ジャパンディスプレイ(JDI)は4日、一部報道機関の「有機ELで日本初の量産へ JDI、1000億円増資へ」の報道に関して、当該報道の内容はJDIが発表したものでないと発表した。加えて、8月9日開示資料「構造改革および中期経営計画の骨子について」に記載の通り、有機ELの開発・量産に向け、グローバル企業とのパートナーシップを構築するとの方針を再確認した。

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 一部報道の要旨は、JDIの持分法適用会社JOLEDが、有機ELの製造コストを3〜4割下げる印刷方式の生産方式に目処をつけたこと。その量産に向け1,000億円の投資資金を集めるため、国内数十社に出資の打診を始めたことの2点である。

●JOLEDとは

 JOLEDは、産業革新機構が75%、JDIが15%、ソニーとパナソニックがそれぞれ5%を出資している会社である。JDIの連結子会社化は、JDIの業績不振から見送られている。

 JOLEDは5月17日に「世界初の印刷方式4K有機ELパネルのサンプル出荷を開始」と発表、21.6型4K高精細有機ELパネルの開発に成功している。競争が厳しいTV向けを避けて、医療用モニター向けを始めとして順次製品を展開する計画だ。

●有機ELとは

 有機ELは、発光ダイオードの一種で、発光材料に有機化合物を用いる。現在のTVで採用されている液晶に比べ、薄型軽量、低消費電力、応答性、高輝度、曲面が特長である。

 アップルが最新のiPhone Xに有機ELを採用したことで広く知られるようになったが、有機ELの量産体制は韓国サムスンとLG電子が先行している。

●有機ELの製造方法

 有機ELの製造方法には、蒸着方式と印刷方式の2種類がある。蒸着方式は、真空環境で材料を加熱、気化させてEL層を形成する方法。サムスンやLG電子が採用し、有機ELを量産している。製造装置や生産体制が整っているのが強みであろう。高精細なマスクを必要とすることから、歩留り向上に時間がかかるともいわれる。

 印刷方式は、有機EL材料を印刷により塗布・形成する技術で、生産工程がシンプルであることから、製造コストが下がるという。大規模化にも有利であり、JOLEDが5月、21.6型の試作に成功している。5月時点では、生産方式はパナソニックと共同開発したと発表した。

●有機EL(JDI、生産方法)のテクノロジー

 JDIとJOLEDは、有機ELの大きさによって生産方式を選択する方針のようだ。スマートフォン用の有機ELは蒸着方式でDJIが主導し、医療など高付加価値パネル用の有機ELは印刷方式でJOLEDが開発する。

 二兎を追う戦略のようであるが、パネルの大きさによって最適な手法が異なると解釈すべきなのであろう。蒸着方式を採るサムスンとLG電子の生産方式が異なるのは、対応するパネルの大きさであろうか。

 注視すべきは、印刷方式の量産目処と重点分野であろう。有機ELの付加価値を活かせる分野で、有機ELの開発・量産に向けたパートナーシップ構築の方針を再度発表している。