日本代表10月2連戦「ポジション争いの構図」 8カ月後のW杯へサバイバル激化

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本大会に向けてカウントダウンがスタート 現招集メンバーを軸に各ポジションの序列を整理

 日本代表は「10月シリーズ」として6日の国際親善試合ニュージーランド戦と同10日のハイチ戦に臨む。

 ワールドカップ(W杯)出場権を獲得し、8カ月後の本大会に向けてカウントダウンがスタートしているなかで、バヒド・ハリルホジッチ監督の頭の中で現状の選手たちの序列はどのようになっているのだろうか。

 これまでの傾向を見る限り登録メンバーが23人の場合、ハリル監督はGKに3人を招集するほかは、ポジションごとに2人ずつを選んでいる傾向がある。そうなると、自然にポジションごとの「定員」もハッキリすることになり、競争の構図が鮮明になる。

 GKでは、川島永嗣(メス)が現状のトップであることは揺るがないだろう。欧州でのプレー経験、W杯本大会の経験を両方持っているのは大きく、東口順昭(G大阪)と中村航輔(柏)が続いているという構図はハッキリしている。ハリル監督がメンバー発表会見で東口の出場機会に言及したことから、東口が中村より上位にいると推察される。

 しかし、今回招集されていないGK西川周作(浦和)は、W杯アジア最終予選が始まった時点では東口より上にいたのは事実だ。川島と西川の間で第1GKだけが入れ替わった構図なだけに、今季だけでなく来季序盤を含めた浦和でのパフォーマンス次第では、復活の目を残していると言える。

サイドバックは残り“1枠”の争いか

 サイドバックでは欧州でプレーするDF酒井宏樹(マルセイユ)、DF長友佑都(インテル)、DF酒井高徳(ハンブルガー)の3人が常にハリル監督の優先順位にある。それでも、長友と酒井高徳が左右両サイドのプレーを可能とするだけに、どちらかのサイドに1人分の余地があるという見方もできるだろう。

 今回はそこに車屋紳太郎(川崎)が初選出されたが、復活を期す実力者もいれば、他ポジションとの兼務の可能性もある。今季からドイツ2部ウニオン・ベルリンに移籍したDF内田篤人にも、今後のプレー次第では復活する可能性があり、センターバックで選出されたDF槙野智章(浦和)もサイドバックで起用された実績がある。MF遠藤航も所属する浦和で右サイドバックでのプレー機会が生まれているため、“残り1枠”を巡る争いは熾烈を極めていると言えるだろう。

 センターバックでは、吉田麻也(サウサンプトン)が不動のリーダーで、そのパートナーを巡る争いと言えそうだ。現時点では昌子源(鹿島)が信頼を得ている感があるが、ハリルジャパンの立ち上げ当初から招集回数の多い槙野や、DF植田直通(鹿島)と今回は招集外のDF三浦弦太(G大阪)にもチャンスがあるか。また、長期離脱中のDF森重真人(FC東京)が復帰すれば再びこの競争に加わると予想され、激戦区と言うことができそうだ。

 守備的な中盤の選手となると、今回は招集外だが主将のMF長谷部誠(フランクフルト)に対するハリル監督の信頼度は絶大だ。MF山口蛍(C大阪)もレギュラーを確保している感があり、MF井手口陽介(G大阪)の成長も著しい。サイドバックでも名前を挙げた遠藤は、同じリオデジャネイロ五輪世代の井手口を凌駕するようなパフォーマンスを残さない限り、このポジションでの生き残りは簡単ではない。他でも、最終予選の敵地UAE戦で救世主になったMF今野泰幸(G大阪)に再びスポットライトが当たる可能性もある。

激戦区の左ウイング、本田招集外の右は…

 ピッチ中央に入る攻撃的な中盤では、香川真司(ドルトムント)が競争をリードする存在だろう。しかし、その他の選手たちは完全なる競争にある。3ボランチ気味の布陣も手札に持つハリル監督だけに、ここに招集選手の人数をかけない可能性も高い。さらには、今回は負傷中のMF柴崎岳(ヘタフェ)や、清武弘嗣(C大阪)という実力者もいる。招集される数の割にチャンスが少ない面もあるが、MF小林祐希(ヘーレンフェーン)やMF倉田秋(G大阪)にとって、この10月シリーズでのアピールは不可欠だ。

 攻撃的な右サイドでは今回、FW本田圭佑(パチューカ)が招集外となった。しかし、アジア最終予選の後半でレギュラー格になってきたFW久保裕也(ヘント)の成長が著しく、浅野拓磨(シュツットガルト)には群を抜くスピードという“特殊能力”がありジョーカーとしての序列が高い。他のポジションの人数との兼ね合いもあるが、本田はメキシコで復活を印象づけるパフォーマンスを見せなければ、厳しい立場になりそうだ。

 逆の左サイドでは、今回の招集メンバーではFW原口元気(ヘルタ)とFW乾貴士(エイバル)による一騎打ちの構図となっている。現状の起用法からは、守備面でのハードワークにより原口がハリル監督の信頼を得ていると見られる。原口はバイエルン・ミュンヘン、乾はバルセロナやレアル・マドリードといった欧州トップクラスの名門との試合で、ゴールやアシストといった結果を残している。FW武藤嘉紀(マインツ)もプレー可能なポジションであり、今回は招集外となっているものの、ハリル体制発足時から高く評価されてきた宇佐美貴史(デュッセルドルフ)もいる。激戦区のポジションだけに、新たな戦力が牙城を崩すのは並大抵のことではなさそうだ。

大迫の牙城に挑む武藤と杉本

 そして、センターFWでは大迫勇也(ケルン)が地位を確立し、そこに武藤とFW杉本健勇(C大阪)が挑戦するのが、今回の招集メンバーでの構図だろう。もちろん、招集外となっているFW岡崎慎司(レスター)は計算のできる実力者。今季のJ1リーグで得点ランクトップのFW興梠慎三(浦和)などの名前も候補に挙がるが、現時点では岡崎までの4人が競争する形と言えそうだ。

 今回の10月シリーズでは、特に今までレギュラーとしてプレーできなかった選手たちが、どれだけアピールできるかが焦点になるだろう。ハリル監督は「彼ら以外にもチャンスを待っている選手がいる」と話すだけに、ここでアピールできなければ今回外れた選手が復活するか、さらなる新戦力が招集されてチャンスを与えられる可能性が高い。この2連戦では、生き残りをかけた選手たちのプレーに注目したいところだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images