英国のトップ40ロックアルバムチャートで初登場1位を獲得した映画『WE ARE X』のサントラ。

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◆世界が認めたX JAPANと“VISUAL-KEI”

 2016年、映画『WE ARE X』が公開され、国内外で話題を呼んだことは記憶に新しい。同作はサンダンス映画祭で特別編集審査員特別賞を受賞し、さらに、『WE ARE X オリジナル・サウンドトラック』は、英国のトップ40ロックアルバムチャートで初登場1位を獲得するなど、世界のチャートを賑わせた。

 また、1999年にメジャー・デビューしたDIR EN GREYも世界で活躍しており、アルバム『UROBOROS』(2008年)は、米ビルボード誌のTop Heatseekersチャートで1位を、Top Independent Albumsチャートで9位を記録している。

 近年は、アニメやマンガなどのオタク・カルチャーだけでなく、日本のロック・ミュージックも海外で評価されており、“V系(ヴィジュアル系)”は、“VISUAL-KEI”として認知されている。

 アニメのテーマ曲、アニソンとジャパメタとの関係性については、これまで述べてきた通りだが、V系もまた、アニソンと深い関係があった。

◆音楽のジャンルではない“V系(ヴィジュアル系)”というカテゴリー

 V系という呼称のルーツは、X JAPANのキャッチコピー“PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”の「VISUAL」から持ってきたという説ほか複数存在しており、定かではない。

 黎明期のバンドたちは、“お化粧系”“オケバン(お化粧バンドの略)”などと称されていた。その後、“V系(ヴィジュアル系)”という呼称が定着し、新たなシーン、ムーヴメントとして認知されていった。

 バンドの音楽性は実に多様だったのだから、外見で括ったV系というジャンル名は、ベストとは言えずとも、ベターだったとは思う。

 80年代中期のジャパメタ・シーンでは、レザー&スタッドに、ロング・ヘアをスプレーで膨らませ、濃い化粧を施し、金属的な鎧を着込むなどのへヴィメタルらしいメイク・衣装が見られた。

 だが80年代後半には、髪を頭皮から垂直に逆立てたり、赤や緑色に染めたり、さまざまな国の民族衣装を纏ったり、さらにゴス系など他ジャンルとも混ざり合って、百花繚乱の様相を呈していた。その風潮が、V系発生の基盤となったのだろう。

 しかしV系のメイク・衣装は、過剰な方向にばかり突き進むわけではなかった。後続のV系バンド群は、バンド独自のコンセプトを決めて「世界観」を構築し、それに応じたファッションを施していった。その結果、闇や、絶望、破滅などのネガティヴ要素を、美しく装飾した世界で描くバンドが増えていった。

◆ヴィジュアル系のルーツのバンドはX JAPANではなく……?

 V系のルーツはやはりX JAPANになるのだろうか? いや、そうではない。V系という音楽ジャンルを作ったのは、X JAPANであるが、そのルーツは関西へヴィメタルシーンの黎明期に活躍したプログレッシヴロック・バンド、NOVELAと言えよう。

 NOVELAの音楽は耽美で、メンバーが化粧を施しており、後のV系に通ずるものがあった。へヴィメタル系評論家の第一人者である伊藤政則は、「NOVELA=V系ルーツ説」にお墨付きを与えている。

 NOVELAとX JAPAN、この2バンドは、キメ曲がメロディックスピードメタルの楽曲であること、ヴォーカルがカン高い声で歌っていること、大作曲があることなど、音楽的共通点が多い。

 他の共通点として、ヘヴィメタルは男性主体の音楽ジャンルであるにもかかわらず、両者とも女性客が多いことなどもあげられるだろう。NOVELAは、プログレッシヴメタルというマニアックな音楽ジャンルであるにも関わらず、女性ファンが多かった。

◆アニメのバンドのモデルだったNOVELA

 NOVELAに女性ファンが多かったのは、ミニ・アルバム『青の肖像』(1981年)のジャケットを、少女マンガ家の内田善美が手がけていたり、山田ミネコ作のマンガ『最終戦争伝説』のイメージ・アルバム『最終戦争伝説』(1983年)を手掛けたりなど、少女マンガと近しいところで活動していたことによるものだろう。