これからの中国人観光、「爆買い」から「女子旅」へ

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例年多くの中国人観光客が日本を訪れる国慶節休暇が近づいた先月中旬、中国当局が自国の旅行会社に日本ツアーの人数を制限するよう通達したと一部の日本メディアが報じた。

中国メディアは即座に「そんな通達は出ていない」(国際在線2017年9月23日)と反論したが、中国の複数の旅行関係者に直接確認したところ、通達は実際に出ており、台湾や韓国に続く日本への送客制限に彼らは頭を抱えていた。

旅行会社側に理由は明言されていないようだが、日本のリーダーとのツーショット写真に笑顔を見せられない現政権は、多くの自国民が日本を訪れることをもともと好ましく思っていない。だが、そんな理由で制限をかけるわけにもいかない。むしろ、5泊6日で4000元(約6万5000円)が相場という安すぎる日本ツアーがさまざまな問題を引き起こしていることが背景にあると考えられる。

問題のひとつが、中国ツアー客に法外な値段で商品を売りつける日本国内の「ブラック免税店」と「ブラックガイド」の存在である。

中国客がなぜ一般の日本人が知らないそんな場所に連れられていくかというと、中国で販売されるツアー代がコストに合わないため、日本滞在中のホテル代や食事、バス代、ガイドのギャラなどを買い物の売上に対するコミッションで補填しなければならないビジネスモデルになっているからだ。実をいえば、中国客の「爆買い」も、このビジネスモデルと大いに関係があった。

日本の観光行政は、中国側からこれに対処するよう何度も要請されたが、中国側の問題として我関せずを通してきた。「ブラックガイド」の多くが中国系の人たちだったからだ。そのうち、日本の「ブラック免税店」と「ブラックガイド」の悪評判は中国全土に広まった。

中国側も、自国民が被害を受けるこの問題を解決するには、ツアー料金の適正化が必要と考えた。中国メディアの報道をみると、ツアー料金を現行の2倍以上にすることで、この種の店に立ち寄らなくても成り立つようにしたいと考えていることがうかがえる。いったん人数制限を始めたのは、そのためともいえそうだ。

もっとも、いま日本を訪れる中国人の6割はこのようなツアーに参加する必要のない上海や北京、広州などの経済先進地域の個人客だ。地方在住で、団体ツアーでしか日本に旅行する手段のない人たちが残りの4割。中国の地域経済格差は依然大きい。

結果的に、今回の通達によって中国人の団体ツアー客は減り、個人化やリピーター化にますます拍車がかかるだろう。

では、今年の国慶節、中国人観光客の主役はどのような人たちなのか。それは女性の個人客である。

彼女たちは日本でどんな旅行を楽しみたいと思っているのだろうか。それを理解するうえで、参考になる2冊の中国書がある。

最初の1冊は、1986年生まれの史詩さんというブロガーが書いた日本を個人旅行するためのガイド書『自游日本(自由旅行日本)』(南海出版公司 2015年1月刊)。すでに16年、17年と3冊目が出ている人気シリーズだ。

今日中国では多くの旅行書が刊行されているが、同書が類書と異なるのは、彼女が自分の足で訪ねた日本の名所旧跡や日常食が写真入りで細かく紹介されている一方、買い物に関する情報がほぼないことだ。

ここでいう「日常食」とは、日本人がふだん食べているカレーやラーメン、とんかつ、天ぷら定食といった料理のことで、一般に中国人の日本ツアーのパンフレットに出てくる和牛やしゃぶしゃぶ、かにすき、懐石料理といった料理は触れられない。基本的に冷めた食事を好まない中国人らしからず、駅弁と鉄道旅行の情報が詳しいのもユニークだ。

史詩さんは北京大学卒で、日本のアニメおたくとしての著作もある。中国の新人類といわれた「80后」世代(1980年代生まれ)には「爆買い」は無縁のようだ。