日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

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英国人が見たニュージーランド戦

 日本代表は6日、キリンチャレンジカップでニュージーランド代表と対戦してホームで2-1の勝利を収めた。この試合中、イングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

「注目は槙野」「中村を1回は試した方がいい」

――ニュージーランド戦のスタメンが発表されました。ショーンさんの注目ポイントは誰ですか?

「槙野に注目したいね。CBは吉田がレギュラーだけど、まだ誰が相棒になるかは分からないね。槙野は先日の上海上港戦でフッキ相手に一生懸命闘って、少し負けたこともあったけど、最初から最後まであのフィジカルバトルから逃げなかった。そのようなメンタルアプローチは重要です」

――井手口は今日もスタメンです。ハリルホジッチ監督は高く評価しているようですね。

「オーストラリア戦は本当に良かったけど、その試合はもう終わった。これからもあのようなパフォーマンスを見せないといけない。そして、武藤のプレーも楽しみ。どれほど成長したか興味あるね」

――ニュージーランドは格下だから試合をする意味がないと言う意見も多いようですが、これについてはどう思いますか?

「まあ、正直に言えばその意見もわかるけど…。W杯ではいろんな相手と戦う可能性があるから、全ての試合が良い経験になると思う。ニュージーランドは技術やクオリティがあまり高くないかもしれないけど、引いて守ったりアグレシッブなプレーを見せる相手と対戦するのは良い準備になるんじゃない?」

――この2試合に向けて多くの新戦力が呼ばれることに期待がかかりましたけど、結局新しい選手は車屋だけでしたね。今回のメンバーでショーンさんが見てみたい選手はいますか?

「そんなに多くないね…。でも、GKは中村を1回は試した方が良いかなと思っている」

――今回呼ばれなかった選手についてはどうでしょう?
「新しくないけど、金崎は見てみたい。あるいは興梠。彼は決定力があるからね。W杯ではワンチャンスをゴールにつなげないといけない」

――ショーンさんは以前から金崎を高く評価していましたね。

「うん、好き。“典型的な日本人選手”じゃないからね。そうようなバラエティは本当に重要になる」

「ドルトムントの香川とは別人」「ボールは持てるけどゴールはない」

――試合が始まりました。今日の豊田スタジアムは空席が目立ちます…。

「何回も行ったことがあるし、すごく好きなスタジアムだけどアクセスに問題があるね。行くのは良いんだけど、帰りはちょっとね…」

――8分、香川のシュートはポストに直撃しました。

「ダメだね。それは決めなきゃ。ドルトムントではキレイなループシュートを決めたけど、ドルトムントの香川と代表の香川は別人みたいだね」

――10分が経過しました。日本がボールを持つ時間が長いですが、ここまでどんな印象ですか?
「予想通りね。ボールは持てるけどゴールはない…」

――試合は膠着状態が続いていますね…。

「天気も影響を与えているね。足元が滑るのもあるけど、集中力の問題もあるかもしれない」

――ハリルホジッチ監督はイライラしているのか、足元に転がってきたボールを蹴り返してしまいました。

「ハリル、まだパスは上手いね(笑)。フランスで得点王になったこともあるけど、それはほんのちょっと前の話ね」

――今日は前線の連係が噛み合っていないようです。

「ここまでは良くないね。でも、それは代表であまり一緒にプレーしていないから。香川も武藤も代表でプレーするのは久しぶりだから、ハリルはできるだけ早くチームのベースを作らないと」

「ハリルの意見には同意。ポゼッションは結果じゃない」

――前半が終了しました。前半の印象はいかがでしたか?

「やっぱり親善試合という感じ…。連係は少しルーズだったね」

――前半で印象に残った選手は誰ですか?

「CBの2人はウッドに上手く対応していたね。井手口と山口はいいバランスを取っていた」

――今日はボールを持つ時間が長かったですが、ハリルホジッチ監督は会見で「ポゼッション率が高ければ試合に勝てるわけではない」と言っていましたね。

「その意見には同意。ポゼッションは結果じゃない。ポゼッションするのは良いけど、たまには相手にボールを持たせてもいい。結局今日もここまでゴールがなかった。それは2014年W杯のザックジャパンの一番大きな問題だった」

――後半の注目ポイントはどこになりますか?

