攻守で安定感のあるプレーを披露するメイソン。その輝きをピッチで再び放つ日が来るのをファンは待ち望んでいる。 (C) REUTERS/AFLO

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 一時は選手キャリアどころか、人生そのものまでもが断たれそうになるほどの大怪我を負ったが、ハル・シティに所属するイングランド代表MFのライアン・メイソンが完全復活に向けてポジティブな言葉を残している。英紙『サン』の取材で明かした。
 
 イングランド代表にも招集され、クラブでも主力級を担うなど順風なキャリアを謳歌していたメイソンが悲劇に見舞われたのは、今年1月22日に行なわれたチェルシー戦だった。
 
 13分にチェルシーのDFガリー・ケイヒルとの競り合った際に頭を強く打ってピッチへ倒れ込むと、そのまま担架で運び出された。診断結果は頭蓋骨骨折という重傷……。ピッチ復帰を目指すどころか、命の危険に晒されることとなったメイソンは負傷した当時のことを次のように回想する。
 
「あの時のことを考えるだけで喉が詰まるよ。ぶつかった瞬間に『重傷だ』って分かったんだ。僕は自分の頭を触って、確認したんだけど何もなかった。でも、頭の中で出血しているように感じて、痛みが全く消えなかった。とにかくパニックになった」
 
 しかし、当人が「チームドクターが迅速な対応をしてくれたことが重要だった」と話す通り、負傷後にすぐに病院へと向かったことで適切な処置が受けられたため、メイソンは一命を取り留めたうえ、後遺症も残ることはなかった。
 
 とはいえ、重傷を負ったメイソンには、「あれは精神的に堪えたね」と語る過酷なリハビリが待っていた。担当医からも「引退する方が安全だ」と言われ、心身ともに疲弊していた時期に支えとなったのは、最愛のパートナーであるレイチェルさんだったという。
 
「彼女は、人の手助けなしじゃご飯を食べられず、床に落ちたグラスすら拾えない僕をサポートしてくれた。最初の1か月は話すことも辛くて、僕は誰ともしゃべらなかったのにだ。『もうサッカーができない』って何度も折れそうになったけど、レイチェルは『あなたは大丈夫』と言ってくれた。だからもう一度プレーしようと思えたんだ」
 
 一時は寝たきりの状態が続いたというメイソンだが、愛する人の支えもあり、驚異的なスピードで回復。現在は走り込みメニューをこなせるまでに至っている。
 
 しかし、気になるのはやはり接触プレーに対する恐怖の意識だ。手術で頭蓋骨を14枚の金属板で固定したとはいえ、メンタル的な不安を完全に拭い去るのは簡単ではない。
 
 しかし、そんなメイソンにはもう一人の心強いサポーターがいる。アーセナルの守護神ペトル・チェフだ。
 
 自身も2006年10月14日のレディング戦で頭蓋骨陥没骨折の重傷を負った経験を持つ元チェコ代表GKは復帰話を聞きつけると、直接メイソンの下を訪れて、復帰までのプロセスとヘッドギアの着用を真剣に話してくれたというのだ。メイソンは「彼は何度か訪ねてきてくれた。本当に素晴らしい男だよ」と感謝を述べている。
 
 当事者となってしまったケイヒルに対しても、「あれは事故だよ。サッカーじゃ当然のことだし、気にしていない」と気丈に語る25歳は、完全復活に向けてやる気満々だ。
 
「試合に出るのは何年かかるか分からないけど、僕のキャリアの最終章をやり遂げるために必ずピッチに戻るよ。僕は今、毎晩のようにもう一度、イングランド代表でプレーする夢を見ているんだ。まるで子どものようにね」

 パートナーやチェフにも支えられた不屈の男が、再びピッチに戻ってこれる日を願ってやまない。