184センチの高さに加え、足下の技術にも定評がある町野。横浜のモンバエルツ監督は第一印象で気に入ったという。写真:森田将義

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 高校年代を代表する点取り屋が、プロの道へと進む。  横浜F・マリノスは10月5日、履正社高校のFW町野修斗の来季加入を発表した。町野は9月に堺で行なわれたU-18日本代表候補にも選ばれた184センチの大型ストライカーで、軽やかな身のこなしから左右両足で強烈なシュートが撃てる本格派。中学までは中盤を担っていたため、高水準のパスも備える世代屈指のFWだ。  6月と7月に横浜の練習に参加。「プレッシャーの速さとか判断のスピードが高校とは違うと感じたことは収穫だったけど、まだまだ甘くて『中澤(佑二)選手だ!』とか心の中で思っていた自分がいた」と振り返るが、随所でキラリとセンスの高さを見せつけるプレーを披露した。 エリク・モンバエルツ監督がスタッフに「いますぐ契約をするんだ」と伝えるほどの高評価を受けたほか、MF喜田拓也から「一緒にやろう」と声をかけられたという。他のJ1クラブも獲得に動いていたが、「チームからの期待を感じたので、マリノスで試合に出て活躍したい」との想いから、名門クラブへの加入を決意した。  来季からのプロ行きを決めた一方で、この夏は将来的な夢に向かっても動きが見られた。ヨーロッパのクラブとルートを持つエージェントに高く評価され、力試しのために海を渡ったのだ。 まず最初に訪れたのは、ドイツ2部のクラブ。チームメイトにも歓迎ムードで受け入れられ、技術面では、海外選手と見劣りしないプレーを見せることができた。ただ、最も差を痛感させられたのはメンタル面。「海外にはちゃんとご飯が食べられず、生活に困っている選手もいて、サッカーで生きていこうという気持ちが凄かった。腹をくくってサッカーをしているのがプレーにも表われていて、練習の時から切り替えの速さや球際の強さが僕とは違った。いままで甘かったってことに気付かされた」。  続いてプレミアリーグのクラブではトップチームの練習に参加し、各国の代表クラスの選手とのトレーニングも経験。「夢のような経験でした。ゴールも奪えて自信になりました」とヨーロッパでの収穫を口にするとともに、「いずれは海外でプレーするのが目標だけど、まずは日本で常に100%以上の力を出さないと向こうではなにもできない」と、重要な気づきを得た。

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 特大のポテンシャルを持つ一方で、町野自身が「まだまだ自分は子どもだと思う。良いプレーができない時に気持ちが下がってしまう」と話していたように、以前は課題が散見された。試合によって出来、不出来の差が目立ち、1試合という単位で見ても、格の違いを見せつけたかと思えば、消えている時間も少なくなかった。  チームを率いる平野直樹監督が日頃から指摘するのも、そうしたパフォーマンスの波だ。「お客さんはお金を払って選手を観に来るのだから、悪い時なりに見せないといけないクオリティーがあると思う。メッシやクリスティアーノ・ロナウドはいつもお客さんを満足させるプレーをするから凄いのであって、町野もプロになるなら、調子が良い時は素晴らしいプレーで、良くない時でも良いプレーができないといけない」と、発破をかけてきた。  指揮官の教えや海外の経験によって、変化は生まれつつある。 帰国後初戦となったプリンスリーグ関西13節の東海大仰星戦こそ、「マークも厳しくて、なにもできなかった。過去で一番くらいのひどい出来だった」(町野)が、続く草津東戦では後半からの出場ながら1得点・2アシストをマーク。あらためてその凄みを感じたとともに、闘志あふれるプレーが印象的だった。 プロになることが目標ではない、プロとして10、20年後も生きていく──。そんな決意が、彼を変えつつある。残りわずかとなった高校生活では、“プロに行く選手”として、これまで以上に厳しいマークを受けるだろう。しかし、その壁を乗り越えることができれば、より自らの理想像に近づけるはずだ。取材・文:森田将義