生前の婚姻関係に対する影響は?

 夫のお通夜に故人の元愛人が現れたことで浮気が発覚し「浮気者、許さないんだから」「殺してやる」などと激怒する妻を、お坊さんが「もう死んでます」となだめる話が先日、SNS上で話題となりました。「明日は我が身」「思わず笑ってしまった」などさまざまな反応が見られましたが、このように、夫(妻)の死後にその生前の不倫が発覚した場合、残された側は元愛人に何らかの法的措置を取りうるのでしょうか。

 アディーレ法律事務所の鮫島玲央弁護士は次のように話します。

「過去の裁判例で、不貞配偶者の死亡後に不貞関係が発覚したケースでは『(配偶者の)いかなる権利が侵害されたといえるのか、また精神的苦痛の具体的内容も明らかではなく、精神的苦痛を法的保護に値する損害と位置付けることも困難というべき』との理由から、請求が認められませんでした。つまり、生前に不貞関係の存在を知らなった以上、生前の婚姻関係に影響が出ていた可能性は考えにくく、精神的損害は発生していないとの判断に基づく判決といえます」

 したがって、死亡後に不貞関係を知ったケースでは、慰謝料請求が認められない可能性が高いそうです。仮に、生前の不貞関係によって婚姻関係に影響があり、精神的損害が認められるとしても、不貞行為の結果として、離婚に至ったわけではない今回のケースでは、通常の慰謝料相場よりもかなり低い30万円程度になる可能性があります。

「昔、ある女性から夫の不倫について法律相談を受けました。話を聞くと、夫の不倫相手が何と8人。その全員に慰謝料請求したとのことでしたが、話を聞くと、夫がとても魅力的な男性で、女性にモテるのは仕方ないという方向へ。結局、慰謝料請求はせずに帰って行かれました」

(オトナンサー編集部)