[イベント映像演出の世界]Vol.17 独自光回線リモートプロダクションで映像・音声の伝送と遠隔操作を実現〜株式会社長崎ケーブルメディア

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txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

長崎県長崎市に本社を置く都市型ケーブルテレビ局「株式会社長崎ケーブルメディア」は、30年以上の歴史を持ち、地上波・BS・CSなどの放送送信だけでなく自社制作コンテンツとして、自社スタジオからの生放送や地元開催のスポーツ大会など、オリジナル番組の制作も積極的に行っている。

リモートプロダクション実現で機材搬入やセットアップなどの労力を大幅に軽減!!

本社スタジオに設置されたM-5000C

中継現場にはRoland「M-5000C」ミキサー本体は持ち込まず、リモート・コントロール・ソフトウェア「M-5000RCS」が入ったPCとフェーダーのみを持ち込むことで、リモートプロダクションを実現している。

中継先に本体は持ち込まず、M-5000RCSで操作を行う

本社スタジオと中継現場は、池上通信機の「iHTR-100A」を使用して映像信号、音声信号と制御信号の通信を行っている。映像スイッチャー、テロッパー、カメラ調整などは本社スタジオスタッフが操作し、中継会場側でもオンエアと同じ信号が確認できる。

長崎ケーブルメディア本社内にあるiHTR-100A

今回は、株式会社長崎ケーブルメディア 放送部 主任 常田茂雄氏にお話を伺った。

株式会社長崎ケーブルメディア 放送部 主任 常田茂雄氏

常田氏:ケーブルテレビ局ということもあり自社で敷設した光回線があるので、それを利用しています。長崎市内で主要なイベントが行われる場所の多くは既設のダークファイバーがあり、それを活用しています。

常田氏:中継車を新しくするかどうかの検討段階で、コスト面や運用面で考えた際に池上通信機のiHTR-100series光伝送を使ったリモートプロダクションを実現する方が、スイッチャーやテロッパーなどの使い勝手も変わらずにできることなどから、現在のかたちを取っています。

野球中継の現場では、12in 4outの環境をiHTR-100Aを2セット持ちいることで実現しています。PGM/OAとMultiViewも球場放送室に送ることで、本社スタジオと同じ環境を中継先でも確認することが出来ますし、MultiViewが戻ってきていることで、いちいちスタジオのスタッフに確認しなくても現場側で入力の状態が一目でわかるのも利点です。

市内各所からのイベント中継に活用されている

パソコン用リモート・コントロール・ソフトウェア「M-5000RCS」を活用して球場からスタジオのミキサーをコントロール。MIDI/RS-422の変換でフェーダコントロールも可能に

県営球場からの中継で使用されたシステム図
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「Digital Snake」の伝送規格のREACであれば、100Mbpsの帯域で伝送可能なためiHTR-100AのLANポート(100BASE-TX)を活用することができる。リモート側で使用するフェーダーは、MIDI信号をRS-422に変換し、シリアル信号伝送機能を利用して送信を行っている。

常田氏:M-5000Cは、128chの範囲で内部の入出力構成を自由に組み替えられるということが大きいです。インカム用に沢山のマイナスワンを作ることが容易に出来ますし、同じことをマトリックスアンプで行うことを考えると、コストパフォーマンスにも優れていますね。

本番中は、PC画面でミキサーの操作画面を表示させて、8本のフェーダーで直感的にコントロールすることが多いです。VTRからの乗り替わりなど、複数のフェーダーを操作できるのは重要です。

内蔵エフェクトも多く活用しています。インカム系統にはゲートが活躍していますし、本線用途では、ディエッサーを使って歯擦音の調整をしたりしています。映像も扱っているメーカーだからこそなんでしょうけど、ディレイの設定などをフレーム単位で指定できるなど、思ったことがサッと出来ることもストレスなく運用できて良いですね。