倉田秋、強い気持ちで決めた代表初得点「世界とやりたい」「負けてられへん」

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 8分間という短い出場時間で結果を残した。代表初ゴールという形でのアピール。6日のニュージーランド戦で日本を勝利に導くゴールを決めたのは、MF倉田秋(ガンバ大阪)だった。

「試合に出たら、絶対に取ってやる」。そんな気持ちで、倉田はベンチから試合を見守った。出番が回ってきたのは82分、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から「動きを止めるな。出して、動いて、ゴール前に入って行け」という指示を受けてピッチに立った。

 貪欲な姿勢がゴールを後押しする。87分、FW乾貴士(エイバル)が左サイドをドリブルで仕掛け、ゴール前にクロスを上げる。DF酒井宏樹(マルセイユ)の折り返しに、倉田が「反射的に頭でいきました」と飛び込んだ。

 ワールドカップ出場を決めてから初の親善試合。チーム内の競争意識が高まる中で、アピールに成功したと言っていいだろう。代表初ゴールに「やっぱり特別ですね。本当に気持ち良かった」と、試合後の取材対応でも自然と笑みがこぼれる。だが、ここで満足することはない。倉田はより貪欲に高みを目指す。

「今までのサッカー人生で、自分のプレーに満足したことは一度もない。今日も、もっとできたと思っています。安心よりも、もっとやりたいという思いがある」

 これまで、倉田にとってW杯は「手が届かないもの」だった。しかし、今年3月に約1年半ぶりに代表復帰を果たし、最終予選を戦う中で、明確な目標へと変わっていった。自分も憧れの舞台に立てるかもしれない。そう思った瞬間、「やっぱり世界とやりたい」という気持ちが強くなったという。

 定位置を確保しつつある後輩の存在も刺激になった。井手口陽介のオーストラリア戦での活躍に、最初は「ほんまにうれしかったですね。仲もいいし、チームメイトですし。しかも、W杯出場を決めてくれたので」と喜んだが、次第にある想いがこみ上げてくる。後輩には負けていられない。「自分もその舞台に立ちたい、負けてられへんという気持ちが強くなった」と奮起した。

 まだスタートラインに立っただけだと倉田は言う。「もっとやらなあかんことはある。まずはスタメンを勝ち取っていくことが今の目標なので、もっとアピールしたいですね」。28歳の逆襲は始まったばかりだ。

文=高尾太恵子