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 日産の検査不正問題が広がりを見せている。初期の報道に接した際の疑問は、立ち入り検査で摘発されるような“あっけらかん”とした手抜きだったのだろうか?ということと、なぜ日本国内の全6工場で同様の不正が行われていたのだろうか?ということであった。

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 ところが、摘発の端緒が“抜き打ち検査”の結果と報じられるようになってきた。国土交通省の“抜き打ち検査”が行われるからには“検査を行わしめる確実な動機”、おそらく具体的な内部告発があったのだろう。そして国内の全工場で同様の不正が行われていたのであれば、全社的な統一的意志のもとに、国の定めたルールを無視するコンプライアンス違反が日産の社内で、何年間にもわたって白昼堂々と継続されていたことになる。

 なにしろ無資格の従業員が完成検査をしていながら、検査の書類上は有資格者が担当したように偽装し、有資格者の判子が押されていたと言うのであるから、完全に分かってやっていた“確信犯”である。

 伝説の存在になりかけていたカルロス・ゴーン氏は、1999年に最高執行責任者(COO)に就任して財政危機に瀕していた日産でのキャリアをスタートさせた。その後は「ミスター・コストカッター」の異名のもとに「日産リバイバルプラン」を推進し、とうとう18年目の今年、日産・ルノー・三菱自動車の3社連合を、2017年上半期の世界販売台数で初のトップに押し上げた。8月27日に行われた記者会見で、ゴーン氏は年間トップへの意欲を見せたということである。

 その栄光の日々は長く続かない。上半期の世界販売台数トップが報じられた僅か2カ月後に、企業イメージを奈落まで突き落とす重大事件の発覚である。検査不正が行われた理由が“経費削減”と伝えられ始めると、ミスターコストカッターとの関連に連想が向くのは止むを得ないが、起承転結の解明は今後の調査に委ねるべきだ。もちろん、ゴーン氏が些末な指示をした訳ではないだろう。「製造原価を〇%削減しろ」という指示を受けた製造統括役員が、懇意にしている工場長の進言を受けて、全工場に指示を出したという流れが分かり易い(これはあくまでも一つの可能性である)。

 フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が起こった理由の一つに、「経営者の指示に反論を許さない企業風土があった」との指摘がある。日産でも同様のことが起こったのであれば残念なことである。今、確かなことは、前触れもなく“日産のサバイバル”が始まったということだ。