歓喜に沸くスコットランド代表。5戦負けなし(3勝2分け)とホームでの強さが際立つ。最終節のスロベニア戦で2位確保を目ざす。(C)REUTERS/AFLO

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 ウェンブリーでハリー・ケインが劇的なアディショナルタイム弾を蹴り込み、イングランドがワールドカップ出場を決めた。それとほぼ同じ時刻、北のスコットランドの聖地でも、試合終了間際にドラマが生まれていた。
 
 欧州予選グループF、スコットランド対スロバキア戦。2位に付ける後者を、前者が2ポイント差で追う構図だ。この本拠地ハンプデン・パークでの大一番を含めて、残るは2試合。スコットランドは勝てなければ、ほぼ即予選敗退が決まってしまう。なぜなら最終節でスロバキアが最下位リトアニアを下すのは間違いないからだ。
 
 1998年フランス大会以来、20年ぶりのワールドカップ出場を目ざす古豪。70年代後半から80年代にかけて数多のタレントを擁して国際舞台を席巻したのは、もはや遠い昔の話だ。それでもタータン・アーミー(代表の愛称)は2013年1月に祖国の英雄、ゴードン・ストラカンを新監督に迎えると、乏しいタレント力を持ち前の闘争心と組織力でカバー。今ワールドカップ予選でも快進撃を続け、出場権を争う位置をキープしてきた。
 
 マレク・ハムシクを中心にボール支配で上回りながらも、スロバキアはあからさまな守備的アプローチ。ストラカン監督は「難しい試合になると予測していたがその通りになった」と、序盤戦を振り返る。
 
 ところが23分、大きな分岐点が訪れる。スロバキアのロベルト・マクがシミュレーションを取られ、早々と2枚目の警告を受け退場となったのだ。英メディア『BBC Sports』は「一気にギアを上げてスコットランドは攻め込んだが、敵GKマルティン・ドゥブラフカのビッグセーブ連発や、シュートが2度もバーに嫌われるなどツキに見放された。徐々にスタジアムは大人しくなり、不穏な空気が流れはじめる」と報じた。
 
 そしてゲーム終盤、ストラカン監督が動く。61分、79分、82分と攻撃のカードを迷うことなく切り、玉砕覚悟のラッシュを決め込んだのだ。すると88分、完全に殻に閉じこもっていたスロバキアの堅牢をついに突き破る。右サイドを打破したイケチ・アニャのグラウンダーのクロスを、中央のクロス・マーティンが合わせにかかった。なんとか割って入った相手CBマルティン・シュクルテルだったが、勢い余ってオウンゴールを献上したのだ。
 
 熱狂で大揺れするハンプデン・パーク。アニャとマーティンは、指揮官がどちらも終盤に投じた切り札だった。『BBC Sports』は「ストラカンの勝負勘が冴えた。チームをロシアに連れていきたいと願う闘将の想いが結実した瞬間だ」と称えた。
 
 現役時代、“小さな巨人”と謳われたストラカン監督はこう語る。
 
「もうスタンドの雰囲気は限界だったね。終わってしまうかもしれないという不安が蔓延していた。でも、我々は最後まで勝利を信じて戦い、国民に歓喜を運んだんだ。このチャンスは逃さないよ。怖れるものなどなにもない。ただ勝てばいいのだから」
 
 はたしてスコットランドは5大会ぶり9回目の本大会出場を果たせるのか。まずはプレーオフ進出の権利を手にしなければならない。最終節を前にしたグループFの順位表はこうだ。
 
1位 イングランド 勝点23 得失点差14
2位 スコットランド 勝点17 得失点差5
3位 スロバキア 勝点15 得失点差7
4位 スロベニア 勝点14 得失点差5
5位 リトアニア 勝点6 得失点差-12
6位 マルタ 勝点1 得失点差-19
 
 10月8日の最終節注目のカードは、スロベニア対スコットランド、スロバキア対リトアニアの2ゲーム。一目瞭然だ。スコットランドが2位の座を確保するためには、敵地で勝利を掴むしかない。