日本で生まれ育ってもバイリンガルになる方法はあります(写真:TATSU / PIXTA)

「英語が話せる子どもに育てたい」――そう思ったことはありますか?
私は今「お迎えシスター」というサービスを運営しています。「お迎えシスター」では、「子どもたちにロールモデルを」というコンセプトのもと、学校への「お迎え」と「自宅英語レッスン」を一緒に行っています。
私は幼少期から大学を日本、アメリカ、中国、韓国で過ごしました。 幼少期は普通に使っていた英語も、帰国後ほとんど使う機会がなく忘れていました。それが、「放課後のお姉さん」との出会いがきっかけで「語学を学ぶコツ」体得でき、大人になってからも効率的に学ぶことができたのです。
「大人になってからの語学学習は難しい」とよく言われていますが、実はそうではありません。「大人だから語学学習が難しい」ではなく、「英語が話せる子ども」は「英語を身に付けるコツ」をきちんと知っているのです。
自分が幼少期に体験したことや、今までに1000人以上のバイリンガルやマルチリンガル(複数言語話す人)、800人以上の子どもたちと出会ってわかったこと、会得したことをもとに、「英語が話せる子ども」になるコツを、これから紹介しようと思います。

過熱化する「英語教育」に悩む親が続出!

「どうしたら、子どもが英語を文章で話せるようになりますか?」

これは、私が「お迎えシスター」を運営してきて、いちばん聞かれた質問です。

2020年までに全国の小学校で英語教育が必修化することを受け、英語教育は過去最高の加熱化を見せていますが、それとともに親御さんから「まず、何から始めたらいいんだろうか」という相談を受けます。

しかし「英語教室や英語のアフタースクールに行かせているけれど話せるようにならない」「やはり日本でバイリンガルにするのは無理なんだろうか」「やはり親が話せないと難しいのだろうか」という話も多く聞くようになりました。

実は、「お迎えシスター」というサービスは、私の原体験が始まりでした。 私の両親は私が幼いころから共働きでつねに忙しかったため、6歳下の妹が生まれたときに「私たちの『お迎え』をしてくれる人」を募集することにしたのです。

家の近くにあった大学の学生寮の掲示板に張ると、たくさんの外国人留学生が名乗り出てくれて、お手伝いをしてくれるようになりました。

月曜日はカナダ人、火曜日はマレーシア人、水曜日は台湾人、木曜日はトルコ人、金曜日は韓国人と、毎日いろいろな国のお姉さんに迎えに来てもらい、家では世界のいろいろなことを教えてもらうことができました。

結局、お姉さんたちは妹が小学校を卒業するまでの間、毎日家に来てくれたのですが、この経験は今の自分にとても大きな影響を与えてくれています。

私と妹は、お姉さんと過ごせる放課後の時間が大好きで、そして楽しくて仕方ありませんでした。同時に「遊びながら英語を学ぶ」ことを覚えていきました。「遊び」を通すことで、「英語が話せる子ども」は「英語を身に付けるコツ」を覚えていきます。

では、そのコツとはどんなことなのでしょうか。そのコツについて、これから紹介していきたいと思います。

まずは、よく思われがちな「英語教育に対する誤解」の主な3つを紹介します。

実は誤解だらけ!「日本の英語教育」

【誤解1】「日本生まれ、日本育ち」でバイリンガルになるのは無理

「自分は日本で生まれ育ったからバイリンガルにはなれない」と思っている人って、結構いらっしゃいますよね。

ですが、私は日本で生まれ育ち、バイリンガルになった人を数十人も知っています。もちろん彼ら彼女らは、ハーフでもインターナショナルスクールに通っていたわけでもありません。

「生まれ育ち」は関係なく、バイリンガルになる方法はあるのです。

【誤解2】「大量の教材」が必要

これは大人の英語学習者にも見られる傾向ですが、「教材を買って一度も開かなかった」なんてことありませんか?

これは、「買うことで安心してしまっている」「買うことが目的となってしまっている」からです。

もし、購入したテキストを使えていたとしても、大量のテキストが次々と待ち構えていることで、子どもは早く先に進もうとして「テキストをこなすこと」が目的になってしまいます。

学習で重要なのは、「先に進むこと」ではなく「定着させること」で、次に待ち構えているテキストのことではなく、「今」に集中することです。
テキストは大量に買う必要はないのです。大好きな2〜3冊を繰り返し使うほうが、圧倒的に意味があります。

【誤解3】「早いうちに第二言語を習得する」と母国語が中途半端になる

これに関しては、いまだに多くの議論がなされていますが、言語には「臨界期」というものがあると言われています。臨界期とは、「何かを効率的に吸収し学習できる期間」のことです。

