© Adrien Dirand

写真拡大

 「なぜ偉大な女性アーティストが生まれなかったのか?(Why Have There Been No Great Women Artists?)」パリで発表された「ディオール(Dior)」の2018年春夏コレクションでファーストルックを飾ったこのメッセージは、美術史家リンダ・ノックリンによるエッセイから抜粋されたものだ。アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)はこの問いに応えるように、コレクションを通じてフランスの画家で彫刻家のニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle)に焦点を当てている。
 キウリは、メゾンの歴史で最も長くクリエーティブディレクターを務めたマルク・ボアン(Marc Bohan)時代のディオールに着目。彼と親交が深かったというニキ・ド・サンファルとの関係性にも触れ、ボアンを魅了したサンファルの力強い作品のモチーフやカラーパレットが会場演出やコレクションへと落とし込まれた。
 会場は前シーズンと同様、パリ7区にあるロダン美術館。庭園には巨大な洞窟が設営され、石像を模した入り口にはサンファルが著書で触れた「人生がカードゲームであるとするならば、ルールを知らずに我々は生まれ、大きな賭けに出なければならない。いつの時代も、人はタロットカードでプレーするのを好んだ。詩人、哲学者、錬金術師、芸術家はその意味を解明することに専念した」という占術を好んだムッシュ ディオールに呼応するフレーズが綴られた。
 ショーではボアンとサンファルの関係を結んだ彫刻「ナナ(Nana)」をはじめ、マルチカラーのハートや注目を集めたドラゴン、トスカーナ地方にある「タロットの庭(Tarot Garden)」など数々の作品がモチーフとして登場し、ミニドレスやジャンプスーツといったマルク・ボアンの時代から引用されたアイテムと融合。彼が多用したというブラック&ホワイトのチェックやポルカドットなども加わり、女性解放活動が活発となった60年代らしい自由で力強いムードを漂わせながら、創造性という角度からフェミニティに迫ることで冒頭のメッセージに応えたようだ。