「耳鳴り」「難聴」の<2つのセルフケア>(depositphotos.com)

写真拡大

 耳鳴りや難聴などの耳のトラブルをこれまで多数取材してきた。そして、西洋医学・東洋医学を問わず、さまざまなアプローチがあること。それから、完全に治らなくても、日常生活に支障を来さないレベルまで軽減した例が少なくないことを知った。

 今回は、病院で検査を受けても原因が見つからず、「うまく付き合っていくしかありません」と言われた耳のトラブルに効果があった方法を、2つ選んで紹介したい。自分で簡単にできて、お金は一切かからないので、ぜひ試してほしい。

スマートフォンやパソコンの使い過ぎをやめよう

 一つ目は、首の後ろ側の筋肉をほぐすこと。

 洋の東西を問わず、治療家たちが問題として指摘しているのが、スマートフォンやパソコンの使い過ぎである。画面を見るために顔を突き出し、首の骨のカーブがなくなっていく「ストレートネック」になりがちだ。

 こうして首やあごの周囲の筋肉に負担がかかり、血液やリンパ液の流れが滞って、耳のトラブルが起こっている可能性がある。

 同時に、スマホやパソコンで目を酷使することで、視覚に関係する神経が過剰に働き、そのほかの神経にも悪影響が及ぶことがある。聴覚に関係する神経の<誤作動>が起こったら、耳鳴りや難聴が生じるというわけだ。

 読者の皆さんには、今、自分の<首の裏側>を触ってみてほしい。パンパンに張っていたり、カチカチにこり固まっていたりしたら、スマホやパソコンの画面を見るのはいったんやめて、首を優しくもみほぐそう。

 すでに耳のトラブルがある人は、スマホやパソコンの使用を制限することをお勧めする。

 耳の周囲や首の後ろ側には、耳鳴り・難聴に効くとされているツボも多数存在する。軽く押してみて<イタ気持ちいいところ>に指の腹を当て、息を吐きながらグーッと3秒ほど押すといいだろう。

耳鳴りは<心と体の悲鳴>ウオーキングを習慣化

 もう一つが、ウオーキングを習慣化することだ。

 多くの医師が、ストレスや生活の乱れ、疲労によって、意志とは無関係に器官や内臓などをコントロールする「自律神経」のバランスが崩れたり、脳に負担がかかったりして、耳のトラブルが生じると指摘している。

 このことを患者に伝えても、「やらなければいけない仕事がある」「疲れてなんかいない」などと、自分の心身にかかった負担を認めようとしないケースがあるそうだ。「まじめな、がんばり屋に多いんですよ」と某医師は語っていた。

 このような患者には、気分転換と運動不足の解消のために、1日30〜60分のウオーキングを勧めていた。ウオーキングを習慣化することで、生活のリズムが整うメリットもある。

 不調だからといって、体を動かさなければ全身の血流、ひいては耳の血流も悪くなる。血流が悪い状態では、耳の機能も回復しにくい。

 加えて、東洋医学では、生命エネルギーをつかさどる「腎(じん)」が衰えて、リンパ液などの体液に当たる「水(すい)」が滞ることで耳鳴りや難聴が起こるとされている。

 つまり、血液やリンパ液などが体の中をスムーズに巡ることが、耳のトラブルを改善させる鍵になるのだ。「第二の心臓」と呼ばれている足の筋肉を動かせば、効率よく血液やリンパ液などを循環させることにつながる。そのためにもウオーキングの効果も取り入れてみよう。

 耳鳴りは心と体の悲鳴――と話す医師もいた。現代人を悩ませる「耳鳴り・難聴」は、目や脳を酷使して疲労感さえも麻痺させていることの警鐘なのかもしれない。
(文=森真希)

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。