住民投票当日のラス・パルマス戦でバルサは、カタルーニャ旗のユニホームを試合前に着用。独立支持の姿勢を改めて打ち出した。(C)Getty Images

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 カタルーニャ州政府が週明けにもスペイン王国からの独立を宣言しようとしている。
 
 とはいえ言うまでもなく、一国からの分離独立はそう簡単にできるものではない。そもそも10月1日に強行された住民投票をはじめ、州政府がやっていることはみなスペインの憲法を無視した違法行為であり、彼らがいくら「独立した」と主張したところで、法的な根拠は何もないのだ。
 
 ゆえにカタルーニャが独立を宣言した後も、FCバルセロナをはじめエスパニョール、ジローナといったカタルーニャのクラブは、引き続きスペインのコンペティションで戦うことになるだろう。独立を認める気がない以上、スペイン側がカタルーニャのクラブを追い出すことはありえないし、カタルーニャのクラブにも出て行くメリットはないからだ。
 
 それでもカタルーニャが分離独立への道を邁進していることは確かであり、将来的に「カタルーニャ共和国」が誕生する可能性は否定できない。そしてその場合、カタルーニャのあらゆるクラブは、スペインのコンペティションで戦うことができなくなる。
 
 スペインのスポーツ法では、プロ、アマを問わずあらゆる国内の公式コンペティションに参加する条件として、然るべき連盟・協会への所属が義務づけられている。サッカーにおいてはRFEF(スペイン・サッカー連盟)がそれに当たる。
 
 さらにRFEFの規約では、スペイン国内のコンペティションに参加するためには同連盟への加盟登録に加え、傘下の自治州協会への登録も義務づけられている。
 
 よってカタルーニャが分離独立した場合、FCF(カタルーニャ・サッカー連盟)は自動的にRFEFの傘下から外れ、同時にFCFに登録している全てのクラブがスペインのコンペティションで戦う資格を失うことになる。
 
 そしてもちろん、スペインのコンペティションに参加できなければ、当然ながらチャンピオンズ・リーグ(CL)、ヨーロッパリーグといった欧州のコンペティションにも出場できなくなる。
 
 つまりこのままでは、バルサがリーガからもCLからも消えるのだ。
 現在はプリメラ・カタラナ(スペイン5部リーグ)に所属している、隣国アンドラのFCアンドラのような例外もある。ただ、1940年代にRFEFがFCアンドラの加盟を特別に認めたのは、当時はまだアンドラに独自のリーグやフットボール連盟が存在しなかったからだ。ASモナコがフランス・サッカー連盟(FFF)に加盟した経緯も似たようなものだった。
 
 バルサやエスパニョールがカタルーニャ独立後もリーガ・エスパニョーラに残るためには、やはり例外的なケースとしてRFEFとリーガの承認をえなければならない。
 
 だがそのためにはまず現行のスポーツ法を改正する必要があるため、スペイン政府の同意も必要となる。しかし、はたしてこれらの組織は、一方的に国を出て行った連中のために、どこまで便宜を図ってくれるだろうか。
 
 一部では「バルサはプレミアリーグやリーグ・アンへの参入も視野に入れている」、「これを機に欧州スーパーリーグを作る」という報道もあるが、それも現実的ではない。最も自然なのはFCFがUEFAに加盟し、カタルーニャにプロリーグを新設することだが、その道も容易ではないだろう。
 
 FCFがUEFAに認可されるためには、第一にカタルーニャが独立国としてEUや国連の承認を得る必要がある。しかし、法を無視して強引に独立を押し進めている現状、共和国として国際的に認められるまでには長い月日を要するに違いない。
 
 いずれにせよ、カタルーニャの独立が、スペイン・サッカー界にとって茨の道となることだけは確かだ。
 
文:工藤 拓
 
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体に執筆している。