「いつもと同じだけど…、決定力!」

――後半開始早々、日本に先制点のチャンスです。山口のシュートが相手選手の手に当たってPKを獲得しました。これを大迫が決めて日本が先制しています。

「ちょっとラッキーだったけど、判定は正しかった。PKは間違いない」

――しかし、直後に失点してしまいました。左サイドを突破され、最後は警戒していたウッドにヘディングシュートを決められてしまいました。

「高さだけじゃなくて相手の動き出しも良かった。ちょうど吉田と酒井の間にポジションを取っていたね。いろんなところが悪かった。クロスは簡単に上げられてしまったし、吉田と酒井のマークは少し中途半端だった」

「日本はクロスを入れすぎ。空中戦で勝つのは絶対ニュージーランド」

――香川は失点と同時に交代となりました。今日の香川のプレーはいかがでしたか?

「良くなかったね。パスの精度や決定力はドルトムントの香川のレベルじゃなかった」

――香川はW杯のメンバーに選ばれると思いますか?

「もちろん。まだ23人の中に入っているけど、もうそろそろ結果を出さなきゃね」

――70分、乾が投入されました。

「これまでと違うアプローチが必要。乾の投入でリズムが少し変わったね。よりダイレクトになった。でも、ゴールはまだね…」

――小林も交代でピッチに入ってから存在感を出しています。

「彼は自信あるね。代表ではそのタイプは大切。でも、結果を出さないといけない」

――今日はチケット完売でしたが、観客動員数は38461人という発表でした(豊田スタジアムのキャパシティは45000人)。

「チケット完売だったの!? まあ相手が相手だから…。でも金曜日の親善試合にしては悪くないと思う。明日は休日だからみんな飲みに行くのかな?」

――日本は相変わらず単調な攻撃が続いています。

「クロスを入れすぎだと思う。空中戦で勝つのは絶対ニュージーランドじゃない?」

――確かにもう少し攻撃に工夫が必要ですね。

「ちょっと2014年W杯のギリシャ戦に似てるね。アイデアが少なすぎる」

――日本に追加点です! 左サイドで乾が仕掛けて、酒井の折り返しから最後は倉田が代表初ゴールを決めました。

「結局点を取ったね! 特に酒井の判断は良かった。冷静でパニックになっていなかった」

「岡崎、本田、長谷部は間違いなく必要」

――試合が終了しました。消化不良にも思えますが、いかがでしたか?

「親善試合はこんなものかな。紅白戦みたいだった。面白くなかったけどこのような試合はいつもそう」

――ショーンさんが選ぶMVPは誰ですか?

「乾かな。彼が入ってからチームはちょっと良くなった」

――試合全体の印象はどうでしたか?

「もし来月の欧州遠征で同じようなパフォーマンスだったら結果は心配。もう少し集中力を上げないといけない」

――来月は欧州遠征でブラジル、ベルギーと対戦します。このままでは不安が大きいですね。

「間違いない。だけど、欧州遠征は選手のモチベーションやテンションが全然違うと思う。今日の試合とハイチ戦は勝利しか求められないけど、ブラジルとベルギーは本物。大事なのは本物の戦い」

――今日は岡崎、本田、長谷部のベテラン勢が不在でした。やはり彼らの存在は必要だったのでしょうか?

「個人的にその3人は間違いなく必要だと思う。次の世代にもチャンスを与えないといけないけど、経験がある選手は絶対にW杯で重要な役割を担える」

――今日の試合はW杯に向けたメンバー選考の初戦という位置付けでした。W杯の準備に役立ったのでしょうか?

「もちろん役立ったと思う。まだ足りないものが沢山あることを明確にできたので、それを活かさないと」

――ありがとうございました! ハイチ戦もよろしくお願いします。

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

text by 編集部