥沼レコ発ワンマンライヴ』を開催した。

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 Lily’s Blowは、シンガー NANAによるソロプロジェクト。「純潔」「無垢」「陽気」「威厳」など、様々な意味合いの花言葉(=感情)を持つ「ユリ(Lily)」にNANAが共感を覚え、プロジェクト名に取り入れたという。メジャーデビュー後、初のワンマンとなる今回のライブでは、インディーズ時代の楽曲から最新シングル、一足早いクリスマスソングまで飛び出す幅広いセットリストが用意され、彼女の中にあるすべての感情を歌に乗せて出し切るような熱いステージを見せてくれた。

 鈴木栄奈(key)のキーボードが会場に鳴り響き、1stシングル『NAI NAI NAI』のカップリング曲「Who is the Devil?」でライブはスタート。MCでNANAは企画名にちなみ、「私の色んな感情をドロドロのぐちゃぐちゃのぬまぬまにして、みんなに投げつけちゃうから!」とオーディエンスに向かって勢い良く宣言。そこから「Driver」「I can’t forget you」「Road」と軽快なロックナンバーを立て続けに披露し、序盤から観客を大いに盛り上げる。デビュー当時、「男の人よりも男前のアーティストになりたいです」と語っていた通り、デビュー後の初ワンマンとは思えないほど、力強く堂々としたパフォーマンスを見せたNANA。なによりもライブを全力で楽しみたい、という気持ちがひしひしと伝わってきた。

 叶わない恋愛をテーマにしたバラード曲「Loved you」では、楽曲が持つ寂しさや後悔の気持ちを情感溢れる歌声で表現。曲の序盤、キーボードの伴奏のみで歌うパートが、NANAの伸びやかなボーカルをより一層際立たせる。ロックナンバーで見せた少年のような表情から一転、「Loved you」では大人の女性の一面を垣間見せ、オーディエンスの心を一気に鷲掴みにした。

 アットホームな雰囲気の中、ファンとコミュニケーションを取るNANA。和のテイストとロックを融合させた「花の影」、複雑な男女関係を歌う「泥沼 Break Down」は、どちらもLily’s Blowにとって挑戦的な楽曲だ。「花の影」では、サポートメンバーであるAstroveryのAYUMI(Gt)、ChelsyのAMI(Dr)、カワイリエ(Ba)、鈴木栄奈の息のあったプレイがNANAのボーカルをしっかりと支え、バンドサウンドならではのダイナミズムを生み出す。軽やかなストリングスを用いたオリジナル音源とは一味違う、楽曲の新たな一面が見られるのもライブならではの醍醐味だろう。

 さらにNANAが「大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と告げて始まったのは、AYUMIが作曲、NANAが作詞を務めた新曲「ねぇ」。大切な人への強い想いを綴った歌詞とエモーショナルなメロディ、これまでの楽曲にはない壮大なラブバラードを、NANAは深みのあるボーカルで歌い上げる。今年20歳を迎えたNANA。歌手としても、ひとりの女性としても、彼女の成長を感じたファンは少なくないはずだ。

 ライブも終盤に差し掛かり、AYUMIが激しいギターソロで観客を盛り上げる。その勢いに乗って「Don’t Make Me」へ突入。さらに「This Life」を披露するとオーディエンスのテンションも最高潮に。そしてラストナンバーに用意されたのは「Ready to go」。<夢じゃないやい叶えてみせる そう叫んでみたら 運命がほんのちょっと 味方をしてくれるから>と高らかに歌うNANAからは、ここから新たな一歩を踏み出そうとする確かな意思が伝わってきた。

 ライブのオープニングで宣言した通り、今持っているすべての感情を出し切ったNANAは、満足げな表情と少しの涙を浮かべ、アンコールのMCでファンとメンバーに感謝の気持ちを伝えた。MCで「私はまだまだだし、全然うまく言葉が見つからないんだけどさ……これからも必死こいて全力でぶち上げていくんで、Lily’s Blowをよろしくお願いします!」と思いの丈をストレートに語っていたNANA。これからも音楽に対する真っ直ぐな気持ちを携え、前へ前へと先に進んでいくのだろう。(泉夏音)