YouTubeの視聴者が求めているものは何か(写真:Tomoki Kuwajima)

「Instagram」「Twitter」「LINE」……etc。SNSを仕事でも使う機会が増えています。でも実は苦手、よくわからない……そんなことをうっすらとお思いの皆さんに、SNSの申し子、20代女性に圧倒的な人気を誇る「ゆうこす」こと菅本裕子が、イマドキSNS事情をお届けします。
元アイドルという異色の経歴を持ち、どん底の時代からSNSを駆使して自分をブランディングした彼女ならではの視点。連載5回目は「YouTube」についてです。

芸能人より身近「ユーチューバー」という存在


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ここ数年で目にする機会が増えた「ユーチューバー」。動画投稿サイトYouTube上に、自ら制作した動画を継続的に投稿する人のことを指します。

最近、「HIKAKIN(ヒカキン)」さんや、「はじめしゃちょー」さんなど、有名ユーチューバーが多数所属するマネジメントプロダクション「UUUM(ウーム)」が東証マザーズに上場しました。たびたびニュースになったので、ご存じの方も多いでしょう。

今年の子どもが将来なりたい職業ランキングでは「ユーチューバー」が上位にランクイン。小学生からスマホを持つのが当たり前になっている現代では、スマホでYouTubeを見ることが日常になっています。そこに登場するユーチューバーは、テレビ離れしている10〜20代の若者にとって、芸能人以上に身近な存在になっているのです。


私も、YouTubeに「ゆうこすモテちゃんねる」を開設しているユーチューバーです

しかし、実際にはユーチューバーの動画はじっくり見たことがない、どんな活動をしているのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ユーチューバーでもある私が、「一般人でもバズる」YouTubeの世界についてご紹介します。

一般人でも1億円プレーヤーになれる!

ユーチューバーは基本的に一般人。テレビに出ている芸能人とは違い、一般的な知名度は高くありません。しかし、YouTubeの視聴者層には絶大な人気を誇っていることをご存じでしょうか?

たとえば、「フィッシャーズ」さん。思い出系ネットパフォーマンス軍団として、「○○やってみた」のような動画を投稿している7人組のグループです。彼らのYouTubeチャンネル登録数は、なんと300万以上。知らない方も多いかもしれませんが、YouTube業界では超がつくほどの有名人です。

Instagram(以下、インスタ)の場合、フォロワー数が100万人を超えるのは紗栄子さんや藤田ニコルさんといった誰もが知っているような芸能人ですが、YouTubeではチャンネル登録数100万超の一般人が大勢います。一般人にもかかわらず、これだけの数のファンを獲得できるのがYouTubeなのです。

多くの人が見ているのはわかったけど、動画を投稿することが職業になるの?と思った皆さん。ユーチューバーはそれだけで食べられる、「れっきとした職業」なのです!

YouTubeは動画の再生回数に応じて広告収入が得られる仕組み。人気動画を配信している人は、この広告収入だけで十分生活ができます。

人気ユーチューバーはこれに加え、企業からPRの仕事を依頼されることも。年収1億円以上の人も存在します。億まではいかないまでも、年収数千万というユーチューバーは少なくないのです。

ユーチューバーを目指す人が急増しているのもうなずけますよね。好きなことを仕事にし、それで食べていけるとても夢のある職業なのです。

フォロワー数とPV数に大きな差が出るのもYouTubeの特徴。面白いと話題になれば、ファンじゃない人も大勢見るのです。

YouTubeでは、「○○は本当か検証してみた」のような動画が投稿され、大きな反響を呼ぶことがあります。テレビが尖ったことをやろうとすると、すぐに批判されてしまう今の時代、「電波少年」(1992〜2003年まで日本テレビ系列で放送されたバラエティ番組)のような、リアルなバラエティを求めている層の受け皿になっているのです。

テレビとYouTubeは何が違うの?とお思いの方もいるかもしれませんが、視聴者が求めているものが根本的に違います。

テレビは台本があって、プロデューサーがいる。大勢の人によって作られた世界観、ある種の予定調和を楽しむものです。一方、YouTubeは、ユーチューバーが企画から出演、撮影、編集まで1人でこなす。撮った動画を即日公開することも普通です。

視聴者はユーチューバーの「リアルな今」、どんな結果になるのか読めない内容をワクワクしながら楽しむのです。


私も撮影から編集、アップまですべて1人でやっています! PV数は100万回を超えるものも

テレビのようなクオリティの高さはないけれど、かわりに圧倒的なリアルさとスピード感、視聴者との距離感の近さがある。それがYouTubeなのです。

芸能人の動画がバズるとは限らない!

