グローバルカンパニーの中での日本法人の位置づけとは?(撮影:今 祥雄)

5回にわたった連載も、いよいよ最終回となりました。今回はグローバルカンパニーの中でのフェイスブック ジャパンの位置づけ、そして日本法人である私たちフェイスブック ジャパンが日本の社会、経済にどんな貢献をしていきたいかについてお話しします。

まず、フェイスブック ジャパンの位置づけですが、結論から言えば日本は極めて重要なマーケットであり、学びが多く得られるマーケットだととらえています。

本社の幹部が続々と来日

Facebook本社の幹部たちの頻繁な来日がその証しです。2016年は1月にCPO(Chief Product Officer - 最高製品責任者)のクリス・コックス、4月にInstagramの2人の創業者、ケビン・シストロムとマイク・クリーガー、5月にはグローバルの広告事業統括のデイビッド・フィッシャーが日本を訪れ、12月にはInstagramのCOO (Chief Operation Officer - 最高執行責任者)マーニー・レヴィーンが安倍晋三首相主催の世界女性会議で基調講演をしました。

クリス・コックスは今年5月にも東京に来ています。いかにFacebook本社が日本のマーケットを重視し、日本から多くを学びたいと考えているかがおわかりいただけると思います。


クリス・コックス来日の様子


マーニー・レヴィーン来日の様子

なぜなのでしょうか。その理由は、日本が世界でも有数のモバイル先進国だということです。モバイル機器の普及率、回線速度などのインフラ面も充実していますが、それ以上にモバイル文化の歴史が古く、マーケットとしての成熟度が抜きん出ています。


リアクションの「超いいね!」や「悲しいね!」は日本の絵文字文化がルーツ

世界初の携帯電話IP接続サービスである「iモード」の登場をきっかけに、日本では早くから生活に「ケータイ」が浸透しました。スマートフォンが登場する前から、多くの人が「ケータイ」でメッセージや絵文字でのコミュニケーション、ゲームや占い、音楽に親しむ土壌があったのです。日本のこの「ケータイ」の使われ方が現在のFacebookの製品・機能にも大きく影響しています。

例としては、2016年1月からFacebookで「いいね!」以外にも、「超いいね!」や「悲しいね!」といった幅広い感情表現が可能になりました。これは“リアクション”という機能で、日本の絵文字文化からインスピレーションを受けています。世界中の20億人の人たちが日々の感情表現に使っており、実に日に1億7500万人の方が「超いいね!」のリアクションをするまでになっています。日本発で大きく発展を遂げたインスピレーションの源だと言えるでしょう。

フェイスブック ジャパンが目指していること

そんな日本という国に、私たちがどう貢献していきたいと考えているのかご紹介します。フェイスブック ジャパンは、以下の3つの戦略を掲げています。

1. 「ユーザー・コミュニティをエンパワーする」

2. 「ビジネス成長のベストパートナーとなる 」

3. 「テクノロジーを活用して日本社会へ貢献する」


フェイスブック ジャパンでは会議室の名前はすべて「和製英語」。こんなところにもこだわっている(撮影:今 祥雄)

「ユーザー・コミュニティをエンパワーする」という戦略には、製品・機能面やコミュニティづくりのサポートで貢献し、「ビジネス成長のベストパートナーとなる 」という戦略にはモバイル時代のマーケティングをサポートすることで貢献していくという青写真は、本連載の第1回目から第3回目で取り上げました。

ここでは3つ目の「テクノロジーを活用して日本社会へ貢献する」について詳しくご説明します。今、日本が直面するさまざまな課題の中で、私たちは特に3つの分野の解決にテクノロジーで貢献したいと考えています。

中小ビジネスや個人事業主のビジネスをサポート

1つ目は、中小ビジネスや個人事業主のビジネスをサポートし、地域の活性化につなげたいと考えています。前述のとおり、現在、モバイルがコミュニケーションの中心になっており、企業のマーケティングもモバイルシフトに合わせて最適化できるかが成長の鍵となります。FacebookとInstagram広告は、1000円からという少額からでも実施でき、スマホ・PCで簡単に出稿できるのも中小ビジネスに最適な理由と考えています。