いろいろな説がありますが、「語学の臨界期は10歳まで」ということは多く言われていますし、筆者の実感としてもその説は非常に有力だと思います。

子どもの臨界期における1年の投資は、大人になってからの10年分、もしくはそれ以上の投資に匹敵するのではないかと思います。

ですので、10歳ころまでは、大人よりも効率的に言語を学習できる力は備わっているのです。

語学学習で重要なのは「覚える」ことより「定着させる」ことです。では、定着させるための「語学習得の秘訣」を紹介しましょう。

家庭でできる「語学習得の秘訣」4つのポイント

【1】覚えるのは「単語」ではなく「文章ごと丸暗記」が基本

単語ももちろん、覚えることに意味はありますが、使わないとどんどん忘れてしまいます。ですので、覚えるのは「文章ごと丸暗記」を基本にしましょう。

学校の英単語テストの和訳は答えられるけど、実際のシーンでどう使われるのかを習わないため、覚えた単語が「使えない単語」になってしまうのです。

「文章を覚える」ことにはいくつかメリットがあります。

・その言語の語感(リズム)を身体に染み込ませることができる
・その単語がどのようなときに、どんな単語と一緒に使われることが多いのかがわかる
・英語でよく使われる表現を習得することができる

また、歌は文章を暗記するうえではとても効率がいいです。メロディーと一緒に覚えられるのでスピードが格段に上がります。ぜひ、たくさんの歌を歌わせてあげてください。ただし、流し聞いているだけでは意味がないので、「まねて歌ってみる」ことが大切です。「歌う」という「アウトプット」が話すことにもつながります。

【2】子どもの「没頭力」を活用する

人間の脳は、忘れられるように作られており、生命の存続に重要なもの以外は自然と忘れてしまうと言われます。そのため、子どもの学習は好きなものでないかぎり「何のために勉強するのか」という目的意識が低くなって、「覚えることへのモチベーション」は低くなってしまう一方です。

しかし、ゲームやYouTubeなど、自分の好きなことや自分と関係することには時間を忘れるくらい没頭しますよね。子どもの強みは、この「没頭力」です。これをうまく活用しない手はありません。

そこで、子どもが日常の中で何げなく使って遊んでいるものを「英語のもの」にしてみましょう。 動物、昆虫、宇宙など、子どもの好きなものに関連した本や図鑑などをすべて英語のものにしてみたり、英語のアニメを見せたりするのです。

自分の好きなものから英語が入ってくるので、効果は期待できると思います。

次のポイントは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚などの「五感を使って覚える」ことです。

「親が楽しむ姿」は、子どもにも楽しく伝わる

【3】「五感」を使って覚える

人間の脳は「五感」を働かせて記憶するとき、より強く記憶する性質があり、使っている感覚器官が多いほど、長期間にわたって残りやすいと言われています。

小学校では音読の宿題が出ると思いますが、これは自分で「読む(視覚)」と「聞く(聴覚)」を使っているので、本の内容を定着させるためには非常に効果的なのです。そして、この方法は普段の生活の中でも応用可能です。

たとえば、冷凍しておいたものを子どもが触り「冷たい!」と言ったときに「冷たいは『cold』」と言うんだよ」と教えたり、重いものを運ぶときに子どもに持たせて「とても重いは『This is very heavy』」と教えたりします。

子どもは、「冷たい」という感覚や、「重いから持ちたくない」「重くても持てる!」「かっこいいところをママに見せたい」というような感情と言葉がセットになって覚えられるので、忘れにくくなるのです。

【4】「親が語学を楽しんでいる」姿勢を見せる

幼少期の記憶や印象は、その後の「子どもたちの成長と社会とのかかわり」に大きな影響を与えます。

そのため、「親」といういちばん身近なロールモデルが「語学を楽しく使っている」姿を見せることは、子どもにポジティブな印象を残すことができます。

「お迎えシスター」では、先生を採用するときに必ず「あなたのロールモデルは誰ですか。それはなぜですか」という質問します。

多くの方が「母」もしくは「父」と答えるのですが、その理由はとても心打たれるものがあります。

「母は損得を考えない人だから」「母は楽しく生きるということを教えてくれた」「父は、無口だけど絶対にセコいことはするな、ということを背中で教えてくれた」

子どもは親が思っている以上に親のことを見て、親を尊敬しているのです。

「語学を学ぶということは世界が広がるということ」

これは、幼少期に学んだかけがえのないことだったと思っています。

私は、子どもたちとさまざまな角度から物事を見て、子どもたちの好奇心を最大限、引き出してあげたいと思っています。 そして、誰よりも子どもたちの好奇心に寄り添える存在でいたいと考えています。