研究者、外資系コンサル、伝統的日本企業、世界的NPO代表と多様な職を渡り歩いた著者が、自由な働き方を実現するためのスキルを公開した『人生100年時代の新しい働き方』がついに発売! 今回は、著者があるヘッドハンターから学んだ、ライフシフト時代に優れた人材を確保するために企業が気をつけるべきポイントをご紹介しましょう。

企業の「見た目」にも目を配る

 当たり前と言えば当たり前だが、働いている個人だけでなく「法人」、すなわち企業にも「ピーク・パフォーマー」(第4回10/4参照)がいる。

 通常、企業を見極める際には、利益や経営指標などの数字をチェックすることが真っ先に頭に浮かぶだろう。しかし、それだけでは十分ではない。企業の「見た目」、具体的にはその設備やそのメンテナンスの状況からも、その企業の置かれている状況や成長の可能性など、判断できることはいろいろとあるものだ。

 以前エグゼクティブサーチ・コンサルタント、いわゆるヘッドハンターに聞いた話で面白いと思ったことがあった。ヘッドハンターなら候補者となる人の「ルックス」を注意して見るのはわかる。スーツやシャツはプレスされているか、靴は磨かれているか、清潔な印象があるか……といったルックスだ。しかし、彼は採用を希望するクライアントのオフィスに話を聞きにいく際、必ずその企業の目に見える場所も注意して眺めているという。

 候補者となる人材を託す、企業の「見た目」も同様に重要だというのだ。

 彼によると、オフィスを眺めたとき、掃除が行き届いていないのは言うに及ばず、来客用の会議室に使用済みのコップがそのままになっていたり、来客が目にするスペースの椅子や備品が乱雑に置かれていたり、手洗いのシンクが水浸しだったりと清潔・整頓が徹底されていないのは、業績が芳しくないサインであることが多いという。廊下やエレベーターなどのパブリックスペースの整頓度合いもチェックするそうだ。もちろん、近年は自社ビルでなく、スペースを借りている企業も多いが、やはり兆候は出るとのこと。そこで働く従業員の態度のほかにも、企業の「見た目」そのものが発するサインはたくさんあるというのだ。

 こうした物理的な「見た目」のほかに、雰囲気という意味での見た目も判断材料になる。たとえば、やる気のなさや元気のなさ、投げやりな雰囲気を感じる社員が多い会社は、当然ながら社内がぎくしゃくしている。業績に反映されているかは別にして、コミュニケーションがうまく取れずに、ことあるごとにプロジェクトが中断したりする。

挨拶さえも、立派なバロメーター

 逆に社員の雰囲気がいい企業は上り調子であることが多い。

 最近私が訪問した企業で印象深かったのは、飛ぶ鳥を落とす勢いのソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」を運営するベンチャー企業、エニグモだ。社長の須田将啓さんのもとに案内されて、仕切りのない広いオフィスフロアを横切った際に目にした社員の方々は、誰もがエネルギッシュで前傾姿勢。目が合えば遠くの席にいても、気持ちのよいトーンで挨拶の声をかけてくれる。

 来客に対する挨拶など当たり前と思うかもしれないが、その当たり前がない企業も多い。そして、そういう企業とはトラブルになる確率が高い。

 仕事を進めるにあたって、どういう人と働くかは重要だ。しかし、異業種や異セクターの企業・団体と協業する場面が増えると考えられる将来、どんな「法人」と仕事をするのかを見極め、パートナーとして迎え入れるのかを考えることはさらに重要になる。

 企業の知名度や世間的な評価といった先入観を外して「ありのまま観察」をすることで、データだけではない「見た目」を自分の目で確かめる。その必要性はますます高まっているのだ。

(続く)