その取り組みをするにあたり、 地域の実際の声を聞く目的で、7月に長崎県の壱岐島を訪問しました。島の中小ビジネスや個人事業主を支援する「Iki-Biz(壱岐しごとサポートセンター)」の方々とのお話から、島の事業や商品の魅力を私たちのプラットフォームで広めていける可能性は十分にあると感じました。実際、壱岐島の青果店である「下條くだもの店」では、県内・県外合わせて3万円の予算で5万人にリーチでき、広告単価としても通常のチラシと比べ10分の1で、効率よく店舗の認知拡大ができた、といううれしい声もいただきました。


下條くだもの店のFacebookページ(左)とInstagramページ

まだ取り組みははじまったばかりですが、地方の経済や文化を学び、蓄積したノウハウをそのほかの地域でも生かすようなサイクルを作ることができればと思っています。

また、第3回目の連載(モバイル時代のマーケティング新潮流とは?)で2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の前に日本のファンを増やすことが大切だと、ニュージーランド観光局の例を挙げてお話しさせていただきました。

日本は全国各地にすばらしい観光資源があります。その地域独自の魅力を世界の、旅行好きや日本に興味がある方々にターゲットして発信することが可能です。日本各地の観光資源と世界の人々をつなげることで、地域活性化と日本のファン作りに貢献したいと考えています。

災害対策や働き方改革にもテクノロジーで寄与

2つ目は、災害に対する備えの強化です。特に日本は地震大国で、地震に備えることはいつの時代の課題でもあります。Facebookには災害時に友だちに安否を知らせたり、友だちの安否を確認できたりする「セーフティチェック(災害時安否確認機能)」という機能があります。

実はこの機能が生まれたのは、東日本大震災がきっかけです。当時、米国のFacebookでインターンをしていた日本人のエンジニアが、東日本大震災の際、Facebook上で飛び交う安否確認のやり取りを目の当たりにし、エンジニアとしてできることはないかと考え、現在のセーフティチェックの前身を作り、2014年にセーフティチェックとして発表しました。これまで600回以上が世界中で起動しています。


熊本地震の際のセーフティチェック(災害時安否確認機能)

さらに今年、災害時にユーザー同士が助け合える「コミュニティヘルプ」という機能も追加しました。災害発生後に利用者が必要とする物資や避難場所、移動手段などを探したり提供したりする機能で、たとえば、おむつが足りない人と、提供できる人を結びつけたり、この避難所ならあと何人くらい収容可能、という情報を提供したりと、支援を必要としている方と支援を提供できる人をつなげる機能です。

このすべてが10月からは「災害支援ハブ」の一環としてご利用いただけます。この災害支援ハブは、災害・テロ・事件など有事の際に立ち上がるのですが、それが立ち上がる機会がないといいなと思いつつ、もしものために知っておいていただけたらと思います。

3つ目は働き方改革への貢献です。具体的には企業の社内ミュニケーション向けFacebookであるWorkplaceが大きな役割を持つと考えています。

第4回の記事(Facebookは「働き方改革」にも貢献している)でご説明したように、従来の会議とEメール中心のコミュニケーションだけでは、スピーディな情報共有や決断を進めるうえで不十分かもしれません。

ビジネスを効率よく、イノベーティブに進めるには、さまざまな形のコミュニケーション、たとえばチーム全体への情報共有・部門横断型プロジェクトでの問題提起・フォローアップ、1対1でのコミュニケーションを自在に組み合わせるべきだと私たちは考えています。コミュニケーションが自在になることで、スピードも議論の質も格段に変わってきます。ここをサポートすることで、日本の働き方改革、イノベーティブな企業文化の醸成に寄与していきたいと考えています。

道のりはまだ始まったばかり


私たちの道のりはまだ始まったばかりです(写真:フェイスブック ジャパン)

いかがでしたでしょうか。5回の連載を通じて、「今、Facebookがどこに向かっているか」について、お伝えできたのであればうれしいです。

ただ、私たちの道のりはまだ始まったばかりです。Facebookでよく使われる表現に「This journey 1% finished(まだ1%しか終わっていない)」、つまりはミッションを成し遂げるにはすることがまだまだ多くある、道半ばであるということを示す表現があります。日本におけるフェイスブック ジャパンでの取り組みも同様です。

新ミッション 「コミュニティづくりを応援し、人と人をより身近にすること」のもと、フェイスブック ジャパンは、今後も日本ならではのコミュニティのあり方を学び、日本らしい新たなコミュニティづくりを応援しつつ 、これからもあらゆる人と人のつながりの深化に貢献していきたいと思います。今後ともFacebookをどうぞよろしくお願い申し上げます。