ラスベガス乱射後、銃規制に関する現地メディアの論調は? 日本への言及も

写真拡大

 ラスベガスで起きた銃乱射事件を受け、アメリカのニュースメディアは銃規制を訴える記事を相次いで掲載している。記者たちは一様に規制強化を訴えるが、銃産業界の強力なロビー活動がこれまで妨げになってきた。また、銃の所持は建国の精神に則るものだとする捉え方も一部にあり、規制への道のりは長そうだ。

◆頻発する発砲事件 ラスベガスの数時間後には別件も
 今回ラスベガスで起きた事件では、大規模なカントリーミュージックのイベントに集まった群衆に対し、隣接するホテルの高層階から多数の銃弾が発砲された。マイアミ・ヘラルド紙によると、容疑者は計42丁もの銃を所有していたという。

 同紙は、昨年ナイトクラブでの乱射事件が起きたフロリダ州の地元紙だ。今年だけで計2万人以上が銃で負傷し、一部は手足を失うなどしている、と銃犯罪の深刻さを訴える。ラスベガスの事件の数時間後にはカンザス州で別の斉発事件(2名以上が被害者となる発砲事件)が起きるなど、銃関連の事件は頻発している。

 銃社会を問題視するのは、ワシントン・ポスト紙も同じだ。世界中で民間人が所有する銃のうち、ほぼ半数がアメリカにあるという。銃による殺人件数は隣国カナダの6倍、斉発事件は過去5年間でほぼ毎日起きているなど、状況は深刻だ。自由の国アメリカとはいえ、現状のままではいけないという危機感が高まっているようだ。

◆規制への動きなるか?
 ラスベガスの事件を受け、各メディアは銃規制の必要性を訴える記事を一斉に掲載した。ワシントン・エグザミナー誌では、現在までに規制法の制定がないとして議会を糾弾している。記事ではさまざまな媒体の見解に触れている。中でもヴォックス誌は、安全な日本やイギリスと比較し、急増する銃を問題視しているようだ。他にも、アメリカは銃の数が人口を上回る唯一の先進国だというデータが興味深い。

 なお、こうした銃撃事件のたびに国民の間で規制が叫ばれているようだが、民主党が法案を出しては共和党が反対に回る形の繰り返しで、議論はこう着状態だとしている。マイアミ・ヘラルド紙も、2011年と2017年の2回にわたり議員の殺害が企てられたが、それを経てなお規制法は制定されないと嘆く。ラスベガスの悲鳴に耳を傾けるべきだとし、今後の展開に期待をかけている模様だ。

◆進まない議論の背後に、銃産業と人々の意識
 銃規制を行った場合の効果は明白だ。ワシントン・ポスト紙によると、国全体で銃規制を行ったオーストラリアでは、殺人事件が顕著に減少したという。マイアミ・ヘラルド紙も、州ごとに規制法が異なるアメリカの状況を問題視する。規制の緩い州で購入し、隠し持ったまま容易に別の州に移動できるためだ。規制が後手に回っている理由として、同紙は銃産業界の強力なロビー活動の存在を仄めかしている。

 だが、一部アメリカ国民の意識にも課題があるようだ。ワシントン・ポスト紙(10月3日)によると、「建国の父らと憲法修正第2条は、『規律ある民兵』は自由の国家に必要であり、これは『人々が武器を所持する権利』を保証するものである、としている。銃推進派はこれを引き合いに出す」という。個人として所持する自由を越え、銃で国を守る自負さえ感じさせる主張になっている。日本における銃の感覚とは大きな開きがあると言わざるを得ないようだ。