ガンバ大阪でも2015年にJ1デビューしたばかりの頃はボランチの先輩である遠藤保仁、今野泰幸をリスペクトしすぎる嫌いがあったが、今では自分が主役という雰囲気を色濃く出せるようになっている。それも日々の積み重ねの成果に他ならない。

 日本代表でも同様で、初招集された昨年11月のオマーン(カシマ)・サウジアラビア(埼玉)2連戦の頃はついていくのに精一杯。本人も今年6月の2度目の招集時に「前回はホントにすごくレベルの差っていうのを感じた。悔しい思いもしました」と力不足だった自分を述懐していた。それでも1戦1戦をこなすたびにプレーの幅が増え、ダイナミックさが増している。そうやって急成長できるのが若い選手の強み。「最初よりはできるというのは分かったので、次はもっともっと求めて、要求してというのをやれば、もっとよくなる」と今は高みを目指す欲が一段と強くなっている。

 中田英寿が98年フランス大会前後の1年間で一気に世界へと駆け上がったように、井手口もそれ以上の成長曲線を辿れるはず。ニュージーランド戦で山口・香川とのトライアングルを機能させ、1カ月前のオーストラリア戦を上回るパフォーマンスで見る者の度肝を抜いてくれれば、これ以上心強いことはない。

文=元川悦子