だから、知名度のある芸能人が人気ユーチューバーになれるか?というと、そうとは限らないのです。

アイドルやモデルなど、女性芸能人が続々とYouTubeを始めていますが、動画の視聴回数は5000回程度と、知名度の割には伸びないことも。Twitterやインスタでは10万人以上のフォロワーがいる人であっても、です。

私はその理由をこう分析しています。「メインはテレビだけど、今流行っているし、とりあえずYouTubeもやっておくか」という事務所の意向が、視聴者に漏れ伝わってしまっているから。

スマホ世代と言われる若者は、毎日大量の情報に触れているので、情報を見極める力がとても高い。動画の中に事務所の意向が感じられたり、本人が作っていない感じが見えてしまうと、途端に冷めてしまうのです。

たとえば、「カメラさん、これでいいんですよね?」と話しかけていたり、数日前に髪を切ったとTwitterで言っていたのに、今日アップされた動画では髪が長いままだったり。初心者のはずなのに、妙にクオリティの高い編集がされていたり。

そんな動画を見ると、「あー、スタッフが動画を作ってるんだ。それに、いつ撮ったものを公開しているんだろう? 事務所チェックを待っていたのかな?」なんて思ってしまいます。まるで、ファンクラブで配信している動画コンテンツを見ている気分になるのです。

こういう動画だと、ファン以外の人がわざわざ見ようとは思わないので、視聴回数は伸びません。利用者が多いYouTubeでは、自分のファン以外に向けて発信するほうがバズるのです!

また、どこか芸能人らしさが残ってしまう点も、リアルさが求められるYouTubeでは受け入れられない要因の1つかもしれません。

たとえば、すっぴんからメイクの過程を紹介する動画。

芸能人の場合、すっぴんといってもベースは塗っていたり、髪はセットされていたりすることが多いのですが、メイク動画で人気のユーチューバー「足の裏から人間になるには」さんは、メイク前は寝起きのような髪の乱れ具合や、明らかにすっぴんとわかる肌や目の状態。ご本人曰く「足の裏のような顔」から人間になるべく、メイクで別人のように変身していく。このリアルさに視聴者は共感し、まねしたいと思うのです。

逆に、「芸能人なのに、こんな面も見せてくれるんだ!」と思うような動画を公開しているNMB48の吉田朱里さんは、ユーチューバーとしても大成功しています。

「自分の力だけで作っている」という親近感


私もすっぴん&パジャマ姿でYouTubeに登場しています

YouTubeで何よりも大事なのは、「自分の力だけで作っている」という親近感。完成度の高さは必要ない。むしろ、素人っぽい見た目や編集のほうがYouTubeの視聴者層には受け入れられやすいのです。

私は元アイドルということもあり、芸能人として認知されていましたが、YouTubeではあえて芸能人に見えないよう、服装や髪型、テロップの入れ方などの編集には気をつけました。

あくまで、「最近YouTubeを始めたばかりの一般人」としてメイク動画を投稿する。だからこそ、多くの人に見てもらえたのだと思います。

リアルな商品PRならユーチューバーを選ぶべき!

ユーチューバーは簡単になれるように見えて、みんな陰でものすごく努力をしています。私自身も、動画編集の知識がまったくないところから、独学でスタートしました。定期的に動画をアップするために、睡眠時間を削ることも当たり前。

そうして本気で作っているユーチューバーの動画は視聴者に信頼されるのです。YouTubeの視聴者は、信頼と親近感をより感じる、YouTubeをメインで、本気でやっているユーチューバーの動画が見たい、と思うのです。

そこで1つ、YouTubeをビジネス利用したいとお考えの企業の皆さんに言いたいことがあります。YouTubeで商品をPRするなら、芸能人よりもユーチューバーを起用したほうがいいです!


YouTubeの視聴者が求めているのは、「今回ご紹介するのは、こちらの商品です」のような作りこまれた芸能人のCM番組ではなく、リアルな口コミ。近所の美人のお姉さんが使っているコスメがいいらしい、というような、距離感の近い口コミが最も信用されるのです。実際に、私がYouTubeで紹介したコスメを求めて、動画公開の翌日に行列ができる、という現象も起きています。

もちろん、「ブランディング」という観点では、芸能人を起用したほうがイメージアップにつながると思います。しかし、YouTubeの視聴者が「買いたい」と強く思うのは、ユーチューバーが紹介した商品なのです。

インスタもそうですが、各SNSにはその中で影響力を持つ人がいます。よって、インスタでPRをするならインスタグラマー、YouTubeならユーチューバーに依頼するのが効果的。その人たちにはそれぞれ熱いファンがついているので、拡散される可能性が高いのです。

ぜひ、YouTubeの特性を理解したうえで、ビジネスに役立てていただければと思います。