ファミリーマートの商品戦略に関する説明会

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 昨年ユニーグループ・ホールディングスと経営統合した、コンビニエンスストア業界2位のファミリーマート。9月に行われた同社の商品戦略に関する説明会に出席したコンビニ研究家の田矢信二氏が、各トピックについて解説します。

●商品政策の全体説明

 まず、常務執行役員商品本部長の佐藤英成氏による商品政策の全体説明の概要は以下のとおりです。

 ユニーとの商品・物流の統合は完了し、ユニーが展開していたサークルK・サンクスとファミマのブランド統一により顧客に対する最大の統合効果を発揮できた。「ブランド統合計画」は順調に推移しており、18年8月に統合完了見込み。17年8月末時点でサークルK・サンクスからファミマへのブランド転換は、2350店舗が完了している。

 ブランド統合による効果としては、中食全体が大きく伸びて、2つのカテゴリーで大きな動きが現れた。まず、麺類・調理パン・コンビニコーヒーが好調で、ファーストフーズ商品ではサンクスの人気商品の「焼きとり」の新規投入により、売上拡大に貢献している。ファミマの一番人気商品であるファミチキとのカニバリズム(共食い)現象は起きておらず、理想的な売上増になっている。

 そんななかで「中食構造改革」を展開するファミマは、9.8兆円の中食市場には、37兆円もの潜在マーケットがあると予想しており、コンビニ業界が今後絶対に獲りに行くべきだと考えている。そのために、食の外部化(女性の社会進出・単身世帯の増加・高齢化・生活の多様化等で、家庭内調理や食事を家庭外に依存する傾向)は進行してコンビニも中食商品が競争力のカギになり、ファミマは中食への取り組み強化→リピート(再来店)→価値を伝えるための広告宣伝(話題づくり)強化→トライアルになる。17年度下期もお客に継続して中食の強化を推進していく。

 以上が、佐藤氏によるファミマの商品政策に関する説明内容概要です。

●ファミ横商店街に新シリーズ「お母さん食堂」を展開

 ファミ横商店街の惣菜強化は、「揚げ物・焼き物」「おでん・中華まん」と続き、今回は食卓ニーズカテゴリー拡大に向けての「お母さん食堂」の展開を発表しました。

 コンセプトは、「小さい頃、お母さんが作ってくれたような自然で、温かみがあって、美味しいお惣菜であること」「いま仕事と子育ての両立で忙しいお母さん達が、子供や家族みんなに安心して食べさせられる食事であること」です。働く女性の応援につながるような商品開発をされるのだと思いました。

 澤田貴司社長は同日、「ファミリーマート“女性限定”説明会」を行いましたが、コンビニ業界では女性の店舗経営者は少ないのが現状なので、加盟店へのサポートも強化していくのかが注目されます。

●新マーケティング戦略

 今年の6月、ファミマは社長直轄組織として「営業・商品・広告宣伝部門」が一堂に会する「マ―ケティング委員会」を常時開催しており、何かが変わっているという印象を実感しました。「売れる商品を、売れる時に、圧倒的に売る」をコンセプトに情報連携・発信体制を一元化する戦略。そのほかに、もっとも訴求する商品をSランクに設定し、企画性に富んだ販促施策、新広告シリーズを展開し、加盟店スタッフがテレビCMに参加するなど、新たな手法の組み合わせに取り組んでいます。新生ファミマは、マーケティングの最大化を狙っていると思いました。

●ファミチキ先輩のメディア・プロモーション

 今年は、あの「ファミチキ先輩」が誕生しました。まさか、一番商品が擬人化するなんて、誰も思わなかったはずです。時にアツく、時にハートウォーミングな“熱血漢”「ファミチキ先輩」を通じて、さまざまな情報発信を現在していますが、ポイントは4つだと思います。テレビCM、店頭、商品、インターネットの4つをうまく組み合わせたメディア・プロモーションができています。話題性やファミチキ先輩の物語形式になっているのもわかる気がします。

●17年下期の戦略と方向性

 前出の佐藤氏が強調していたのは、「下期戦略テーマは、顧客に伝わるストーリー性を持った商品開発であり、売場での具現化である」という点です。現状は、100%までできていないが、「欲しいモノ・話題性があるお店」の実現こそが、ファミマファン(顧客)の来店動機になるとしており、提案する価値基準として次の3つを据えています。

・中食刷新の継続(基本的価値の向上)
・惣菜を中心として食卓ニーズカテゴリー強化(ファミ横商店街のさらなる拡大「お母さん食堂」)
・新たな価値と話題づくり(基本的価値を備えた話題性のある商品開発)

 そんななかで、筆者は新たな価値と話題づくりとしての「ニッポン味わい探訪」に注目しています。ご当地で馴染みのあるメニューを全国で順次展開中なので、ぜひ売場で発見してください。

●コンビニ研究家が気になる商品と今後について

 商品展示会の試食コーナーを見学した時に、加工食品・飲料部付部長の青木寛氏がオススメしてくれたファミリーマート・サークルK・サンクス限定のチルド飲料「バターコーヒー」(税込:198円、11月上旬発売予定)。

 試飲するととても飲みやすく、カフェ好きな女性にウケる商品だと思いました。これに合う焼き菓子なども展開されるそうなので、カフェ型コンビニの新展開も今後楽しみです。

 今回の説明会を通じて、ファミマは同社としてこれまでにない成長をするのではないかと感じました。今後は、コンビニ業界トップであるセブンイレブンに対し、どれだけファミマらしいデザインや独自性を持った商品を売場で展開できるのかがカギになります。そんな商品のひとつが、明確にターゲットを絞り込んだことによって生まれたファミチキです。佐藤氏は「晴れの日も、くもりの日も、雨の日もすべての天候で、一番売れるのがファミチキです」と語っていましたが、この言葉に集約されると思います。
(文=田矢信二/コンビニ研究家)