芸能リポーターに"スクープ"が集まるワケ

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なぜ芸能リポーターには「スクープ」が集まるのだろうか。またそうした「噂」はどのように収集し、どう利用すればいいのだろうか。日々さまざまな噂に接している芸能リポーターの井上公造氏に、「噂の集め方」と「ガセネタの流し方」について聞いた――。

■詐欺師が使うウソを信じさせる方法

情報や噂話には、流して得をするものと損をするものがあります。意図的に誰かを陥れるためにつく嘘は論外。自分の評判を落とすだけです。積極的に流すべきなのは、提供することによって自分の評価が上がる内容のもの。情報を流す際には、誰に評価されたいかも意識しましょう。

たとえば、自分の会社と得意先の企業との間にトラブルが起きたとします。そのときに、相手の会社のどの人を当たると問題を早く解決できるか、上司に自分が持っている情報を提供する。すると、問題は解決され、上司からの評価も上がる。自分の株を上げる情報をここぞというときに解禁する。これが、コツです。

どうしても悪い情報や、噂を流したい? これまでの経験でいうと、そのときは「餌撒き」が効きます。詐欺によくあるパターンです。

たとえば、最初に5万円借りにいって、期日内にきっちり返済する。同じ相手に立て続けに10万円借りて、これもまた期日内に、今度は利子もつけて11万円で返す。そして3度目に30万円借りにいったとき、相手は「きちんと返済してくれる人だ」と信用しているから、またお金を貸してくれる。だけど、借りた人は、大金を借りたままいなくなってしまう。5万円、10万円を借りた行為は、相手に自分を信用させ、油断させるための「餌撒き」なんです。最初に餌撒きされているから、騙されてしまうんですね。

我々の業界でたとえるならば、2回続けて本当のネタを持ってきた人が、3回目にガセネタを持ってきてもつい信じてしまうということが多々あります。悪い噂や情報を敢えて流したいときは、まずは「あの人の流す情報や噂は当たっている」と信じ込ませるといいでしょう。

■ワイドショーで出す「女優S」は誰なのか

情報の流し方にもいろいろな手段がありますよね。僕の場合は、テレビやラジオで話すか、あるいはSNSで発信するか。本当は、情報はすべてタイムリーに出したいんです。ただ、僕の場合は既存メディアで仕事をしている人間なので、なるべく自分が持っている情報は番組内で話すようにしています。とはいえ、番組出演まで黙っていると追いつかれる可能性のあるものは、SNSを使って早めに情報を出します。

表現の仕方も、工夫が必要。私はたまにテレビで「女優Sが結婚間近」などイニシャルで話をすることがありますが、イニシャルの使い方には配慮しています。なぜなら、イニシャルによっては特定しやすい名前もあるから。「S」なら「さしすせそ」すべてがあてはまり、佐々木とも清水とも推測できる。しかし「A」は「あ」しかないから限られてしまう。そういう場合は苗字にしたり、下の名前にすることもあります。それから、人によって、芸名ではなく本名をイニシャルでいったりします。

では、流すための正確な情報はどのようにして入手することができるのか。まずは、口の堅い人間になることです。口が堅い人間だと思われると、自ずと情報がたくさん入ってくるようになるからです。

■芸能リポーターにスクープが集まる理由

噂話や情報を知ると、人間の性(さが)としてどうしても人に話したくなってしまうもの。でも、むやみに話すと自分が損をする。同僚や後輩など仲間内では「情報屋」として重宝がられるかもしれないけれど、上司からは「信頼できないやつ」という烙印を押されてしまいます。

実は私自身も、口の堅い人間だと周囲の方々から信頼していただいているおかげで、芸能リポーターとして仕事を続けられています。芸能リポーターは口が軽いと思われがちですが、実は、口が堅くないと成立しない仕事。過去には、タレント本人から結婚や離婚の話を直接聞き、いち早く情報を得ることもありました。

そのようなときには、勝手にどこかで情報を流したりせず、必ず当人か事務所に「テレビで話したいんだけど」と仁義を切ります。すると、相手も「まずは直接話すべき相手がいるから、いいタイミングがくるまで待ってほしい」と、条件付きで情報解禁の許可を出してくれる。この取引が、信頼を得るためには重要なんです。それを守ることによって「井上は約束を守る。口が堅い」と信じてもらえて、自然と人が自分に打ち明け話や相談をしてくれるようになり、情報が集まってくるんです。

■口外するのは知った情報の6割

それから、信頼をしてもらったうえで得た情報は、外に流すのは6割程度にとどめること。すべては話さない、ということも重要なのです。話してもいいことと、話してはほしくないことの分別がつけられる人間だと思われれば、より信頼度が高まり、相手はあらゆることを自分に打ち明けてくれるようになります。

情報が集まってくる、そして正確な情報を流してくれる。そんな人間になるためのもうひとつの秘訣は、レスポンスを早くすること。たとえば、電話にすぐ出る。メールやラインはすぐに返す。

僕の場合、電話を取り逃すとそのネタがほかの人にまわされてしまう可能性があります。つまり、電話に出ないとスクープを逃してしまう。だから、電話は急いで出る。仕事で出られなかったときも、可能な限りすぐに折り返します。日常の何気ないやりとりでも、普段からレスポンスを早くしておいて、「あの人は電話をかければすぐに出る」と印象付けておくのです。

つい信じてしまうウソの噂の流し方

(1)「正しい」小ネタを流す
はじめての相手や、メディアに対しては確度の極めて高い、小さなネタを提供する。そうすることで、この人はほぼウソをつかないと信じてもらうことができる。

 

(2)「正しい」中ネタを流す
最初のネタでほぼウソをつかないという印象を持たれたら、次はほぼ確実で前よりも少し大きいネタを提供する。これで相手はこの人は確実にウソをつかないというイメージを持つ。

 

(3)「ウソの」大ネタを流す
相手が信じきったところで、本題のウソを話す。話した相手が広めてくれるのはもちろん、「あの情報も提供してくれた」と過去の2つの真実のことを話してくれれば驚くほど噂は広まる。

 

※編集部注:写真はあくまでもガセネタが出回る状況を井上さんに再現していただいたものであり、井上さんがガセネタを流しているわけではありません。

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井上公造(いのうえ・こうぞう)
芸能リポーター1956年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部を卒業後、フリーライター、明太子メーカー勤務、竹書房編集長、サンケイスポーツ記者を経て、30歳で梨元勝にスカウトされ芸能リポーターに。現在はテレビ、ラジオで13本のレギュラーを持つ。
 

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(芸能リポーター 井上 公造 構成=吉田彩乃 撮影=高見尊裕)